穀物速報:クロッププログレスレポートと春の洪水予報(つらつらコラム5月5日)

クロッププログレスレポートによるアメリカの作付け状況

今日は昨日USDAが発表した、2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付け進捗状況について紹介する。5月4日の時点での作付け率は以下の通り。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付け率23%8%5%11%
コーン作付け率    51%27%21%39%
コーン発芽率8%3%5%10%
表1 大豆とコーンの作付け率と発芽率

大豆、コーン共に前週は好天に恵まれたことで農作業が大きく進展した。順調に作業が進んでいることで、穀物相場の下落要因となっている。ただし、コーンの発芽率に関してはおそらく五大湖周辺で低温が続いていることにより平年より若干遅れが見えている。

作付け率を州ごとにまとめたデータは次の通りとなる。表2は大豆のデータでコーンベルトではイリノイ州やインディアナ州、ネブラスカ州、アイオワ州で作付けが平年よりかなり早いペースで進んでいる。特にアイオワ州とミネソタ州、ネブラスカ州では先週に比べて農作業が大きく進展し、アイオワ州では約半分、イリノイ州、ミネソタ州、ネブラスカ州では全体の3分の1の作付けが終了した。逆に天候に恵まれなかったノースダコタ州では平年よりやや作業が遅れている。

大豆今週    前週    前年同時期  平年(5年平均)  
アーカンソー20121032
*イリノイ3118312
*インディアナ221119
*アイオワ46979
*カンザス11244
*ケンタッキー251876
ルイジアナ51334047
*ミシガン13424
*ミネソタ35510
ミシシッピ-39302549
*ミズーリ7238
*ネブラスカ3281110
ノースカロライナ105117
*ノースダコタ115
*オハイオ7216
*サウスダコタ1113
テネシー14878
*ウィスコンシン    14213
全国平均238511
表2 大豆の作付け率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州

次に表3は今週のコーンの作付けデータとなる。コーンベルトではミネソタ州やアイオワ州では平年より大きく作付けが進み、特にミネソタ州とアイオワ州では8割、ネブラスカ州やイリノイ州では6割の作付けが終了した。個々の州ではインディアナ州やミシガン州などは平年並み、ノースダコタ州やミシガン州、オハイオ州など天候に恵まれなかった州では平年より遅れが見えているが、それでも前年より早いペースで作付けが進んでいる。

コーン今週    前週    前年同時期  平年(5年平均)  
コロラド33171721
*イリノイ56371054
*インディアナ3318326
*アイオワ78393246
*カンザス42243845
*ケンタッキー57443841
*ミシガン113312
*ミネソタ7640536
*ミズーリ44254867
*ネブラスカ61203038
ノースカロライナ79626777
*ノースダコタ4219
*オハイオ103220
ペンシルヴァニア11416
*サウスダコタ38818
テネシー54355863
テキサス69676971
*ウィスコンシン    3311620
全国平均51272139
表3 コーンの作付け率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州
アメリカの洪水予報

図1から3はコーンベルトの5月7日から1週間の洪水予報を示している。図1が西部、図2が中央部、図3が東部となっていて、それぞれの印は緑が通常水位、黄色が洪水未満の増水、オレンジが小規模洪水、赤が中規模洪水、青が大規模洪水、灰色は予報なしを示している。現時点でコーンベルト中央部と東部のミシシッピ川へ水が集まる辺りで小規模な洪水が発生しているが、ほとんどの地域で去年のような長雨・大雨による洪水は発生していない。今後も、好天に恵まれて順調に農作業が進展すると考えられる。

図1 コーンベルト西部の洪水予報(出展元 NOAA)
図2 コーンベルト中央部の洪水予報(出展元 NOAA)
図3 コーンベルト東部の洪水予報(出展元 NOAA)
今後の見通し

4月までは新型コロナウイルスの感染拡大による需要への影響で、大豆では家畜向け需要の低下懸念、コーンでは需要減による原油安から燃料用エタノール向けの需要減懸念が相場の重しとなっていた。先週、新型コロナウイルスによる都市封鎖が解除される方向となり、ガソリンやエタノールなどの燃料需要の持ち直しが期待される。また、食肉工場の閉鎖に伴って家畜の整理が始まっていたものの、トランプ・アメリカ大統領が食肉工場の営業継続命令を出したことで、今後、飼料用の需要も持ち直すと考えられる。そんな中、先週末から新型コロナウイルスの流行元・初期の対応について米中対立が高まり、報復関税を含む新たな貿易問題が生じつつある。供給面では今年はコーンベルトが好天に恵まれて、平年を大幅に上回るペースで作付けが進んでおり、今後、受粉期に雨が通常通り降れば、豊作となると思われる。
まとめると、穀物需要面で持ち直しの可能性が出てきているが、米中間の貿易問題が相場の足を引っ張る状況となっている。加えて、農作業が好調に進んでいることから、しばらくは値下がり傾向となるのではないかと筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。