最新のエルニーニョ予報
4月4日に発表された最新のエルニーニョ予報によると、現在から今年の夏の間にエルニーニョもラニーニャも発生しない確率は60%で、秋頃までは同様の状況が続くが、次第にラニーニャの発生確率が上昇するとの見通しとなった。これにより、今年の夏には穀物の生育に適した気候が続くと考えられる。
ペルー沖の海水温とアメリカの中長期予報

図1はペルー沖の表層の海水温の平年との差で2019年の10月以来、エルニーニョは発生と認定されていないものの、平年より高い状態が続いていたが、今年4月からは平年よりも海水の温度が低下するようになった。

実線:観測値 破線:予想値
図2は観測データに基づいた今後の海水温(平年との差)の予想で、今年4月以降は年末まで次第に海水温が低下する予想となっている。

(出展元 NOAA)
予想に基づいたエルニーニョとラニーニャ、どちらも起きない状態となる可能性を示した図が図3となる。夏までどちらも起きない状態となる確率が5割を超えており、年後半からは次第にラニーニャの発生確率が上昇する。

左:降水量 右:平均気温
図4はNOAAの長期天気予報で、アメリカの気温は概ね全国的に平均より暖かくなり、降水量は太平洋側を除き平年より増大する予報となる。コーンベルトでは平年以上の気温と降水量が予想される。
エルニーニョ予報についてのまとめ
昨日のコラムに掲載したようにコーンと大豆の作付け作業は順調となっている。最新の予報ではエルニーニョ・ラニーニャのどちらも発生しない。中長期予報によるとコーンベルトの降水量は平年より多いことが予想されており、今後も穀物の生育には適した天候が続くことで、穀物価格の低迷が続きそうだ。
サバクトビバッタ詳報

今週もサバクトビバッタの最新の続報を掲載する。図5は確認されているバッタの群れ(赤丸=群行動する群れ、他の色は群行動に至っていないバッタのバンドや群れ)の位置を示している。また国の色分けは赤が危険、オレンジが脅威、黄色が警戒を示している。現在の状況を地域ごとにまとめると次の通りとなる。

- ケニア・エチオピア・ソマリア:防除作業は効果を上げているものの、新しい群れが5月から6月にかけて孵化する見込みで、図6のようにエチオピアやソマリアからは北上しスーダンとエリトリアに侵入する可能性が指摘される。
- イエメン:大雨が降り、繁殖が促進されている。
- サウジアラビア・イラク・UAE:群れの防除作業は続いているが、図6のように5月中に新たに形成される群れは、紅海を渡ってスーダンに移動する可能性、あるいは東に進んでインド洋を渡り、インド・パキスタンへ移動する可能性がある。仮に雨季の前の5月中にスーダンに到着した場合、6月にはチャドやニジェールへ到達する可能性。
- イラン・インド・パキスタン:図6のようにイラン南部のバルチスタンから東のインド・パキスタン国境付近の砂漠地帯へ移動する可能性が指摘される。
サバクトビバッタについてのまとめ
サバクトビバッタはアフリカの角・アラビア半島・ペルシャ湾岸の各所で繁殖を続けている。6月にはより多くのバッタが出現し、現在被害が大きく出ているソマリア・エチオピア・ケニア、あるいはアラビア半島から周辺地域へ拡大する可能性が高くなっている。場合によってはスーダンからアフリカの西側まで広がる可能性が出てきた。また、イラン国内のバッタは東へ向かっており、先週北上したバッタに関しての続報はない状態となっている。以降続報が待たれる。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。