エネルギー速報:EIAエネルギー短観(つらつらコラム6月10日)

はじめに

EIAから今月エネルギー短観が発表された。新型コロナウイルスの流行対策として行われていた都市封鎖の緩和後、最初の短観となる。今日は原油と天然ガスについて内容を見ていきたい。

原油
図1 上段:世界の原油生産と原油消費量
下段:在庫の積み上がり(出展元 EIA)
需要

図1に示す、EIAの予測では2020年の第2四半期終了時点での世界の燃料需要は、新型コロナウイルスの流行による需要減で低迷し、日量8380万バレルと前年10040万バレルからおよそ1660万バレル減少する見通し。今後は都市閉鎖の解除と経済の再開から原油需要が回復する。今年第3四半期には前年同時期比690万バレル少ない、四半期平均で日量9490万バレルまで回復する。年末までにはさらに回復し、前年比で830万バレル少ない年平均日量9250万バレルまで回復する。その後、経済が順調に回復し2021年の原油消費量は、2020年より720万バレル多い、2970万バレルとなる見込み。

米国では第2四半期終わりの6月末の時点で日量1570万バレルと前年同時期より460万バレル減少している。今後は経済の再開にも伴い、増加に転じ第3四半期平均は1840万バレル、年末には年平均1950万バレルと前年比で100万バレル減まで回復すると予想されている。減少具合は油種によって異なり、ガソリン26%減、ディーゼル燃料17%、ジェット燃料では64%の減少が予測されている。

供給

EIAの予想では2020年の第2四半期の液体燃料の供給量が日量9260万バレルとなり、前年から約790万バレル減少すると予測している。これは主にOPECプラスの減産と、米国の自然減による産油量の減少を反映している。予想では今月中に供給量が需要を下回り、第3四半期には9200万バレルまで減少する。その後増加に転じて、2020年全体の平均供給量は9740万バレルと前年9870万バレルからおよそ140万バレル減少する見通し。

在庫

今年の前半に平均日量940万バレルで積み上がり、今年の4月をピークとして、5月までに前年比で14億バレルの在庫が積み上がった。今後は、減産と需要の回復から6月末には在庫の減少が始まると予測している。

天然ガス
需要

EIAの推計では、2020年の天然ガスの消費量(輸出を含む)は、日量81.8Bcfで2019年から3.6%減少する。特に産業部門の消費量が21.0Bcfと前年比で8.7%の減少を見込んでいる。

生産

2019年の天然ガスの生産量は過去最大の日量92.2Bcfだった。これに対して、2020年の生産量は89.7Bcfと予想している。月間生産量は2019年11月に96.2Bcfのピークを迎えた後、大きく減少して3月には83.6Bcfとなった。その後は持ち直しやがて増加に転じるとと考えられている。来年度もこの傾向が続き、2021年の生産量はやや回復した85.4Bcfを見込んでいる。地域別ではガス生産の中心地だったアパラチア地域と、原油生産の副産物として多くが生産されているパーミヤン地域で大きく減少する。

在庫

需要減に伴って天然ガスの在庫が増加しており、5月末の時点で約2800Bcfと平年より18%多い量となった。今後も需要の低迷から在庫が増大して10月の時点では過去最大の4.1Tcf以上に積み上がる見込み。

輸出量

天然ガスの世界的需要が減退していることに伴って、これから先LNG輸出が減少し、今年第2四半期では平均日量5.6Bcfだったものが、7月以降には平均3.7Bcfに減少すると予想している。

今後の見通し
図2 EIAによる原油価格予想(出展元 EIA)

新型コロナウイルスの流行で落ち込んだ世界経済が、第3四半期に回復軌道に乗り、図1に示すように6月末には需要が供給を上回ることで、在庫減少が始まるとEIAは予想している。在庫が十分残っている2020年内は1バレル40ドルという現在の先物価格水準にとどまり、年が明けると在庫の減少とともに原油価格も上昇を始めると予測している。

図3 EIAによる天然ガス価格予測(出展元EIA)

天然ガスは在庫が過去最大の高水準ながら、年後半には冬の需要期に向けてスポット価格が上昇していくと予想している。

5月のEIA予測   6月のEIA予測(今回)予測差分 
生産減増減(日量・前年比)219万バレル減240万バレル減21万バレル減
需要量増減(日量・前年比)815万バレル減830万バレル減15万バレル減
表1 前回予測との比較(出展元 EIA)

以上がEIAによる需要と生産、価格の見通しとなる。表1の様に先月のレポートと比べて生産と需要が双方とも減少している。このEIAのレポートを基にすれば、原油・天然ガスの価格は、実際の需要増が確認されるまでは、低迷が続くと予想される。ただし、新型コロナウイルス再流行はないという仮定となっており、第2波の到来による都市封鎖の再開などがあれば、期近の先物価格は大きく下落することが考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。