エネルギー速報:IEA6月月報(つらつらコラム6月17日)

IEAの6月の月報

今日は今週初めに公表されたIEA(国際エネルギー機関)の月報について見ていきたい。

ダイジェスト
世界の原油需要

図1に示す通り、2020年の原油需要を月別にみると、新型コロナウイルスの流行対策として行われた都市封鎖の結果、3月以降の原油需要が激減した。前年比で3月には日量1100万バレル減少、4月には日量2900万バレル減少と減少幅の拡大ピークを迎えた。その後、都市封鎖の緩和による需要回復が始まり、5月は日量2600万バレル減少と減少幅が縮小した。*2019年の原油消費量は世界全体でほぼ日量1億バレル。

図1 原油需要の前年度需要からの減少幅(出展元 IEA)

もっとも速く都市封鎖が解除された中国では3月から原油需要が急回復し、5月になるとインドの需要が急回復したことを反映して、2020年の原油需要予測は先月より日量50万バレル回復した。

世界の原油供給

一方で、5月の原油の供給はOPECプラスの減産と、アメリカとカナダの生産量が急落したことを合わせて、日量1180万バレルの減産となった。この量は目標とされていた1500万バレルには及ばなかったものの、過去最大の減少となった。今後、OPECプラスやノルウェーなどの減産が8月以降は次第に緩和される他、ブラジルやガイアナの生産量が堅調に伸びること、アメリカの生産量は来年までは減少が続くと仮定して、前年比で日量720万バレルの減少となる。2021年は協調減産の緩和などで日量170万バレルの生産が増加し、2019年比で日量550万バレルの減少まで原油供給は回復すると想定している。

世界の原油消費と在庫

今年4月の原油精製量は前年比で日量で1230万バレル減少した日量6880万バレルとなった。5月には更に日量100万バレル精製量が減少した。今後、積み上がった石油製品の在庫消費のため、精製量が更に日量540万バレル減少して日量6340万バレルとなる見通し。その後、精製量は増加に転じて2021年初めまでに日量530万バレル回復し、2021年初めには日量6770万バレルとなると見込まれる。

4月に原油在庫と石油製品在庫は1億4870万バレル増加し、世界の在庫量の総計は31億3700万バレルとなった。アメリカは過去最大の在庫量を抱えており、1日100万バレルの割合で増加している。また、タンカー上の在庫も4月には過去最大の1億7200万バレルあった。5月には640万バレル減少したが、ほとんど量は変わっていない。

今後の見通し

新型コロナウイルス対策の緩和で2020年の後半は原油需要の回復が見込まれるが、それでも前年比で日量810万バレルの需要が失われる。2021年に入ると、日量570万バレル需要が回復し、原油消費量は日量9740万バレルまで回復する見込み。ただし、2019年比ではなお日量240万バレル低い水準となる。これは主に航空需要の大きな落ち込が続くために生じている。航空燃料用需要は新型コロナウイルスの影響を最も受けており、2020年の旅客数は後半に回復が始まると考えても2019年比で55%にとどまる。このため、航空燃料需要は2019年の日量約800万バレルに対して2020年は前年比で日量300万バレル減少した日量500万バレル程度となる。航空需要は第2四半期の前年比60%減に及ぶ落ち込みから次第に回復に向かっているが、影響は2021年以降も残り2021年の航空燃料需要は2019年比で日量200万バレル減少した日量600万バレル程度となると予測している。

ただし、IEAの月報には新型コロナウイルスの第2波の影響は考えられていない。既にアメリカのおよそ半分の州では感染者の数が増加に転じたほか、今週初めには中国の北京の市場でクラスタが発生、インドでもデリー近郊で感染者が増加しており、今後どこまで感染が広がるのか不透明な状況となっている。3月から5月まで原油需要の回復をけん引してきた中国とインドで再度感染が拡大している他、仮に、アメリカや欧州で再度都市封鎖を行わなければならない状況になれば、現在回復しつつある原油相場は再び、需要減に直面して大幅に下落することが避けられないと筆者は考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。