エネルギー速報:天然ガス在庫統計と今後の在庫見通し(つらつらコラム6月19日)

ダイジェスト
週間天然ガス在庫
図1 天然ガス在庫量(青線)と5年平均(黒線)、変動幅(灰色)との比較(出展元 EIA)

昨日、EIAが発表した天然ガス在庫量(6月6日から6月12日までの在庫増減)は85Bcfとなり、市場予想レンジ前週比83-85Bcf増とほぼ一致した。輸出需要の減少見通しが懸念材料となって、天然ガスは横ばいとなった。今日は最新のEIAのレポートからLNG輸出需要を中心に見ていきたい。

今週の天然ガスの在庫量は平年に比べて16.9%多い状態となっている。前週は17.6%多い状態だったため、在庫の増加スピードにやや減速が見られているが、それでも今週の増加量は85Bcfと平年の在庫増加量である63Bcfよりは多くなっている。
次に地域別の天然ガス在庫を見てみよう。表1はアメリカの地域別在庫の内訳で今週も全ての地域で在庫が増加している。
依然として、在庫の増加ペースが速く、10月31日までに在庫が4132Bcfに達する見込み。この量はアメリカの天然ガスの貯蔵施設の設計容量4693Bcfの88%、有効容量4261Bcfの97%に相当する。

表1 地域別天然ガス在庫量(出展元EIA)
天然ガス需要と供給

次に天然ガスの需給を見てみよう。表2は6月11日から6月17日までの天然ガス供給の内訳で、生産は日量90.0Bcfと前週の89.5Bcfに比べて0.5Bcf増加した。カナダからの輸入は今週も微減で、供給量全体は0.2Bcfの増加となった。生産量は今週増加したことで前年同時期に迫っている。

表2 部門別天然ガス供給量(出展元EIA)

表3は6月11日から6月17日までの天然ガスの需要を部門別に見たもので、総需要量は74.2Bcfと前週に比べて5.1Bcfと大きく減少した。内訳はのほとんどは、穏やかな気温となったことで、発電用需要が5.4Bcf減少したことが占めている。その他の工業用は0.5Bcfの増加、住宅用・商業用が0.5Bcfの増加だった。輸出需要はメキシコ向けのパイプライン輸出が0.2Bcfの減少、LNG輸出は0.2Bcfの減少だった。

表3 部門別天然ガス需要量(出展元EIA)
採掘用リグ稼働数

図2は先週12日にベーカー・ヒューズ社が発表した原油・天然ガス採掘用リグ数の推移(色はリグの採掘方法の違い)で、14週間連続でリグ数の減少が続いている。稼働中リグ数は前週比5基の減少の279基となり、1987年以来の最低値を今週も更新した。

図2 天然ガス採掘用稼働リグ数(出展元 EIA)

表4は原油と天然ガスの稼働中リグ数の前週からの変化を見たもので、6月9日の時点のリグ数は、前週に比べて原油採掘用が7基減った199基、天然ガス採掘用が2基増加して78基となった。原油採掘用リグの減少スピードが明らかに低下している。一方で天然ガス採掘用リグ数は増加に転じた。

表4 原油採掘リグ数と天然ガス採掘リグ数及び前週比と前年比(出展元 EIA)
今後の見通し

最新の天然ガスの在庫統計85Bcfとなり、天然ガスの生産量が前週より減少したことから、在庫の増加ペースが落ちた。先週ベーカー・ヒューズ社が発表したリグ数は、天然ガスの採掘用のリグ数が前週比2基増、原油採掘用リグ数が前週比7基減となり、天然ガス用リグの数が増加に転じた。週間の天然ガスの生産量も増加しており、これら、生産増加に関する数字は来週の在庫統計に反映され、天然ガスの在庫の積み上がりペースが上がりそうだ。このままの今週のペースなら10月31日には在庫容量の97%を使用する見込み。需要面では、発電用需要が気温の低下により大きく低下した。工業用需要や住宅・商業用需要は小幅な増加となり、LNG輸出やメキシコへの輸出は減少した。

前週は天然ガスの生産量の減少見通しが下値を支えて、LNG輸出など輸出需要の減少見通しが、上値を抑える展開となった。原油価格が回復したことで、天然ガスの生産量が今週いよいよプラスに転じたため、今日以降は需要減が懸念材料となって注目されて下落する可能性が高くなると考えている。最後に、アメリカの国内需要が低迷しているためアメリカでも大量の在庫が積み上がる見通しが示されており、今週も過去5年の平均より多く在庫が積み上がっている。今後、アメリカに新型コロナウイルスの第2波がやってくれば、需要が減少するため、10月31日の在庫が溢れる可能性が高まると考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。