穀物速報:クロッププログレスレポートと天気予報(つらつらコラム6月2日)

クロッププログレスレポートによるアメリカの作付け状況

今週は通常通り、昨晩、USDAはクロッププログレスレポートを発表した。2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付け進捗状況について紹介する。5月31日の時点での作付け率は以下の通り。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付け率75%65%36%68%
大豆発芽率52%35%17%44%
コーン作付け率    93%88%64%89%
コーン発芽率78%64%42%73%
表1 大豆とコーンの作付け率と発芽率

今週はコーンベルトのほとんで降雨が続いたことで、作付け作業の遅れが懸念されたが、大豆、コーン共にスピードが落ちたものの農作業は順調に進展している。作付け進捗率、発芽率共に平年以上のペースを維持している。

作付け率と発芽率を州ごとにまとめたデータは次の通りとなる。表2は大豆のデータで作付け率と発芽率で、コーンベルトではノースダコタ州とオハイオ州で作業が平年より遅れている他は、平年並みから平年以上の進捗となっており、全体では75%の作付けが終了し、作付け予定の半分の畑では発芽している。

大豆
作付け率
前年同時期
      

作付け率
前週
      

作付け率
今週
      
作付け率
平年(5年平均)
      
    発芽率前年同時期
      
発芽率前週
      
発芽率今週
      
発芽率平年(5年平均)
      
アーカンソー5158667337435764
*イリノイ1965746812375051
*インディアナ156676647385841
*アイオワ3892957514527648
*カンザス2552624015294626
*ケンタッキー4646524826333930
ルイジアナ8883889173707985
*ミシガン2965766211254936
*ミネソタ4688958212467352
ミシシッピ-7678868658587476
*ミズーリ1639494911203034
*ネブラスカ6289957834567347
ノースカロライナ5647555243324237
*ノースダコタ632951801041237
*オハイオ165366628204240
*サウスダコタ126280641194435
テネシー6039495939213139
*ウィスコンシン    307988667255337
全国平均3665756817355244
表2 大豆の作付け率と発芽率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州

次に表3は今週のコーンの作付け率と発芽率の州別データとなる。コーンベルトではノースダコタ州とケンタッキー州の作付けが遅れている他は平年を上回り、93%の畑で作付けが終了した。発芽率は南北ダコタ州で大きく遅れている以外は、平年並みから平年以上の発芽率となっており、全体では78%の発芽率となった。

コーン
作付け率
前年同時期
      

作付け率
前週
      

作付け率
今週
      
作付け率
平年(5年平均)
       
    発芽率前年同時期
      
発芽率前週
      
  発芽率今週
       
発芽率平年(5年平均)
      
コロラド7691978742618461
*イリノイ4289928629667677
*インディアナ2880877916557363
*アイオワ7997989453829381
*カンザス7687928857607473
*ケンタッキー8679869171647277
*ミシガン3970837714285351
*ミネソタ7398999340809179
*ミズーリ6890929057768584
*ネブラスカ8697999462778879
ノースカロライナ96981009893919394
*ノースダコタ7654759022122657
*オハイオ3066807715325559
ペンシルヴァニア7247807954103661
*サウスダコタ3986958410447291
テネシー9486909786717891
テキサス9594969284889684
*ウィスコンシン    5590948923457362
全国平均6488938942647873
表3 コーンの作付け率と発芽率(出展元 USDA)
*印はコーンベルトの州

表4はコーンの作柄予想で、全体の95%で平年並み(Fair)以上の作柄が予想されている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
前週13226113
今週14255812
前年
表4 コーンの作柄予想(出展元 USDA)
コーンベルトの天候予報

図1は5月17日から23日(最新)の気温の平年からのずれのデータで、コーンベルトではほぼ平年並みとなるまで気温が上昇している。

図1 5月17日から23日の気温の平年からのずれ(出展元 NOAA)

図2は今月から8月にかけての気温予報で、全国的に平年高い気温となることが予想される中、コーンベルトの西側では平年並み、東側では平年以上の気温が予想される。一方で図3は降水量の予報で、コーンベルトは平年よりも降水量が多いことが予想されている。現時点では、コーン・大豆ともに十分な雨の元で成育が進むと考えられる。

図2 6月から8月の気温予報(出展元 NOAA)
図3 6月から8月の降水量予報(出展元 NOAA)

図4は5月末から8月末にかけての干ばつの発生予測だが、コーンベルトでは現在のところ干ばつが発生する予測はない。

図4 5月から8月にかけての干ばつ予想(出展元 NOAA)

図5はイリノイ州の河川の水位の観測データで画面中央を北東から南西に流れるイリノイ川で発生した洪水は流下とともに下流側で水位の上昇が起きているが、上流側では水位が低下しているため、これ以上の被害は拡大しないのではないかと思われる。

図5 イリノイ州のイリノイ川の洪水(出展元 NOAA)
紫:大規模洪水、赤:中規模洪水、黄:小規模洪水、緑:平常、水色:分別未定義
まとめ

前週はコーンベルトで雨が降り続き、作付け作業の遅れが懸念されたが、順調にに農作業が進展している。コーンベルトでの雨のためイリノイ州で発生していた洪水は上流側で水位が下がっており、特に影響しないと思われる。現時点の予報で6月は平年並みから温暖で、降水量は平年より多いと予想されている。干ばつ予測を見ても、コーンベルトで干ばつが発生する気配はまだない。現時点で農作物の生育は順調に進んでおり、気温、降水量とも生育に有利な条件が揃うことから、豊作となるのではないかと考えている。
香港を巡っての米中対立が激化しており、中国がアメリカ産の大豆や豚肉の輸入を一時停止すると報道されている。一方で報道後に大豆の大型成約が発表されるなど、対中国の輸出情報からは目が離せない状況が続いている。筆者はブラジルやアルゼンチンで新型コロナウイルスの流行拡大が止まっていないことから、アメリカ産の中国向け輸出が止まることはないのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。