穀物速報:南米大豆産地近況(つらつらコラム6月24日)

初めに

南米では南半球の夏の作物の収穫が終わり、大豆の輸出が始まっている。今日は南米大豆産地の現状が今後の大豆相場に影響するかについて見ていこう。

ダイジェスト
輸出見通しと価格

USDAの推計によると、2019年/2020年シーズンの大豆の生産高の内、豆の状態での輸出に回る量は以下の通り。

図1 アルゼンチン・ブラジル・アメリカ3国の大豆輸出価格の推移(出展元USDA)

6月初旬時点でのアメリカの輸出量(出荷済み)は中国向けに1270万トン、その他地域向けに2350万トンの合計3620万トンとなっている。この量は2017年/2018年シーズン、2018/2019年シーズンの同時期の輸出量を下回っている。中国向けの成約高は1530万トンと2018年/2019年シーズンを上回っているが、今年に入り輸出ペースが前年より鈍化している。一方で、ブラジルの大豆の輸出量は同時期としては記録的な量である4370万トンとなっているが、ブラジルでも輸出のスピードが鈍化しており、2018年/2019年の同時期の輸出水準を下回っている。

図1に大豆の価格の推移を示す。ブラジル産の価格は5月時点で1トン当たり335ドルで、アルゼンチンとアメリカはそれぞれ、338ドル、329ドルとなっている。6月に入ってアメリカ産とアルゼンチン産の大豆価格が値上がりしている。アメリカ産については次の収穫までの在庫減少による平年通りの値動きとなっている。ブラジル産は新型コロナウイルスの感染拡大で、通貨であるレアルが下落しているため、ドル建ての大豆価格が割安となったと考えられる。アルゼンチン産は今シーズンの収穫を全て終了しているが、新政権誕生後の通貨デフォルトで、アルゼンチンペソの切り下げが予想されるため、売り惜しみが発生していると伝えられている。

図2 ブラジルの週間(6月14日-20日)降水量(出展元 NOAA)

米国では大豆の生育が順調に進み開花が始まっているほか70%の畑で平年作以上の単収が予想されている。アルゼンチンと同様にブラジル南部の収穫は終了しているが、ブラジル北部のロライマ州では2020年/2021年シーズンの大豆の作付けを終了した。同州は北半球に位置しており、ブラジルの大豆のほとんどが北半球の冬に栽培されるのに対して、米国と同様に北半球の夏に栽培される。図2はブラジルの降水量となるがブラジル北部の産地(ロライマ州)では大豆の生育に十分な雨が降っている。

今後の見通し

南米ブラジルの輸出が週あたりとしては記録的な量となるなど、順調に進んでいる。このため残る輸出用の在庫量が低下(残約3000万トン)しており、数か月後には在庫切れで輸出が停止する見込みとなった。一方で、アメリカ輸出量はこれまでの予想を下回っているが、米政府高官は中国との農業分野での通商合意は生きており、今後中国が大豆など農産物の輸入を増加させることが期待されていることが相場の下値を支えている。中国はアフリカ豚熱の収束と共に大豆輸入量を増やしており、2020年は9600万トンと記録的な量に達する見通し。一方でアメリカ産の大豆の生育は順調かつ市場予想通りの豊作が予想されることから、今後、需給面から大豆の価格が大きく上昇することは考えにくいと思われる。実際には6月15日以降、輸出の大口成約の発表がない状態で、大豆価格の低迷が続いているが、今後大口成約が入れば、大きな値上がりの可能性があるので、USDAが発表する輸出大口成約の速報には十分に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。