目次
ダイジェスト(クロッププログレスレポートと天気予報)
- 大豆の作付率発表は終了、発芽率は95%でほぼ発芽は終了、開花率は14%で平年よりやや早い
- 大豆の作柄予測は良以上が71%(前週から据え置き、前年より17%良好)
- コーンのシルキング率は4%(平年7%)で平年よりやや遅れ
- コーンの作柄予測は良以上が73%(前週から1%改善、前年より17%良好)
- 気温はほぼ全域で平年以上となる見込み。降水量は北西部で平年以下、それ以外の地域では平年以上。干ばつの予兆は無く、今後も順調な生育が予想されている。
- アナリストによれば3月に発表された作付意向面積と比べて、今夜発表される作付面積ではコーンが200万エーカー少ない9500万エーカー、大豆が200万エーカー多い8550万エーカーと予想
クロッププログレスレポートによるアメリカの作付状況
6月29日にUSDAから発表された最新のクロッププログレスレポートに基づき、2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付進捗状況について紹介する。6月28日の時点での作付率、発芽率、大豆の開花率とコーンのシルキング率は以下の通り。
今週 | 前週 | 前年同時期 | 平年(5年平均) | ||
大豆作付率 | 終了 | – | – | – | |
大豆発芽率 | 終了 | – | – | – | |
大豆開花率 | 64% | 48% | 35% | 57% | |
大豆着サヤ率 | 25% | 11% | 6% | 21% | |
コーン作付率 | 終了 | – | – | – | |
コーン発芽率 | 終了 | – | – | – | |
コーンシルキング率 | 59% | 29% | 30% | 54% | |
コーンドウ率 | 4% | 3% | 9% | 7% |
大豆の農作業は順調に進展し、カンザス州やミズーリ州、オハイオ州やノース・ダコタ州で発芽が進み、作付に続いて発芽もほぼ終了した。開花率は平年(11%)よりやや早い14%となった。
コーンは作付に続き発芽まで作業が終了したため公開が終了した。代わりにコーンはシルキング(受粉)期に入っており、シルキング率は4%となっており、平年(7%)よりやや遅れている。
州別のより詳細な農作業の進捗データはこちら。
今期の作柄予想
表2は大豆の作柄予想となる。平年以上(FairとGood、Excellent)が95%と据え置きだが、豊作以上(GoodとExcellent)が71%と作柄予想が1%改善し、前年の54%を大きく上回っている。
Very Poor | Poor | Fair | Good | Excellent | |
3週前 | 1 | 3 | 24 | 60 | 12 |
2週前 | 1 | 3 | 24 | 60 | 12 |
前週 | 1 | 4 | 25 | 58 | 12 |
今週 | 1 | 4 | 24 | 58 | 13 |
前年 | 2 | 9 | 35 | 47 | 7 |
表3はコーンの作柄予想で、全体の95%が平年並み以上(FairとGood、Excellent)の作柄となり横ばいだった。豊作以上(GoodとExcellent)は73%と前週比で1%改善しており、前年の56%も大きく上回っている。
Very Poor | Poor | Fair | Good | Excellent | |
3週前 | 1 | 3 | 21 | 60 | 15 |
2週前 | 1 | 4 | 24 | 56 | 15 |
前週 | 1 | 4 | 23 | 57 | 15 |
今週 | 1 | 4 | 22 | 57 | 16 |
前年 | 3 | 9 | 32 | 47 | 9 |
コーンベルトの天候予報
図1は8月以降の気温予報でコーンベルトでは全体的に平年より気温が高くなる見通し。

降水量予測と土壌の乾燥度
図2は8月から10月の降水量予測で、コーンベルト西北部では例年並みの降水量となるが、コーンベルトの他の地域では例年より雨が多い予報となっている。

Very Short(欠乏) | Short(不足) | Adequate(十分) | Surplus(過剰) | |
3週前 | 4 | 18 | 69 | 9 |
2週前 | 7 | 24 | 61 | 8 |
前週 | 8 | 26 | 59 | 7 |
今週 | 9 | 25 | 59 | 7 |
前年 | 2 | 10 | 69 | 19 |
Very Short(欠乏) | Short(不足) | Adequate(十分) | Surplus(過剰) | |
3週前 | 4 | 14 | 71 | 11 |
2週前 | 5 | 19 | 68 | 8 |
前週 | 6 | 22 | 65 | 7 |
今週 | 7 | 21 | 65 | 7 |
前年 | 2 | 9 | 69 | 20 |
表4と表5は土壌の水分量を示している。アメリカ西部の一部の州(ニューメキシコ州やカルフォルニア州、コロラド州、ワイオミング州)で乾燥が進んでいるが、コーンベルトでは多くの州で土壌に生育に十分な水分が存在している。
まとめ
コーンベルトでは今週も順調に農作業が進展した。今シーズンの大豆は作付に続き発芽が終了し、生育が進んでおり開花の14%が終了した。コーンはシルキング期(受粉期)に入り、現時点では平年よりやや遅れている。8月以降の天気予報によれば、気温が平年以上、降水量はコーンベルト北部を除いて平年を上回る見通しで、コーンベルトに干ばつの兆候はない。作柄予想はほぼ据え置かれて、大豆畑の70%、コーン畑の73%で豊作以上の作柄が期待されている。
6月末の四半期在庫と作付面積が今日発表される。作付意向面積よりコーンから大豆への転作が進んでいると予想されている。
2020年3月作付意向面積 | 今日発表の作付面積予想 | |
大豆 | 8350万エーカー | 8550万エーカー |
コーン | 9700万エーカー | 9500万エ-カー |
6月27日付のサバクトビバッタの最新情報を掲載する。図3は現在のバッタの群れの位置を示している。
アフリカではエチオピアにケニア北部からの移動や自国内での繁殖でより多くの群れが出現している。ソマリア・ケニアでも群れの数が増加している。エチオピア国内を北上しているが、南スーダンではいまだ確認されていない。南アジアでは春に生まれた群れがインド・パキスタン国境付近に移動している。パキスタン国内の群れの一部は産卵を始めている。インド国内の群れは北部に広がっており、一部は国境を超えてネパールへ侵入した。イラン南部においては東方への移動により域内の群れの数が減少している。

*色の違いは群れの規模による
図4は今後のバッタの群れの移動予測で、イラン南部の群れはインド北部へ向かって移動中。一部は産卵を始めており、モンスーン後の増殖が警戒されている。イエメンやオマーンの群れはインドへ、サウジアラビアの群れは紅海を渡ってスーダンへ移動する可能性がある。一方で、ケニアやエチオピアからスーダンへ向かうとされる群れはいまだ南スーダン・スーダンに出現していない。

*赤線で囲まれた地域が繁殖地
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。