穀物速報:クロッププログレスレポートと天気予報、サバクトビバッタ速報(つらつらコラム7月14日)

ダイジェスト(クロッププログレスレポートと天気予報)
クロッププログレスレポートによるアメリカの作付状況

7月13日にUSDA発表の最新のクロッププログレスレポートに基づき、2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付進捗状況について紹介する。7月12日の時点での大豆の開花率と着サヤ率、コーンのシルキング率とドウ率は以下の通り。コーンのシルキング期は受粉、ドウ期は粒の形成が始まったことを意味する。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付率終了
大豆発芽率終了
大豆開花率64%48%35%57%
大豆着サヤ率25%11%6%21%
コーン作付率    終了
コーン発芽率終了
コーンシルキング率59%29%30%54%
コーンドウ率4%3%9%7%
表1 大豆とコーンの作付率と発芽率

大豆の農作業は順調に進展し、開花率は平年(40%)より進んだ48%となった。着サヤ率は11%と平年並み(10%)となっている。

コーンはコーンはシルキング(受粉)期が続いている。今週は大きく進展して、シルキング率は29%となり、平年(32%)にほぼ追いついた。一部はシルキングの次のステージであるドウ(粒形成)に入っており、ドウ率は3%と平年並みとなっている。
州別のより詳細な農作業の進捗データはこちら

今期の作柄予想

表2は大豆の作柄予想となる。豊作以上の作柄(Good、Excellent)は68%と前週と比べて豊作以上の割合が3%悪化した。おそらく乾燥の影響だと考えられる。ただし、豊作以上の割合は前年の54%を大きく上回っている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
3週前14255812
2週前14245813
前週14245714
今週25255414
前年3934468
表2 大豆の作柄予想(出展元 USDA)

表3はコーンの作柄予想で、豊作以上の作柄(Good、Excellent)は69%で前週より2%悪化した。大豆と同様に高温乾燥が悪影響を与えていると考えられる。ただ、依然として豊作以上の割合は前年の58%を大きく上回っている。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
3週前14235715
2週前14225716
前週15235417
今週26235217
前年39304810
表3 コーンの作柄予想(出展元 USDA)
コーンベルトの天候予報

図1は直近2週間の気温予報(図1左)と7月から9月の気温予報(図1右)となる。今後3か月の間、コーンベルトでは全体的に平年より気温が高くなる見通し。

降水量予報と土壌の乾燥度

図2は降水量予報で、直近2週間の予報(図2左)ではコーンベルトのほとんどで平年以上の降水量となっており、高温乾燥による作柄へ影響懸念は後退している。3か月予報(7月から9月、図2右)でも、コーンベルトの多くの地域で例年以上の降水量となる予報となっている。

Very Short(欠乏)Short(不足)Adequate(十分)Surplus(過剰)
3週前826597
2週前925597
前週1026577
今週1026577
前年4176712
表4 表層土の水分量(出展元 USDA)
Very Short(欠乏)Short(不足)Adequate(十分)Surplus(過剰)
3週前622657
2週前721657
前週824626
今週825626
前年3137212
表5 深層土の水分量(出展元 USDA)

引き続き、アメリカ西部の一部の州(ニューメキシコ州やカルフォルニア州、コロラド州、ワイオミング州)でひどい乾燥状態となっているが、前年程は降水量は多くないものの、コーンベルトでは多くの州の土壌に生育に十分な水分が存在している。アメリカ全体での土壌中の水分についてまとめた表が表4と表5となる。

まとめ

コーンベルトの高温乾燥懸念が後退し、農作業は順調に進展した。大豆は開花と並行して着サヤが進捗、コーンはシルキング期(受粉期)に続いて一部がドウ期(粒形成期)へ入っている。シルキング率は今週の進捗で平年並みのペースまで追いついた。今後の天気予報によれば、降水量が例年より多い予報と変わり、高温乾燥による作柄悪化の可能性が小さくなった。また、来月以降も十分な降水がある予報となっている。作柄予想は大豆畑の68%、コーン畑の69%で豊作以上(Good、Excellent)の作柄が期待されている。豊作以上の作柄予想は大豆で3%、コーンで2%、それぞれ前週より悪化した。理由は高温乾燥と考えられる。先週前半まで少雨による高温乾燥が大豆とコーンの結実期を直撃することで、作柄が大きく悪化する懸念があり、大豆とコーンの相場は上昇していた。しかし、雨が平年より予報へ変わったことで、作柄悪化懸念は後退し大きく相場が下落した。


7月13日付のサバクトビバッタの最新情報を掲載する。図3は現在のバッタの群れの位置と大きな移動の方向を矢印で示している。
東アフリカの群れの内、ソマリア北部の群れはインド・パキスタンへの移動が始まる見込み。ケニアの北西部の群れの多くは北のエチオピアに移動し、エチオピア国内のバッタの増加と作物の一層の被害拡大が懸念されている。一部の群れはウガンダを経由してスーダン経由でこれまで被害を受けていない西アフリカへ移動すると想定されている。現在スーダンや西隣のチャドではバッタの群れの侵入を確認するため地上調査や監視が行われている。アラビア半島ではイエメンとオマーンで繁殖が進行中となっている。南西アジアではインド・パキスタン国境で間もなく繁殖が始まる。一部の群れはネパールへ達するなどインド北部各地へ現れているが、これらの群れはインド・パキスタン国境へ戻り繁殖に入る。秋にはより大量のバッタが出現することが懸念されている。イラン・パキスタン国境の繁殖地帯には少数の群れが残っている。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200703juneE.jpg
図3 サバクトビバッタの群れの状況(出展元 FAO)
*色の違いは群れの規模による

図4は今後のバッタの群れの移動予測で、ソマリア北部の群れは風に乗ってインド・パキスタン国境へ移動する可能性がある。ケニア北部のバッタの群れはスーダン(南スーダン)経由でへ西アフリカへ向かう見込みだが、まだ確認されていない。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200708forecastE.jpg
図4 サバクトビバッタの群れの移動予測(出展元 FAO)
*実線は確度の高い移動予想、点線は移動可能性

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。