エネルギー速報:OPECプラス会合の行方(つらつら分析7月15日)

 

JMMC会合での8月の減産量の決定

今日、OPECプラスによる合同閣僚監視委員会(JMMC)が開かれ、来月の減産幅の決定が行われる予定となっている。大方の市場予想では4月から行われている日量960万バレルの協調減産が、770万バレルまで縮小されると考えられている。減産の終了は当然ながら値下がり圧力となり、現在40ドル付近で均衡している原油相場を崩すと予想される。世界の燃料用需要は回復に向かっているとされるが、米国内の原油在庫の増加傾向が続いている状況をみると、本当に需要が回復がしているのかには疑いの余地がある。
ここで、これまでの減産量を振り返ると次の通り。

ただし、この数字通りに減産が行われておらず、未履行分が相当量存在している。イラクやナイジェリア、カザフスタン等が未だに減産量未達成となっており、最新のOPECプラスの統計では合計168万バレル分が未実行となっている。
JMMCに先立って昨日行われたOECCプラスのJTC(共同技術委員会)では、この7月までの協調減産の不履行分を8月と9月に分割して実施する案が上がっていると伝わっている。この案が実施されれば、今後の減産量は日量で

となる。減産幅の縮小に伴う200万バレルの供給増は、未達成分追加することで、半分に圧縮されることになり、より穏やかな段階を踏んだ減産解除となる。ただし、該当国は減産量合意にコミットすると伝わっているが、実際に埋め合わせが行われるかどうかは不透明なままとなっている。

6月のOPECのプラスの生産量

昨日、OPECは加盟国の原油生産量を発表した。6月の産油量はOPEC全体で日量2227万1000バレルとなり前月比で7.8%の減少となった。産油量の減った国としては、サウジアラビアが90万バレル、イラクが45万バレルの減少となった。サウジアラビアは自主的な減産、イラクは減産量順守のための減産増加となった模様。またOPECプラスの減産順守率は全体で107%となり、減産の未達成国もある中で、協調減産の目標以上に減産が進んでいる。

今後の見通し

OPECプラスは新型コロナウイルスのパンデミックに伴う需要の急減と原油価格の急落に対応するため4月より、970万から960万バレルの協調減産を行っている。その後、初期のショックが落ち着き燃料需要が確実に回復するのに従って、原油価格もWTIで1バレル40ドル付近まで回復してきた。ただし、原油価格の上昇は、採算ラインを回復した産油国の減産意欲を確実に削いでいると考えられる。例えば、政治的な生産コストの高いサウジアラビアと異なり、ロシアにとっては採算ラインを十分に超えた以上、減産を行う意味がほぼ消失している。むしろ、原油価格の上昇により採算を回復し生産再開も伝えられる、アメリカのシェールオイル産業の回復を阻止するためにも、生産量を増やして原油価格を下落させることを必要としていると考えられる。
ただし、これまでの需要減により世界中に原油在庫が溢れている。加えて新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、再度のロックダウンも噂され、原油需要の先行きに下押し懸念が広がる中で、供給量を増やした場合に原油タンクが本当にあふれる状況が到来する。この場合、買い手が消滅し4月のWTIの急落のような事態が長期にわたって発生する可能性があるのではと考えている。
市場の大方の予想では減産量は770万バレルとなると考えられているが、万が一の減産量維持のサプライズがないかどうかには十分に注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。