テスラ株のS&P50採用可能性(つらつら分析7月20日)

 

ダイジェスト
テスラの株価の上昇

7月1日にEVメーカー、テスラモーターズ(以下テスラ)の株式時価総額が約2100億ドル(約22.6兆円)を超えて、同日に約21.7兆円だったトヨタ自動車を抜いて自動者業界のトップに立った。1月22日に約1000億ドル(約11.2兆円)となりフォルクスワーゲンの時価総額を抜いて以来、わずか半年で実に2倍、直近1年間では580%の上昇となった。2019年の実績で年産わずか36万台余りに過ぎず、創業以来1度も通年黒字を出したことのない企業としては異常な状態となっている。先週金曜日の時点で株価は1500.84ドル、時価総額は2783億ドルに達し、時価総額ランキングで世界17位の企業となっている。企業としてのテスラが注目される理由は環境志向の高まりによる電気自動車へのシフト期待が挙げられるが、今日は株式指標の観点からまとめてみたい。

S&P500

アメリカ株にはいくつかの株式指標があり、ダウ工業株30種やS&P500、ナスダック100などがあげられる。このうちS&P500はアメリカ主要な優良企業の集合体となっており、アメリカ株式市場の時価総額全体の8割近くを占めている。また指標の計算に含まれることは企業が優良大企業として認められたことと同義となる。そのため構成銘柄へ加入するにはいくつかのハードルをクリアする必要がある。それは概ね以下のものとされる。

  1. アメリカに本拠を置く企業であること
  2. 株式の時価総額が53億ドル(約5700億円)以上あること
  3. 流動性が高く、市場に出回る浮動株が50%以上あること
  4. 直近の4四半期(1年)で黒字を維持していること

テスラの場合、直近の4四半期決算での当期利益は、

と推移しており、直近の3四半期は黒字となっている。仮に7月22日に発表される2020年の第2四半期の決算が黒字であれば、S&P500の採用基準のうちテスラにとって最も高いハードルとなっていた直近1年間の黒字を満たす。現在はテスラによって発表されている納車台数は新型コロナウイルスの感染が広がる中でも自社の予想を上回っており、アナリストは黒字になる可能性が高いと分析している。

テスラ採用の影響と今後の見通し

現状のテスラの時価総額はS&P500に採用されている企業群の実に95%の時価総額を足し合わせたよりも多くなっており、同社が加わることで、S&Pに追随する投資商品・ファンドの多くに影響があると言われている。仮にテスラが採用された場合、同社の好調な株価がS&P500指数を押し上げる。指数との乖離を避けるためにファンド等はテスラ株を購入して運用ポートフォリオへ加える必要があり、大型の株式購入が行われ、額は300億ドル以上となると予測されている。1例を上げれば1999年のヤフー株がS&P500への決定後60%上昇した様に、テスラの場合も採用決定で株価が更に60%上昇すると言われており、同社株だけでなくアメリカ株式市場を全体を押し上げる可能性がある。
一方で、加熱するテスラ株の上昇に対して、実際の生産力の小ささや今後のライバル参入での業績先行きの不透明感などから株価が過剰評価であるとの評価もモルガン・スタンレーなどから行われており、アナリストの試算ではテスラ株の適正価格は700ドルほどで、実に800ドル分高いと言われている。値上がり期待から株価は上昇しているが、その一方で、テスラ株の空売りも約200億ドルまで膨らんでおり、仮にS&P500への採用が見送られれば、テスラ株の大幅な下落が予想され、採用の場合とは逆にテスラ株以外にも相場下落が波及すると考えられる。
以上の理由から今週はテスラの決算に注目すべきと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。