穀物速報:サバクトビバッタ速報(つらつらコラム7月22日)

ダイジェスト
最新のサバクトビバッタの情報

7月21日付のサバクトビバッタの最新情報を掲載する。図1は現在のバッタの群れの位置と予想される今後の移動方向を矢印で示している。

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図1 サバクトビバッタの群れの状況(出展元 FAO)
*色の違いは群れの規模による

図2は今後のバッタの群れの広域の移動予測で、ソマリア北部の群れは風に乗ってインド・パキスタン国境へ、ケニア北部のバッタの群れはスーダン(南スーダン)経由でへ西アフリカへ向かう見込みだが、どちらも移動はまだ確認されていない。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200708forecastE.jpg
図2 サバクトビバッタの群れの移動予測(出展元 FAO)
*実線は確度の高い移動予想、点線は移動可能性
南アジア

パキスタンではモンスーンによる雨季に入っている地域で、バッタの産卵が始まっており、今後数週間で孵化が進み、バッタの数がさらに増加すると見込まれている。インドではパキスタンとの国境にあるラジャスタン州でバッタの群れが成熟し始めていて、今後産卵と孵化が進むと考えられる。図3、4に示す通り、インド北部にいたバッタはラジャスタン州へ戻っており、北部での新しい被害の報告は入っていない。今後、雨季までの間に、ソマリア北部から海を渡って、インド・パキスタンの国境地帯に移動が行われる可能性がある。

アフリカ東部

ケニア北西部の群れは減少中で、多くは北のエチオピアへ移動し、エチオピアで繁殖に入る見込み。一部は、南スーダンを通ってスーダンへ移動すると言われているが、制御作戦の成果で当初言われていた規模より小さい可能背が出てきている。エチオピアでは今後雨季に入り、バッタが繁殖し、夏の終わりには増殖して被害がさらに拡大する可能性が指摘されている。ソマリアの群れは東に向かって移動しており、海を超えてインドへ向かう可能性がある。イエメンでは大雨により、洪水が発生した跡の土地でバッタが繁殖に入っている。スーダンではいまだ群れ単位での飛来は確認されていない。

農作物の被害と今後の見通し

今回のバッタの被害が出るとFAOが警告した地域は21か国で食料生産順に並び替えると(インド、パキスタン、ナイジェリア、イラン、エチオピア、マリ、イラク、スーダンニジェールブルキナファソ、ケニア、ウガンダ、チャドセネガル南スーダン、サウジアラビア、イエメン、エリトリア、モーリタニア、ソマリア)で、合計して4.26億トンの穀物を生産している(斜体字はバッタが未到達の地域)。この量はアメリカの穀物生産量4.16億トンを超えており、全世界の穀物生産の16%を占めている。既にインドとパキスタンでは非常事態が宣言されており過去20年で最悪のバッタによる被害が出ると予想されている。アフリカではWMO(世界気象機関)の推計によると、2019年末からソマリアとエチオピアの7万ヘクタールの農地と、ケニアの2400平方キロメートルの牧草地が破壊された。ICPAC(WMOの下部組織)の推計でも、エチオピアでは11.4万ヘクタールのソルガム、4.1万ヘクタールのコーン、3.6万ヘクタールの小麦が被害を受けている。ただし、バッタの被害は群れの移動した場所に局所的に出るため、壊滅した畑の隣の畑は無事なこともあるため、被害の推計に時間を要している。既に被害を受けた地域では食料価格が高騰し始めていると伝わっているが、いまだ、国際穀物市場に影響は見えていないと考えられる。
現在のところ雨季の訪れとともに春の群れによる被害は一段落して、繁殖に入っていると考えられるが、数週間後には数百倍の数となって夏の群れが再来するため更なる被害が予想されている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。