穀物速報:バッタ速報(つらつらコラム8月10日)

ダイジェスト

最新のバッタの情報

世界各地でバッタの害が広がっている。今日は8月7日にFAO(国連食糧計画)が発表したサバクトビバッタの最新情報を中心にお伝えする。

南アジア・東アフリカのサバクトビバッタ

図1は現在のバッタの群れの位置と予想される今後の移動方向を矢印で示している。南アジアの群れは、インドとパキスタンの国境地帯での産卵をほとんど終えており、広い範囲での夏の成虫となる卵の孵化が始まっている。一方で、残っている春生まれの成虫はわずかとなっている。

東アフリカでは未成熟な群れが、エチオピア北部からジブチにかけての緑豊かな地域やソマリアの紅海沿いで確認されている。ケニアには春の生き残りが点在している。南スーダンの南部にバッタの群れが到着した。スーダンには未だ群生相の成虫は到着していない。
アラビア半島ではイエメンの内陸部での大雨で繁殖が進み、新しい群れが海岸部へ到着した。オマーンでは海岸部で新しく生まれた若い群れへの駆除作戦が進められている。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200807DLupdate.jpg
図1 サバクトビバッタの群れの状況(出展元 FAO)
*色の違いは群れの規模による

図2は今後のバッタの群れの広域の移動予測で、今後ソマリア北部の群れは風に乗ってインド・パキスタン国境へ、ケニア北部のバッタの群れはスーダン(南スーダン)経由で繁殖に入る見込み。また、スーダンからモーリタニアに至るサヘル地域にはまだ群れは存在しないが、群生相でない通常(孤独相)のサバクトビバッタの繁殖が進んでいる。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200803forecast.jpg
図2 サバクトビバッタの群れの移動予測(出展元 FAO)
*実線は確度の高い移動予想、点線は移動可能性
中国のバッタとイナゴ

ラオスから移動してきたバッタ(黄色角竹バッタ)で中国南部の雲南省で被害が発生している。主な餌は竹やイネ科の植物(稲やコーン)で8月上旬までにおよそ1万ヘクタールの農地で被害が発生すると予測されている。いまだFAOが動く事態にはなっていないが、これらのバッタは繁殖期に入っており、さらに被害が拡大する可能性がある。

南米のミナミアメリカバッタ

特に新しい情報はない

農作物の被害と今後の見通し

FAOによれば、サバクトビバッタによって東アフリカのケニア、エチオピア、ソマリアで2500万人、イエメンなどのアラビア半島で1700万人が食糧危機に瀕している。、また、南アジアのインド・パキスタンでは大きな被害が出ているが本番はこれからといえる。現地では夏の穀物(6から10月作)が植えられており、今後夏の成虫によって収穫までの間に甚大な被害が出る可能性が指摘されている。例えば、パキスタンでは最大で7割の被害が農作物に発生するとも言われている。駆除は進められているが、南アジアでの被害は始まったばかりなので、今後の報告に注意したい。特にインドは現時点では穀物輸出国だが、今回のバッタ被害と新型コロナウイルスの感染拡大で食糧生産がどうなるのかに特に注目したい。仮にインドが大量の穀物を輸入しなければならない状況に陥れば、大量の人口を抱えるだけに世界の穀物市場に大きな影響があると思われる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。