エネルギー速報:OPEC8月月報(つらつらコラム8月17日)

ダイジェスト

OPEC月報

8月13日にOPECは今月の月報を公開した。今日は2020年の世界経済の見通しと原油需要の見通し、生産量の見通しについて見ていきたい。

2020年の経済見通し

2020年の経済成長率の見通しは先月の月報での予想-3.7%から、新型コロナウイルスの感染拡大による影響が拡大し-4.0%となった。2021年には+4.7%の成長になる見通し。世界最大の原油消費国であるアメリカは2020年の成長率は-5.3%、2021年の成長率は+4.1%となる見通し。世界の主要地域の成長率予想は下表の通り。

経済成長率2020年2021年
世界-4.0%+4.7%
アメリカ-5.3%+4.1%
EU-8.0%+4.3%
日本-5.1%+3.2%
中国+1.8%+6.9%
インド-4.6%+6.9%
ブラジル-7.0%+2.4%
ロシア-4.7%+2.9%
表1 2020年から2020年の世界主要地域の経済成長率(出展元 OPEC)

経済成長率から推定される原油の需要は前年比で日量910万バレルの減少となり、先月の予想から10万バレル下方修正された。これは発展途上国の経済活動の落ち込みを反映している。発展途上国の経済が予想以上に落ち込んでいるが、欧州が都市封鎖を緩和したことで、需要が回復し大部分は相殺された。2020年下期は途上国の経済の落ち込みが続くことから需要が下方修正され日量9060万バレルとなる見通し。2021年に入ると新型コロナウイルスの収束を予想し、世界経済の回復から需要は700万バレル増加した日量9760万バレルとなる見通し。

原油供給予想

2020年第2四半期の世界の原油生産量は劇的な減少となったが、生産は徐々に回復し2020年下期の生産量は前年比で日量303万バレルの減少に留まる見通し。これは南北両アメリカにおける原油生産量が予想以上に回復していることに基づいている。非OPEC諸国の減産は2020年第2四半期に日量600万バレルに達したが今後は生産量が回復し、2021年後半にはカナダの原油生産量の主導で前回の予想に比べて日量98万バレルの生産量の増加となると予想されている。ただし、アメリカの原油生産についての不確定性が高く、正確な予想とは言えなくなっている。一方でOPECの7月の原油生産量は日量2317万バレルと前月より98万バレル増加した。

原油輸入と在庫

現在原油の輸出入のために使われるタンカーの市況は、世界の原油需要の低迷で7月のOPEC諸国からの積み出し量が市場最低を記録したこともあり低水準にとなっている。一方で米国の原油輸出量は今年2月のピークである370万バレルにははるかに及ばないものの、7月に入って日量280万バレルと回復基調となり、OPECプラスの減産分がアメリカに振り替えられたと言える。一方のアメリカの原油輸入量は7月に入って減少している。日本の原油輸入量は製油所の稼働率低下により6月には過去10年で最低を記録し、ピーク時より39%の減少となっている。中国の原油輸入量は値下がり時に購入した原油の到着が続いたことにより、6月には日量1300万バレルと過去最高を更新、貨物の集中により荷揚げが遅れたため7月もこの水準を維持すると見られている。インドの輸入量は2019年第1四半期からの減少が続き、6月には9年振りの低水準となる日量330万バレルまで減少している。

6月のOECD諸国の国家備蓄を除いた原油と石油製品の在庫は、5月に比べて2430万バレル増加し、32億4000万バレルと前年比で3億150万バレルの増加、直近5年と比べても2億9120万バレル上回っている。OPEC諸国では原油在庫は1億2030万バレルの過剰在庫、石油製品は1億7090万バレルの過剰となった。2020年のOPECの原油需要は前年比で日量590万バレルの減少となるが、2021年には2020年と比べて590万バレルの増加を見込んでいる。ただし、前月の予想と比べて2020年の需要が40万バレル、2021年の需要が50万バレル引き下げられた。

今後の見通し

そもそものOPECの原油需要予想は2021年には新型コロナウイルスの収束を織り込んでいるなど、楽観的であると思われる。ただ、その予想ですら、最近の新型コロナウイルスの感染拡大から、需要全体の下方修正が行われている。一方で、生産量予測は前月予想より上方に改訂され、生産の回復が加速すると予想している。ただし、アメリカの原油生産がどうなるかは不確実としている。OPECによる供給は2020年6月を底にして、7月には増加したことが明らかになった(協調減産量は6月と7月で変化はないとされている)。中国を除く世界各国の原油輸入量が落ち込みつづけ、過剰な原油・石油製品在庫が各国に抱えられている中で、来年には原油輸出需要が回復するというOPECの見通しは未だ非常に強気なものと言えるのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。