目次
ダイジェスト
- 大豆は過去3年間の収穫を上回る見込み、加えて、USDAの8月の収穫予想を上回る可能性
- コーンの収量は過去3年間の平均収量を上回る見込みだが、USDAの8月の収穫予想には届かない可能性
プロファーマー社のクロップツアー
アメリカの農業調査・分析会社プロファーマー社のクロップツアーが始まった。このツアーは、100人以上のスタッフが2-4人の調査チームに分かれて、実地調査を行う。調査ルートはアメリカ中西部に東西に分かれた形で20のルートが設定されており、全4日間の日程で調査が行われる。実地調査は各地の畑で大豆とコーンと土壌のサンプリングを行い、コーンの収量、大豆のサヤの数、畑の水分量などを地域・郡ごとに計算する。調査ツアーは月曜日のオハイオ州とサウスダコタ州を皮切りに今週の木曜日まで行われる。日程は以下の通り。
東部
- オハイオ州
- インディアナ州
- イリノイ州
- アイオワ州東部
- ミネソタ州南部
西部
- サウスダコタ州
- ネブラスカ州
- アイオワ州西部
- ミネソタ州南部
今日はこのクロップツアーの火曜日の結果までを紹介する。
大豆
大豆は収穫量については推計されず3×3フィートの大豆畑中の大豆のさやの数を推計している。表1はツアーの結果と過去3年間の平均及び今シーズンのUSDAの推計収量を示している。
ツアー結果(Pods) | 過去3年の平均(Pods) | USDAの収量予想(ブッシェル/エーカー) | |
東部ルート | |||
オハイオ州 | 1155.68 | 1039.74 | 58 |
インディアナ州 | 1281.12 | 1134.86 | 61 |
西部ルート | |||
サウスダコタ州 | 1250.86 | 919.04 | 50 |
ネブラスカ州 | 1297.93 | 1213.64 | 62 |
結果が発表された全ての州でサヤの数が過去3年間の平均を上回り、豊作が予想される。特にサウスダコタ州では前年比で30%近くの増収が予想される。
コーン
コーンについてはツアーで収量が発表される。表2はツアーの結果と過去3年間の平均及び今シーズンのUSDAの推計収量をまとめたものになる。
ツアー結果(ブッシェル/エーカー) | 過去3年の平均(ブッシェル/エーカー) | USDAの収量予想(ブッシェル/エーカー) | |
東部ルート | |||
オハイオ州 | 167.69 | 166.18 | 175 |
インディアナ州 | 179.84 | 171.67 | 188 |
西部ルート | |||
サウスダコタ州 | 179.24 | 158.59 | 167 |
ネブラスカ州 | 175.15 | 172.38 | 191 |
コーンについても過去3年間の平均を全ての州で上回る豊作となるものの、多くの州ではUSDAが推定した今シーズンの収量には届いていない。サウスダコタ州では過去最高の記録を更新する可能性が指摘される一方、オハイオ州など他の3州では進む乾燥が、更なる増収を阻んでいると調査チームからコメントされている。
まとめ
大豆とコーンについて毎年恒例となる民間農業調査会社の実地調査が今年も始まった。調査の半分が終了しているが、大豆、コーン共に過去3年間と比較すると良好な収穫になると見込まれている。
大豆についてはサウスダコタ州を始めとして4州中3州で過去3年間のサヤ数の平均を大きく上回っており、USDAの今月の収穫予想を超えるというコメントも出ている。
コーンも全ての州で過去3年間の収穫量を上回る見込み。特に、去年霜による害を受けたサウスダコタ州は大幅に収穫が増加するが、その他の3州では現在のところ乾燥のため、収量がUSDAの予想に届かない見込みとなっている。
今年が豊作となることはほぼ間違いないが、大豆とコーンで程度に差がある可能性がある。大豆については予想以上に順調でUSDA予想を上回り来月以降のUSDAの需給報告での上方修正が予想される。一方、コーンについては逆に下方修正の可能性がある。今回のクロップツアーは今日と明日で残り3州に対して行われる。予想外の結果が出れば相場も反応するため、結果に注目しておきたい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。