エネルギー速報:EIA週間原油統計(つらつら分析8月20日)

 

ダイジェスト
EIA週間統計の総評

今週発表のEIA週間原油統計では原油在庫が163万バレル減少と4週間連続の減少となった。原油在庫は急落した4月末の水準を下回っている。原油生産量は横ばいで、輸出入は360万バレルの輸入超過となった。石油製品ではガソリン在庫が332万バレルの減少、留出油在庫は15万バレルの増加となった。原油と全ての石油製品を合わせた在庫量は20億9500バレルと前週比で約500万バレルの減少となった。一方でオクラホマ州クッシングの原油在庫は60万バレル減少と7週間振りの減少となった。

原油と石油製品の在庫

原油在庫が163万バレルと4週間連続の減少となり、SPRを除く在庫は5億1250万バレルとなり、4月17日の水準まで在庫が減少している。ガソリン在庫は332万バレル、留出油在庫が15万バレルの増加となった。オクラホマ州クッシングの原油在庫は60万バレル減と7週間振りの減少となっている。

API統計 EIA統計  EIA統計前週  EIA統計2週前  EIA統計3週前  
原油(万バレル)426減163減451減737減1061減
ガソリン(万バレル)499増332減72減41増65増
留出油(万バレル)96減15増232減159増50増
クッシング在庫(万バレル)59減60減133増53増130増
表1 原油・石油製品在庫 (出展元 EIA)

図1は原油在庫の過去2年分の推移、図2はガソリン在庫の過去2年分の推移、図3は留出油在庫の過去2年分の推移となる。それぞれ図は今年の在庫推移(青線)と過去5年間の在庫レンジ(灰色)とを比較している。4週間連続で原油在庫の減少が続いている。

図1 原油在庫推移(出展元 EIA)
図2 ガソリン在庫推移(出展元 EIA)
図3 留出油在庫推移(出展元 EIA)
原油生産と輸出入、戦略備蓄(日量)

今週の原油生産量は日量1070万バレルで前週から横ばいだった。生産量は最盛期(1310万バレル)に比べて240万バレル少ない。今週の輸出は前週と比べて1日当たり約81万バレル減少した213万バレルに、輸入は先週より11万バレル増加して573万バレルとなった。輸入の内訳は日量でカナダ産335万バレル(前週343万バレル)、サウジアラビア産43万バレル(前週29万バレル)、メキシコ産64万バレル(前週58万バレル)、イラク産0万バレル(前週35万バレル)、コロンビア産27万バレル(前週10万バレル)、エクアドル産27万バレル(前週20万バレル)、ナイジェリア産6万バレル(前週4万バレル)、ブラジル産6万バレル(前週0万バレル)等でサウジアラビア産、コロンビア産、ブラジル産等、南米からの輸入が増加し、アフリカからの輸入が減少した。輸出入では日量360万バレルの輸入超過(前週比112万バレル増)となっている。
今週、Adjustmentが前週の-51万バレルに比べて93万バレル増加した42万バレルとなった。Adjustmentは需要と供給それぞれの不確実性(計算のずれなど)のつじつまを合わせて相殺するために需給の計算に加えられる。今週の統計は前週と反対に供給が減る形となった。

原油生産と輸出入今週   前週   2週前   3週前   4週平均  前年同時期  
原油生産(万バレル/日)107010701100111010871230
戦略備蓄増加(万バレル/日)000000
原油輸入(万バレル/日)573562601514562721
原油輸出(万バレル/日)213314281321282280
Adjustment(万バレル/日)-4251-6041920
表2 原油生産と戦略備蓄、輸出入 (出展元 EIA)
*Adjustmentの-はマイナス補正を意味している
石油製品生産量(日量)と製油所稼働率

製油所の稼働率が0.1%低下した80.9%とほぼ横ばいだったが、製油所への原油投入量は日量約17万バレル減少した1448万バレルとなった。前年の95.9%に比べると稼働率は大幅に低い。前週と比較してガソリン生産量は日量約20万バレル減少した940万バレル、ジェット燃料の生産は約9万バレル増加した102万バレル、留出油の生産量は約4万バレルと微減した474万バレルとなった。

製油所稼働率等今週   前週   2週前  3週前  4週平均 前年度同時期   
原油投入量(万バレル/日)144814651463145914651770
製油所稼働率(%)80.981.079.679.580.395.9
ガソリン生産(万バレル/日)  940960930915936989
ジェット燃料生産(万バレル/日)10293859293195
留出油生産(万バレル/日)   474478490478480534
表3 石油製品生産量 (出展元 EIA)
石油製品供給(日量、需要)

石油製品の供給(需要)では前週と比較してガソリン供給が日量25万バレル減少した863万バレル、ジェット燃料の供給は横ばいだった。留出油の供給は前週と比べて61万バレルと大幅に減少した325万バレルとなった。

石油製品供給(日量)今週  前週  2週前  3週前  4週平均  前年同時期  
ガソリン供給(万バレル/日)863888861880873962
ジェット燃料供給(万バレル/日)9898101102100190
留出油供給(万バレル/日)325386370363358375
表4 石油製品供給(需要)量 (出展元 EIA)
石油製品需給(日量)

前週と比べて製油所の稼働率は横ばいだったが、原油消費量は日量17万バレルの減少となった。石油製品ではガソリンの生産量が前週比で20万バレル減少、供給量は25万バレルの減少となったが、輸入が47万バレルの減少となったことでガソリン在庫は減少している。留出油は生産量が4万バレルの微減だったが、供給量が61万バレルと大きく減少した。輸入が10万バレル減少、輸出が10万バレルの増加と輸出入は在庫減少に作用したが、供給減が大きく留出油は在庫増加となった。ジェット燃料の生産量は9万バレルの増加で、供給量は横ばいだった。依然として、ジェット燃料の需要は低く前年の半分程度となっている。石油製品全体の供給(需要)量は日量1715万バレルと、前週の1936万バレルに比べて約221万バレルの大幅な減少となったが、石油製品の輸出が日量約200万バレル増加するなど好調だったことで、全ての石油製品在庫に原油在庫を加えた全石油在庫は21億9500万バレルと前週から約500万バレルの減少となった。

石油製品価格

表5はニューヨーク港渡しの石油製品の価格となる。ガソリンの市中への供給量は減少し、ガソリン卸売価格は約5セント上昇した。ディーゼル燃料は供給が大幅に減少し、卸売価格は前週から1セントの上昇とほぼ横ばいとなった。

スポット卸売価格(ニューヨーク港渡し)8/14    8/7   7/31   7/24   7/17   前年同時期  
レギュラーガソリン価格(ドル/ガロン)1.2341.1821.1471.2451.1971.679
ディーゼル燃料(ドル/ガロン)1.2241.2141.2151.2621.2241.796
原油(ドル/バレル)42.0541.1640.1041.2340.5554.41
表5 石油製品受渡価格 (出展元 EIA)

表6は石油製品の小売価格の全国平均を週ごとに集計したものとなる。ガソリン価格、ディーゼル燃料価格共にほとんど横ばいだった。

小売価格8/17   8/10   8/3    7/27   7/20   前年同時期    
レギュラーガソリン価格(ドル/ガロン)2.1662.1662.1762.1752.1862.624
中間グレードガソリン価格(ドル/ガロン)   2.5772.5782.5872.5822.5843.010
プレミアムガソリン価格(ドル/ガロン)2.8292.8262.8342.8382.8363.266
ディーゼル燃料価格(ドル/ガロン)2.4272.4282.4242.4272.4333.011
表6 石油製品全国価格 (出展元 EIA)
今後の見通し

今週のEIAの統計ではアメリカの原油生産は横ばいだった。需要側では製油所の稼働率が横ばいだったが、原油の消費量が日量17万バレル減少した。原油輸出は前週と比べて1日当たり81万バレル減少した213万バレルに、原油輸入は先週より11万バレル増加して573万バレルと360万バレルの輸入超過となった。そのため原油在庫の減少幅が前週よりも小さくなっている。石油製品についてはガソリンは輸出の増加による在庫減で、留出油は輸入の減少と輸出の増加が在庫減少に働いたが、供給量が前週比で大幅に減少したため、在庫が増加した。前週より石油製品の輸出が日量200万バレルの増加となったことから、全ての石油製品と原油を合わせた在庫量は、20億9500万バレルと前週比で500万バレルの減少となった。市中のガソリン、ディーゼル燃料の価格は今週もほぼ横ばいで、不足しているような状況にはないと考えられる。
前週は日量30万バレルの減少だったアメリカの原油生産の減少の流れが続くかに注目していたが、今週は横ばいとなった。今週のEIA統計の結果は、原油在庫も石油製品在庫も輸出入が全てを決めているように思われる。アメリカ国内の石油製品の供給量(市中の需要)は過去1か月の間、日量1700万バレルから1900万バレルの間で増減を繰り返している。アメリカの夏のドライブシーズンは間もなく終わりを迎えるため、市中の需要が前年同時期並みの2100万バレルに近づくような、伸びは今後期待できないのでないかと思われる。例年では間もなく在庫の増加期へ移行するため、在庫が増加に転じてくると考えている。

今週開催されたOPECプラスによるJMMCはOPECプラス全体で97%の減産遵守率となったことを発表したが、これはあくまで全体での数値であり5月以降に減産を遵守していない生産国に対し、2020年9月までに減産を補償することを確認して終了した。次回は9月17日に開催予定。
今回のJMMCでは2020年7月に世界の原油在庫が減少に転じたと主張したが、需要回復のペースが遅いとも認めており、年末に向けて原油需要の不透明性は増していると考えられる。実際にアメリカ国内の需給を見ても需要回復のペースが鈍化しているように見えており、年末に向けて原油生産の増加が起きていることから原油価格が下落するのではないかと考えている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。