穀物速報:バッタ速報(つらつらコラム8月3日)

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最新のバッタの情報

世界各地でバッタの害が広がっている。今日は7月29日付でFAO(国連食糧計画)が発表するサバクトビバッタの最新情報を始め、世界各地のバッタの情報にまとめた。

南アジア・東アフリカのサバクトビバッタ

図1は現在のバッタの群れの位置と予想される今後の移動方向を矢印で示している。インドとパキスタンの国境地帯では夏の繁殖期を迎えており、多数の群れが集まって産卵を行っている。初夏に産卵が行われた一部はすでに孵化が進んでいて新しい群れの形成が進んでいる。
イランでは移動に伴いバッタの数が減少しており、状況が改善している。

東アフリカでは夏の産卵に向けて北に向かって群れが移動しており、エチオピア北部からスーダンで夏の繁殖を始める見通し。ケニア国内の群れの多くはエチオピアへ向かって北上していて、国内のバッタの数は減少している。
アラビア半島ではイエメンの内陸部で大雨となっており、繁殖が進んでいる。オマーンでは海岸部で群れの制御作戦が進められている。

図1 サバクトビバッタの群れの状況(出展元 FAO)
*色の違いは群れの規模による

図2は今後のバッタの群れの広域の移動予測で、ソマリア北部の群れは風に乗ってインド・パキスタン国境へ、ケニア北部のバッタの群れはスーダン(南スーダン)経由で繁殖に入る見込み。スーダンでは調査が進められているが、未だ大きな群れが到着したとの報告はない。

図2 サバクトビバッタの群れの移動予測(出展元 FAO)
*実線は確度の高い移動予想、点線は移動可能性
中国のバッタとイナゴ
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図3 黄色角竹バッタ(出展元 一般社団法人環境金融研究機構 )

先月、ラオス側でバッタ(黄色角竹バッタ、図3)が発生して中国南部の雲南省へ移動している。主な餌は竹やイネ科の植物とされている。これらのバッタの一部はベトナムに北部に移動して被害が発生している。

南米のミナミアメリカバッタ
図4 南米のミナミアメリカバッタ関連地図(出展元 BBC)

ミナミアメリカバッタの群れは5月にパラグアイで発生した(図4)が、現在2番目の群れが南下してアルゼンチンのコリエンテス州に入っている。3番目の群れはパラグアイ国内に留まっている。夏が終わり収穫が終わりつつあったため、農場の牧草以外に大きな被害はない。パラグアイ、アルゼンチン領国内で駆除が進んでいるが、今後東のブラジルとウルグアイへ向けて移動することが懸念されており、ブラジルでは冬小麦や果物等の作物に被害が出ることを避けるため監視と駆除の準備が行われている。

農作物の被害と今後の見通し

サバクトビバッタに関してはFAOが警告した地域は21か国であり、東アフリカのケニア、エチオピア、ソマリアでは深刻な被害と食糧不足が発生している。東アジアでは、インド・パキスタンで大きな被害が出ている他、折から現地では新型コロナウイルスの感染拡大が進んでいることもあり、今後食料が大きく不足する可能性があると報道されている。夏の繁殖に入ったため動きは小さくなっているが、夏の群れの孵化が始まっており、今後の報告に注意したい。

サバクトビバッタ以外のバッタやイナゴが各地で発生している。中国の南北で被害が出ている他、南米でもミナミアメリカバッタが襲来している。仮に中国で大きな農作物被害が出た場合や、南米で冬の間の駆除に失敗して、ブラジルなど周辺諸国へ被害が拡大するような場合には、小麦やコーン、大豆といった食料価格が高騰する可能性があるので、少なくとも年内は南アジア・アフリカ以外のバッタの状況も押さえておきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。