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コラム
column

2020/08/31

穀物速報:バッタ被害の現状(つらつらコラム8月31日)

ダイジェスト
  • サバクトビバッタは次の世代の孵化までしばしの時間が必要
    • パキスタンでは農業生産に深刻な打撃
  • 南米では群れが南下し、ブラジル南部に侵入する可能性がある
    • 現地は冬のため動きは鈍い
  • 中国ではコーン畑や水田で被害が広がっている。大洪水の影響もあり来年にかけてコーンが不足する可能性
    • 駆除は進められているが、対策の進まないラオスからの侵入で中国では被害が拡大する可能性あり

最新のバッタの情報と各地の見通し

今年の春ごろから世界各地でバッタの群れによる被害が出ている。今日は最新の各地の状況と今後の簡単な見通しについて確認しておきたい。

南アジア・東アフリカのサバクトビバッタ
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200814_NW_Somalia_Hargeisa.jpg
図1 ソマリアでのサバクトビバッタの群れ (出展元 FAO)

図1はソマリアで撮影されたサバクトビバッタの群れで空を覆うように飛行していることがよくわかる。図2はFAOによって確認されているサバクトビバッタの群れの位置を示している。
アフリカの角と呼ばれる東アフリカのケニア・エチオピア・ソマリアでは、群れが成熟し始めており、今後10月に雨が降ると次の世代が生まれる。群れの一部は移動しており、西ではウガンダ北東部、南スーダン南東部へ到着した。今のところ更に移動が可能な状態で現地では繁殖しないと思われる。エチオピア国内の群れは国内にとどまっており、アフリカの角からインド・パキスタンへ移動する可能性はほぼなくなった。西アフリカのその他の地域(チャド、ニジェール、マリなど)では通常通り巨大な群れにならない孤独相のサバクトビバッタの繁殖が起きている(図中黄色)。
アラビア半島ではイエメンで誕生した群れが紅海沿いに北に移動しており、今後繁殖に入る見込み。
南アジアではインド・パキスタン国境で繁殖中だが、現地では農薬散布による駆除作業が続けられている。ただし、FAOの発表によるとパキスタンではおよそ4割の農地で被害が発生しており、被害推計は冬作物で26億ドル、夏作物で30億ドルに達する見込みで、パキスタンでは深刻な食糧問題につながることが懸念されている。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200824global.jpg
図2 サバクトビバッタの状況 (出展元 FAO)
南米のミナミアメリカバッタ
A locust is seen on a plant, in Gran Guardia, Formosa, Argentina 1 June 2020
図3 ミナミアメリカバッタ (出展元 ロイター)

図3はミナミアメリカバッタの写真(ただし、今年の写真かは不明)。アルゼンチンでは北部のフォルモサ州とサンタフェ州でコーンやサトウキビ、小麦、大麦畑でバッタの被害が発生している。現在群れはさらに南のアルゼンチンのコリエンテス州にいる。現地は冬のため気温の低下で群れの動きが緩慢になっているが、隣接するウルグアイやブラジルのリオグランデ・ド・スル州とサンタ・カタリーナ州では侵入に対して警戒を高めている。

中国のバッタとイナゴ
A cornfield damaged by locusts. Photo: Handout
図4 バッタ被害を受けた中国南西部のコーン畑(出展元 South China Morning Post)

公式統計によると8月17日の時点で、中国南西部のバッタの被害を受けた地域は、7月の倍の106平方キロメートルに達した(図4は被害を受けたコーン畑)。現地では駆除は進んでいるが、ラオス側からの越境が続いており、コーン畑と水田で大きな被害が発生している。特にコーンの被害は、大洪水で生産の低下しているコーンに更に打撃となる見込みで、中国農業展望委員会の最新の数値では来年までに合計で1600万トンに及ぶコーンが不足する可能性があると指摘されている。不足するコーンは輸入に頼るしかないと考えられるので、来年にかけて中国のコーンの大量購入の動機になると考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。

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