エネルギー速報:OPECプラスJMMC会合の行方(つらつらコラム9月16日)

 

ダイジェスト
世界の原油需要推計

今月のOPECの月報での2020年の原油の世界(OECD加盟国)需要は、8月の月報時と比べて1日当たり40万バレル減少幅が広がり、前年度より950万バレル少ない日量9020万バレルに留まると予想している(15日発表のIEAの需要推計では前月予想比20万バレル減少した日量9170万バレル)。主にアジアの原油需要の減少(インドが前年比約2割減、日本が前年比約3割減など)と交通需要の回復の遅れが原因となっている。2021年の原油需要の成長幅も40万バレル引き下げられた日量660万バレルとなり、2021年の原油需要は日量9690万バレルになると予想している。
一方で原油の供給量は原油価格の高止まりによる生産量の増加で、アメリカの生産量が6月に日量36万バレル増加したことなどで、およそ100万バレル増加し前年からの生産量の減少幅は270万バレル(アメリカ100万バレル、ロシア110万バレル等)に縮小すると予測している。2021年の原油生産量も前月から100万バレル引き上げられた。主にアメリカ、カナダ、ブラジル、ノルウェーなど非OPECプラスの産油国の増産が予想されている。

9月のJMMC会合の内容について

今月、主要生産国で構成されるOPECプラスは17日にJMMC(合同閣僚監視委員会)を開く。協調減産は続いているが、サウジアラビアなど3か国の自主減産の終了後、7月からOPEC産油量は増加傾向にある。7月には自主減産の終了が要因で67万バレル、8月には協調減産幅の縮小が要因で96万バレルの増加となった。一方で減産枠の遵守は十分に行われていない。OPEC全体では高い遵守率(7月95%、8月99%)にあるが、個々のイラクやナイジェリアといったOPEC加盟国に目を向けると減産枠が守られていない状況が続いている。イラクは8月9月で減産の穴埋め努力を行っていたが、結局埋めきることが出来ず相殺期間は11月まで延長される見通しにあると報道されている。一方でイラク国内ではいわゆるイラク戦争によるフセイン政権崩壊以降の経済の落ち込み、新型コロナウイルスの感染拡大により疲弊し、国内では原油の増産を求める声が高まっており、穴埋め期限の延長ではなく穴埋め減産の免除を申し出たとの報道や、エクアドルのようにOPEC脱退を検討しているなどの憶測も伝えられている。

今後の見通し

OPECプラスは新型コロナウイルス感染拡大による原油需要の急減と原油価格の急落に対応するため4月より、970万から960万バレル、8月より770万バレルの協調減産を行ってきた。その後、燃料需要が回復するのに従い、原油価格もWTIで1バレル40ドル付近まで回復、8月にはアメリカの様に減産から増産へと舵を切る国も出始めた。ただし、これまでの需要減により世界中に原油在庫が溢れている。これまで中国のみが原油の買い増しを行ってきたが、在庫の限界により購入量が減少していることがタンカー運賃の下落からも判明している。
市場の大方の予想では17日にJMMCで決定される10月のOPECプラスの原油減産量は770万バレルで据え置きとなると考えられているが、市場には減産量拡大期待も出てきている。一方で減産による経済の疲弊から、減産量の縮小や枠組み脱退などの増産側のサプライズもありうる状況になってきていることに留意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。