穀物速報:クロッププログレスレポートと天気予報(つらつらコラム9月22日)

ダイジェスト(クロッププログレスレポートと天気予報)
クロッププログレスレポートによるアメリカの作付状況

9月21日にUSDAが発表した最新のクロッププログレスレポートより2020/2021年シーズンの大豆とコーンの作付進捗状況について紹介する。9月20日の時点での大豆の落葉率と収穫率、コーンのデント率と成熟率、収穫率は以下の通り。なお、大豆は落葉期が終われば収穫期に入る。コーンは粒の成熟が進むデント期、収穫前の成熟期、収穫期の順番に進行する。

今週    前週    前年同時期 平年(5年平均)  
大豆作付率終了
大豆発芽率終了
大豆開花率終了
大豆着サヤ率終了
大豆落葉率59%37%29%50%
大豆収穫率6%NA2%6%
コーン作付率    終了
コーン発芽率終了
コーンシルキング率終了
コーンドウ率終了
コーンデント率95%89%76%90%
コーン成熟率59%41%26%49%
コーン収穫率8%5%6%10%
表1 大豆とコーンの作付率と発芽率 *NAはデータなし

大豆の農作業は順調に進展しており、落葉率は平年の50%を上回る59%となっている。大豆の収穫が始まっているが、進捗は平年並みとなっている。
コーンのデント率は平年(90%)に対して95%とほぼ作業が終了した。成熟率は平年の49%に対して59%となっている。収穫率は平年(10%)並みの8%となっている。州別のより詳細な農作業の進捗データはこちら

今期の作柄予想

表2は大豆の作柄予想で、平年(Fair)以上の割合はが90%と前週から1%改善した。豊作(Good)以上の割合は63%と前週より据え置かれた。前年(54%)との比較では、豊作以上の作柄の割合は今週も引き続き9%高い状態となっている。8月上旬に暴風の被害を受けたアイオワ州の作柄の悪化が止まったが、カンザス州で作柄悪化が起きているが理由は不明(後述の畑中の水分量では十分な水分があるため乾燥が原因ではないと思われる)。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
3週前37245313
2週前37255213
前週38265013
今週37275112
前年31033459
表2 大豆の作柄予想(出展元 USDA)

表3はコーンの作柄予想で、畑全体の86%が平年並み(FairとGood、Excellent)以上と前週より1%作柄が改善した。豊作以上(GoodとExcellent)の割合は61%となり、前週より1%の改善となった。前年の57%という数字を上回っている状況に変化はない。暴風の被害を受けたアイオワ州で豊作以上の割合は42%と他の州より作柄が悪いが、悪化が止まった。

Very PoorPoorFairGoodExcellent
3週前59244814
2週前510254615
前週510254614
今週59254714
前年310304611
表3 コーンの作柄予想(出展元 USDA)
コーンベルトの天候予報

図1は直近2週間の気温予報(図1左)と最新の1か月気温予報(図1右)となる。2週間後のコーンベルトでは全体的に平年以下の気温となる予報となった。一方で、今後1か月間の予報では、全国的に平年より気温が低くなる見通し。

降水量予報

図2は降水量予報で、直近2週間の予報(図2左)では、東側の一部を除いたコーンベルトの大半の地域で平年以下の降水量となる。今後1か月間の予報(図2右)でも、ほとんどの地域で降水量は平年以下となる。

土壌水分量
Very Short(欠乏)Short(不足)Adequate(十分)Surplus(過剰)
アイオワ州12(12)29(21)56(59)3(8)
イリノイ州9(4)27(26)61(63)3(7)
ネブラスカ州16(14)36(31)47(49)1(6)
ミネソタ州3(2)8(8)83(80)6(10)
48州平均14(13)28(25)54(56)4(6)
表4 表層土の水分量 ()内の数字は先週の値(出展元 USDA)
Very Short(欠乏)Short(不足)Adequate(十分)Surplus(過剰)
アイオワ州21(20)32(31)46(46)1(3)
イリノイ州8(5)27(25)63(64)2(6)
ネブラスカ州21(20)35(33)43(43)1(4)
ミネソタ州4(3)9(10)80(78)7(9)
48州平均15(14)28(26)53(55)4(5)
表5 深層土の水分量 ()内の数字は先週の値(出展元 USDA)

コーンベルトの内、コーンや大豆の生産量の多い代表的な4州の畑の土壌中水分のフィールド調査結果をまとめたものが表4(地表)と表5(地中)となる。コーンベルト西側ではネブラスカ州・アイオワ州では4割程度の畑で水分が不足していると考えられるが、状況に大きな変化はない。東側(イリノイ州、ミネソタ州)でも7割以上の畑に十分な水分があることが示されている。

まとめ

大豆とコーンの農作業は収穫期に入り始めた。大豆では落葉期が進み59%と半数以上の畑で終了し、6%の畑で収穫が終了した。コーンはデント期(粒固化期)も95%が終了し、成熟期に59%の畑が入り、およそ1割の畑で収穫が終了した。
今後のコーンベルトの天気予報は、2週間先までコーンベルトの気温は低下する見込み。降水量はほぼ全域で平年以下の見込みとなり、乾燥と収穫が順調に進みそうだ。1か月予報でも、コーンベルトでは気温が低くなる。降水量もコーンベルトのほぼ全域で平年以下の予報となっており、作柄の障害となりそうなのは寒波による早霜のみと考えられる。
作柄予想は大豆畑の63%(前週から据え置き)、同じくコーン畑の61%(前週比1%改善)で豊作以上(Good、Excellent)の作柄予想となっている。主要産地の中でアイオワ州の作柄が悪化にはブレーキが掛かっており、これ以上の悪化は避けられるのではないだろうか。もはや乾燥が作柄悪化の理由とならないステージまで農作業が進展している。月曜日は利食い売りが先行したが、穀物相場は今週も順調な輸出成約(前年比約170%)に支えられて、大豆・コーン共に堅調となると考えられる。特に大豆は、大豊作はほぼ確定的ではあるが、ほぼ毎日中国からの買い付けがあり、需要増が穀物の上昇要因となっている。ただ、新型コロナウイルスの感染再拡大でリスク回避のドル高や経済の先行き不安による株安が起きた場合は、穀物も換金売りが出るので注意したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。