エネルギー速報:リビアの原油輸出再開(つらつらコラム9月23日)

 

ダイジェスト
リビア情勢の混沌

リビアは地中海南岸にある世界有数、アフリカ最大の産油国で、2010年には日量165万バレルの原油が生産され、内150万バレルの原油が輸出されていた。2011年のカダフィ政権崩壊後は、暫定政府に加えて軍閥やISIL、アルカイダなどの組織が入り乱れた内戦が続いており、テロ行為などで原油輸出は大きく減少した。2016年以降に内戦が落ち着くに従って、原油生産量は回復して2020年の初頭には日量約120万バレルまで回復した。ただし今年初頭から西の暫定政府と東のリビア国民軍(LNA)がそれぞれ外国の支援を受けて戦闘を繰り広げた結果、9月には日量10万バレルまで生産が落ち込んでいた。今回、トルコを後ろ盾とした暫定政府がロシア・イギリス・フランスを後ろ盾とするリビア国民軍へ対して行った反撃が成功したことで停戦が成立し、原油生産と輸出が回復する見通しとなった。

リビアの原油生産回復とOPEC月報

内戦によってリビア国内の原油生産設備・積み出し設備が大きく破壊されたとの報は入っていない。これら設備が破壊されないためと推測されるが、これまでの通例ではリビアの原油生産は急速に回復する傾向にあると言われている。また、これまでリビア産の原油は内戦により生産が不安定となっていたため、OPEC加盟国ではあるが協調減産義務を免除されている。最大の120万バレルまで回復した場合、国内向けを除いた日量100万バレルの原油がそのまま原油市場に流れることになる。OPECの今月の月報では新型コロナウイルスの感染拡大による昨年からの原油生産減を日量270万バレルと見積もっていたが、この数字が170万バレル減まで小さくなり、原油の需給見通しがこれまでより悪化することが容易に想像できる。とりあえずは来週26万バレルの水準まで回復すると伝えられるが、リビアから生産回復・輸出増加のニュースに注目したい。
また、仮に生産が大きく回復した場合、今月のJMMC(合同閣僚監視委員会)では見送られたが、来月のJMMCでの減産枠の増加の再提案や、OPECプラスの臨時会合が設定され、減産量の増加について議論されることもあるのではないかと考えている。


リビアの石油生産について

リビアの確認原油埋蔵量は内戦前の2010年のデータで464億バレル、内戦中の2014年のBPのデータで485億バレルで、世界10位の埋蔵量となっている。リビア国営石油会社(NOC)は2020年初頭で120万バレル台となっている原油生産をカダフィ政権時代の165万バレルを目標として増加させることを以前より計画している。カダフィ政権時にはリビア革命前の200万バレルを生産目標として掲げていたので、リビアの原油生産の将来的な伸びしろは大きいと考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。