天然ガスの見通し(つらつら分析2019年12月13日)

図1 天然ガス時間足(出展元 サクソバンク証券)

昨日の天然ガス相場は24時30分にEIA(アメリカエネルギー省情報局)が発表した天然ガス在庫が各社予想(73から76Bcf減)に対して76Bcf減となった。発表直後から売りが入って2.230ドルまで下げたが、その後買いが入って2.320ドル付近まで上昇して引けた(図1)。

今週もEIAの天然ガス週間報告の中身を見ていこう。

図2 天然ガス在庫推移(出展元 EIA)

図2は天然ガス在庫の推移となっており、現状の在庫水準は5年間平均の中央値付近にある。下の表は12月11日までの供給側の実績をまとめたものである。

今週     前週    前年同時期    
Marketed Production(Bcf/日)109.4109.899.2
天然ガス生産(Bcf/日)96.396.788.1
天然ガス輸入(Bcf/日)3.93.74.9
天然ガス供給(Bcf/日)100.4100.693.1

天然ガスの生産は今週も若干(0.4Bcf)の減少となったが、カナダからの輸入が0.2Bcf増加し一部を補っている。下の表は12月11日までの需要の内訳となる。

今週    前週    前年同時期    
消費合計(Bcf/日)91.389.698.9
発電用(Bcf/日)28.426.728.6
工業用(Bcf/日)23.624.424.0
住宅用(Bcf/日)39.438.646.3
パイプライン輸出(Bcf/日)5.35.24.7
パイプラインでの消費やロス(Bcf/日)7.37.37.1
LNG輸出(Bcf/日)7.97.54.6
天然ガス需要(Bcf/日)111.8109.5115.3

需要は2.3Bcfの増加となった。住宅用と発電用の消費が合計2.5Bcf増加している他、LNG輸出が0.4Bcf増加した。寒波による気温の低下を反映して需要が供給を上回っているようだ。

次に12月6日までの過去3週間の地域別の在庫の増減をまとめた表が以下の通りとなる。

地域      12/6在庫(Bcf )前週との差(Bcf)11/29在庫(Bcf)前週との差(Bcf)11/22在庫(Bcf)
東部867-24891-3894
中西部1013-271040-121052
山岳地帯193-7200-4204
太平洋岸276-10286-7293
南部1168-6117481166
 海岸部321531613303
 内陸部847-11858-5863
全体3518-733591-193610

南部の海岸部を除いて在庫が減少している。図4の左側は11月28日まで7日間の平均気温(上段)、平年気温からのずれ(下段)で、図4の右側の12月5日までと対比較すると、南部の海岸部を除いて例年通り冷え込み、特に東部や西部においては例年より寒さが強かったことが前週より多い在庫減少につながったと考えられる。

下の表はHDDとCDDという指標を使ってその週の気温の状態を表したものでHDDが平年よりプラスの場合は気温が高かったことを示し、マイナスの場合は気温が低かったことを示す。表からは東部(ニューイングランド、中部大西洋岸)と西海岸(太平洋岸)で寒さが強かったことが分かる。

地域          HDD平年比   前年比   CDD  平年比   前年比   
ニューイングランド2403641000
中部大西洋岸2192528000
北東部205-18-7000
北西部216-33-23000
南部大西洋岸131-436-4-6
南東部129-10110-1-1
南西部73-28-874-2
山岳部204-5-11000
太平洋岸1251650-10
全国171-3220-1

*Heating Degree Days(HDD)とCooling Degree Days(CDD)は65℉を中心とした尺度で、例えば、ある日の最高気温が95℉、最低気温が51℉ならば、平均気温は73℉となるので、その日のHDD(=65℉-73℉)は0、CDD(=73℉-65℉)は8となる(マイナスの値はとらず0となる)。また、表中の値は1週間の積算となっている。

次の図5Bが今日の天気予報では1週間前の12月5日(図5B)と比較すると北部では寒く、南部では暖かくなっている。

参考値(10℉=-12.2℃、20℉=-6.7℃、30℉=-1.1℃、40℉=4.4℃、50℉=10℃、60℉=15.6℃、70℉=21.1℃、80℉=26.7℃、90℉=32.2℃、100℉=37.8℃)

下側の図6Aは6から10日後までの今後の平均気温の予報のGIF画像で、先週からの予報では平年並みか気温が上昇する予報だったが、中西部北側、東部から平年より気温が低下する予報となっている。図6Bは8から14日後までの平均気温の予報のGIF画像で、全国的に平年より暖かい地域が広がる見込みとなっている。

図6A 6-10日後(12/12-12/22)気温予報(出展元 NOAA)
図6B 8-14日後(12/14-12/20)気温予報(出展元 NOAA)

最後に今後の見通しについて述べておきたい。気温予報は平年より暖かかくなる予報が続いているが、最新の6-10日後予報では北東側から気温の低下が始まる見込み。ただし、8-14日後予報では全国的に平均より気温が上がる予報となっている。筆者は来週の天然ガスは先週より下落が続いた中で、1週間後の気温低下予報が出たこともあり、下落が一段落して若干値が戻るのではないかと予想する。ただし、2週間後の予報で気温の低下が見られないため2.500ドル程度でとどまるのではないだろうか。来週の天然ガス在庫は、12月上旬の寒さが一段落した状況が反映されるため、在庫の減少が今週よりは減速すると予想する。

今日は、最新のLNGの輸出状況についての記事を解説したい。

U.S. LNG exports by liquefaction terminal (Feb. 2016 – Nov. 2019)
図7 LNG輸出量推移(出展元 EIA)

分析レポートでも何回か触れてきたが、今年はこれまでLNG輸出のほとんどを占めていたサビーネパス、コーブポイントの輸出基地の他に、コーパス・クリスティ、キャメロン、フリーポートが今年相次いで本格的に稼働を始めた。輸出インフラが整ったことで、輸出量は今年10月の実績で52隻のタンカーに対して5.8Bcf/日、11月は56隻のタンカーに対して6.3Bcf/日と増大した。この量は2019年1月の実績4.8Bcf/日に対して61%の増大となる。また、11月にLNG輸出基地に輸送された天然ガス量は平均で7.4Bcf/日、12月第2週には8.3Bcf/日に達しており、12月以降もさらなる輸出量の増大が予想されている。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。