

先週末金曜日に大豆相場(図1)は米中間の通商協議が基本合意に達したことから中国が米国産大豆を購入するとの期待感から上昇が続いている。今週月曜日発表のUSDAの大豆の輸出検証高は125.9万トン(中国向け68.6万トン)と前週の140.1万トン(中国向け83.0万トン)を下回ったものの昨日も続伸している。
コーン相場(図2)も大豆と同様に中国への輸出拡大期待とアルゼンチンの農産物輸出関税引き上げを材料として上昇が続いている。今週月曜日発表のコーンの輸出検証高は68.6万トンと前週の48.9万トンを上回った他、メキシコ向け大型成約があり上昇した。
それでは、今週からはUSDA(アメリカ農務省) クロップブリティンとCFTC(アメリカ商品先物取引委員会)発表の大豆とコーンの建玉数の中身を見ていきたい。

USDAの提供する速報から南米の産地の天候の12月17日現在の報告について見ておきたい。図3はアルゼンチンの降雨量で、アルゼンチンでは北部で10-25mmの雨が降っているものの、西部や南部では平年比で1~4度高い高温が続いている他、雨が少なく乾燥が続いている。ただし、高温と乾燥がコーンや大豆などの作物に影響を与える時期ではないようです。アルゼンチン政府の発表によると今月12日の時点でコーンと大豆の64%の作付けが終了した。

図4はブラジルの降水量で、大豆・コーン産地(マトグロッソ、ゴイアス、マトグロッソドスル、パラナ、リオグランデドスル)では広い範囲で25-50mmの雨となった。作付けは12月12日の時点でコーン、大豆ともに90%終了している。また気温が30度半ばまで上昇し、作物の生育が促進されている。
まとめると、ブラジルでは作付けが順調に進んでいるが、アルゼンチンに関しては干ばつとなるかどうかの分かれ目と考えることができる。干ばつになるとするなら、アメリカで次の作付けの話題が始まるまで、今後の大豆、コーン市場の下支え要因となると考えられる。
最後にCTFC発表の建玉数について確認しよう。図5は先週までの2019年の大豆建玉数、建玉の前週比、買越し数となっている。大口投機家(ファンド)は今週買玉を約8000枚減らし、売玉を約10000枚増やし大幅に売越している。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
11/12 | 743,089 | 166,948 | 98,614 | 68,334 | 366,448 | 427,398 | -60,950 |
11/19 | 765,303 | 162,418 | 102,504 | 59,914 | 380,687 | 435,970 | -55,283 |
11/26 | 807,569 | 154,434 | 140,567 | 13,867 | 406,306 | 418,523 | -12,217 |
12/3 | 850,064 | 158,470 | 184,613 | 26,143 | 438,522 | 410,259 | 28263 |
12/10 | 862,952 | 150,801 | 194,298 | 43,497 | 462,319 | 419,901 | 42418 |
図5 2019大豆建玉数(出展元 CFTC) 前週比 買越し数
CFTC発表のコーンの最近5週間の建玉数は以下の通り。
図6は先週までの2019年のコーン建玉数、建玉前週比、買越し数となっている。投機筋(ファンド)は買玉を約5000枚、売玉を約20000枚増やし、全体としては売越しとなっている。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
11/12 | 1,610,507 | 304,283 | 336,269 | -31,986 | 716,483 | 766,035 | -49,552 |
11/19 | 1,641,549 | 319,265 | 345,759 | -26,494 | 731,533 | 786,689 | -55,156 |
11/26 | 1,505,976 | 273,598 | 311,060 | -37,462 | 679,475 | 729,995 | -50,520 |
12/3 | 1,449,806 | 292,989 | 294,925 | -1,936 | 609,673 | 695,918 | -86,245 |
12/10 | 1,478,582 | 397,845 | 315,666 | -17,821 | 617,699 | 698,398 | -80,699 |
図6 2019コーン建玉数(出展元 CFTC) 前週比 買越し数
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。