天然ガスの見通し(つらつら分析2019年12月20日)

図1 天然ガス時間足チャート (出展元 サクソバンク証券

昨日の天然ガス相場は24時30分にEIA(アメリカエネルギー省情報局)が発表した天然ガス在庫が各社予想(45から90Bcf減)に対して107Bcf減となった。発表直後から買いが入って2.290ドル付近まで上昇したが、その後に売りが入って2.280付近まで下落して引けた。(図1)。

今週もEIAの天然ガス週間報告の中身を見ていこう。

図2 天然ガス在庫推移(出展元 EIA)

図2は天然ガス在庫の推移で、生産量は増加しているが、在庫水準は5年間平均の中央値付近にとなっている。下の表は12月18日までの供給側の実績をまとめたものである。

今週    前週     前年同時期    
Marketed Production(Bcf/日)108.8109.497.4
天然ガス生産(Bcf/日)95.896.386.5
天然ガス輸入(Bcf/日)4.63.94.8
天然ガス供給(Bcf/日)100.6100.491.5

天然ガスの生産は今週もわずかに減少したが、カナダからの輸入が0.7Bcf増加している。下の表は需要側の12月18日まで内訳となる。

今週    前週    前年同時期    
消費合計(Bcf/日)97.391.388.1
発電用(Bcf/日)30.528.424.7
工業用(Bcf/日)24.823.524.0
住宅用(Bcf/日)42.039.439.4
パイプライン輸出(Bcf/日)5.35.34.8
パイプラインでの消費やロス(Bcf/日)7.47.36.7
LNG輸出(Bcf/日)8.07.94.4
天然ガス需要(Bcf/日)118.0111.7104.0

需要は6.3Bcfと大きく増加した。住宅用と発電用、工業用とすべてで需要が増加している。また、LNG輸出は0.1Bcf増加した。気温の低下による需要増加とが考えられる。。

次に12月13日までの過去3週間の地域別の在庫の増減をまとめた表が以下の通りとなる。

地域      12/13在庫(Bcf)前週との差(Bcf)12/6在庫(Bcf)前週との差(Bcf)11/29在庫(Bcf)
東部838-29867-24891
中西部973-401013-271040
山岳地帯186-7193-7200
太平洋岸273-3276-10286
南部1142-261168-61174
 海岸部319-23215316
 内陸部823-24847-11858
全体3411-1073518-733591

全ての地域の在庫が減少している。

図4の左側は11月28日まで7日間の平均気温(上段)、平年気温からのずれ(下段)で、図4の右側の12月5日までと比較すると、特に東部や中西部で例年より気温が低かったことが前週より多い在庫減少につながったと考えられる。

下の表はHDDとCDDという指標を使ってその週の気温の状態を表したものでHDDが平年よりプラスの場合は気温が高かったことを示し、マイナスの場合は気温が低かったことを示す。表からは東部(ニューイングランド)で寒さが強かったが他は平年より暖かかったことが分かる。

地域          HDD平年比   前年比   CDD  平年比   前年比   
ニューイングランド2298-37000
中部大西洋岸2100-41000
北東部232-9-38000
北西部263-4-20000
南部大西洋岸135-12-581248
南東部129-23-620-1
南西部88-25-43414
山岳部184-36-26000
太平洋岸93-23-150-10
全国175-14-36312

*Heating Degree Days(HDD)とCooling Degree Days(CDD)は65℉を中心とした尺度で、例えば、ある日の最高気温が95℉、最低気温が51℉ならば、平均気温は73℉となるので、その日のHDD(=65℉-73℉)は0、CDD(=73℉-65℉)は8となる(マイナスの値はとらず0となる)。また、表中の値は1週間の積算となっている。

次の図5Bが今日の天気予報では1週間前の12月5日(図5B)と比較すると北部では寒く、南部では暖かくなっている。

参考値(10℉=-12.2℃、20℉=-6.7℃、30℉=-1.1℃、40℉=4.4℃、50℉=10℃、60℉=15.6℃、70℉=21.1℃、80℉=26.7℃、90℉=32.2℃、100℉=37.8℃)

下側の図6Aは6から10日後までの今後の平均気温の予報のGIF画像で、先週では中西部北側、東部から平年より気温が低下する予報となってたが、今週は東部を中心に気温が上がる予報となっている。図6Bは8から14日後までの平均気温の予報のGIF画像で、こちらも東部を中心に平年より暖かい地域が広がる見込み。

図6A 6-10日後(12/20-12/29)気温予報(出展元 NOAA)
図6B 8-14日後(2019/12/22-2020/1/3)気温予報(出展元 NOAA)

最後に今後の見通しについて述べておきたい。年内の気温予報は平年より暖かかくなる予報が続いている。最新の6-10日後予報でも東部で気温が上がる見通し。8-14日後予報でも同様の予報となっている。筆者は来週の天然ガスはそろそろ底値を迎えて若干値が戻るのではないかと予想する。ただし、2週間後の予報で太平洋岸の気温の低下が見られているが、今後東まで広がることがなければ、2.500ドル程度でとどまるのではないだろうか。来週の天然ガス在庫は、気温の低下によって在庫の減少が今週よりは加速すると予想する。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。