穀物について、USDAクロッププログレスレポート(つらつら分析2019年12月3日)

図1 大豆時間足(出展元 サクソバンク証券株式会社
図2 コーン時間足(出展元 サクソバンク証券株式会社

昨日の大豆相場(図1)は香港人権法案に対する中国側のアメリカへの報復とブラジルなど南米産地が栽培に適した天候となったことが懸念材料となり売りが入った。この日発表のUSDAの大豆の輸出検証高は154.7万トン(中国向け109.0万トン)と前週の195.1万トン(中国向け134.9万トン)を下回ったものの、中国向けが100万トンを超える好調な結果だったが、市場の反応は乏しかった。
一方のコーン相場(図2)はコーンベルトの一部の州での収穫遅れの懸念から買いが入った。コーンの輸出検証高は42.8万トンと前週の61.5万トンを下回ったことで売られた。ただし下値は堅かった。
なお収穫の遅れのため今年のクロッププログレスレポートは今週と来週については延長版として出されることが決定している(再来週以降は未定)。それでは、今週のUSDA(アメリカ農務省) クロッププログレスレポートとCFTC(アメリカ商品先物取引委員会)発表の大豆とコーンの建玉数の中身を見ていきたい。
大豆のプログレスレポートでは今年の収穫の96%が終了し、前年の収穫率に追いついた。収穫はほぼ終了した。

大豆    今週    前週    前年    平年    
収穫率96%94%97%99%

次にCTFC発表の最近5週間の大豆の建玉数は以下の通り。

    総建玉   大口投機家
買玉  
大口投機家
売玉  
差引    大口当業者
買玉  
大口当業者
売玉  
差引    
10/29714,564182,74880,065102,683330,438421,365-101,927
11/5704,165178,31683,38391,933329,221415,848-86,627
11/12743,089166,94898,61468,334366,448427,398-60,950
11/19765,303162,418102,50459,914380,687435,970-55,283
11/26807,569154,434140,56713,867406,306418,52312,217

図3は先週までの2019年の大豆建玉数、建玉の前週比、買い越し数となっている。投機筋は先週から今週にかけて買玉を約8000枚減らし売玉を約3万8000枚増やしたため、買い越し数は1万4000枚ほど減に少している。

コーンのプログレスレポートは以下の表の通り。コーンの収穫が進みようやく9割近くの収穫が終了した。

コーン    今週    前週    前年    平年    
収穫率89%84%97%98%

次にCFTC発表の最近5週間のコーンの建玉数は以下の通り。

    総建玉   大口投機家
買玉  
大口投機家
売玉  
差引    大口当業者
買玉  
大口当業者
売玉  
差引    
10/291,591,878303,450311,503-8,053715,620786,018-70,398
11/51,609,336300,831326,818-25,987740,234794,251-54,017
11/121,610,507304,283336,269-31,986716,483766,035-49,552
11/191,641,549319,265345,759-26,494731,533786,689-55,156
11/261,505,976273,598311,060-37,462679,475729,995-50,520

図4は先週までの2019年のコーン建玉数、建玉前週比、買い越し数となっている。投機筋は先週に比べて売玉、買玉ともに減らしているが、買玉の方が約1万枚多く減ったため、売り越し幅が拡大している。

図5は今日のアメリカの天気予報(図5A)と気温(図5B)でコーンベルトは東部でみぞれとなっている。気温は上昇しておりコーンベルト西部では穏やかな気候となっている。図6は6-10日後(図6A)と8-14日後(図6B)の気温予報で、今週の後半から来週にかけては気温が上がり、穏やかな天候が続く見込み。

次に、週ごとの大豆とコーンの収穫率の詳細を見ていきたい。
下の表は大豆の収穫率で多くの州ではほぼ終わっているが、ミシガンとウィスコンシンではまだ収穫率が8割台と遅れている。

州名       今週収穫率(%)    前週収穫率(%)    平年収穫率(%)    
アーカンソー989698
イリノイ10095100
インディアナ969499
アイオワ9897100
カンザス979598
ケンタッキー969295
ルイジアナ100100100
ミシガン858097
ミネソタ9998100
ミシシッピー999899
ミズーリ969196
ネブラスカ100100100
ノースカロライナ756777
ノースダコタ928999
オハイオ959399
サウスダコタ10099100
テネシー959195
ウィスコンシン868299
平均969499

次にコーンの収穫は89%まで終了した。収穫の遅れている北部3州(サウス・ダコタ、ウィスコンシン、ミシガン)でも収穫が進展しているがノース・ダコタでは4割程度と低迷している。

州名       今週収穫率(%)    前週収穫率(%)    平年収穫率(%)    
コロラド989699
イリノイ9388100
インディアナ938998
アイオワ928699
カンザス999799
ケンタッキー10099100
ミシガン665689
ミネソタ918699
ミズーリ9592100
ネブラスカ969399
ノースカロライナ100100100
ノースダコタ363095
オハイオ908395
ペンシルベニア868088
サウスダコタ806898
テネシー100100100
テキサス1009899
ウィスコンシン665791
平均898498

まとめると、大豆はほぼ収穫終了が終了。コーンはなお収穫終了まで2週間程度の時間が必要な見込み。今後の大豆相場は中国関連のニュースに左右されることが予想されるが、中国向けの大豆の輸出は今週も100万トンを超えて好調だったことは大きな買い材料になっていない。一方のコーン相場は輸出が例年の5割以下と低調な状態が続いていることに加えて、南半球のブラジルなどのコーン産地が生育に適した天候となっていることで売りが入っている。今後も安値低迷の相場が続くと考えられる。

今日は、USDAの提供する南米の産地の天候の最新の速報について見ておきたい。まずは図7に示すアルゼンチンでは乾燥していた南部から西部にかけて10-50mmの雨が降り、当地の冬作物とこれから成長する大豆やコーンと言った夏作物に対して有益な雨となっている。アルゼンチン政府の発表によると先月21日の時点でコーンの46%と大豆の36%の作付けが終了している。ただし平年よりコーンは10%、大豆は3%作付けが遅れている。

図7 アルゼンチン降水量分布

図8はブラジルで、大豆・コーン産地の北側(マトグロッソ、ゴイアス)では25-5mmの雨が降ったが、南側(マトグロッソドスル、パラナ、リオグランデドスル)ではこの時点ではそれほど多くの雨は降っていない。作付けはやや遅れているものの、コーンの作付けは84%(平年87%)終了しており、大豆の作付けは53%(平年60%)終了している。こちらも平年より乾燥しているが最新の天気予報ではブラジルの産地では十分な降雨があり、今シーズンの収穫見通しは豊作となっている(大豆と2毛作のコーンに関しては大豆次第)。

図8 ブラジル降水量分布

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。