天然ガスの見通し(つらつら分析2019年12月6日)

図1 天然ガス時間足(出展元 サクソバンク証券)

翌週以降、寒波が一段落し気温が上昇するという予報で先週末に大きく下落した天然ガス相場は、安値警戒感から戻り基調となり火曜日には2.400ドル台を回復している。水曜日以降は翌週以降の天気予報が平年並みに近づく予報となったが、下値は固く2.400ドルを挟んだ値動きとなっている。昨日の天然ガス相場は24時30分にEIA(アメリカエネルギー省情報局)が発表した天然ガス在庫は各社予想(19から61Bcf減)に対して19Bcf減となった。発表直後から買いが入って2.450ドルまで上げたが、上値は重く2.410ドル付近まで下落して引けた(図1)。

今週もEIAの天然ガス週間報告の中身を見ていこう。

図2 天然ガス在庫推移(出展元 EIA)

まず図2は天然ガス在庫の推移となっている。現状の在庫水準は5年間の平均とほぼ同じ水準となっている。下の表は12月4日までの供給側の実績をまとめたものである。

今週    前週    前年同時期    
Marketed Production(Bcf/日)109.8110.0101.0
天然ガス生産(Bcf/日)96.796.889.8
天然ガス輸入(Bcf/日)3.73.13.8
天然ガス供給(Bcf/日)100.6100.093.7

天然ガスの生産は今週若干の減少となったが史上最高水準を維持している。カナダからの輸入は0.6Bcf増加している。下の表は12月4日までの需要の内訳となる。

今週    前週    前年同時期    
消費合計(Bcf/日)89.683.586.3
発電用(Bcf/日)26.625.124.7
工業用(Bcf/日)24.424.324.9
住宅用(Bcf/日)38.634.136.7
パイプライン輸出(Bcf/日)5.25.14.6
パイプラインでの消費やロス(Bcf/日)7.37.16.8
LNG輸出(Bcf/日)7.57.24.4
天然ガス需要(Bcf/日)109.5102.9102.2

需要は6.4Bcfの増加となった。住宅用と発電用の消費が増加している。パイプラインでの輸出やLNG輸出はほぼ横ばいだった。先週の寒波による気温の低下によって需要が供給を上回っている。

次に11月29日までの過去3週間の地域別の在庫の増減をまとめた表が以下の通りとなる。

地域      11/29在庫(Bcf) 前週との差(Bcf)11/22在庫(Bcf)前週との差(Bcf)11/15在庫(Bcf)
東部891-3894-15909
中西部1040-121052-171069
山岳地帯200-4204-1205
太平洋岸286-72931292
南部11748116621164
 海岸部316133034299
 内陸部858-5863-1864
全体3591-193610-193638

図4の右側は11月28日まで7日間の平均気温(上段)、平年気温からのずれ(下段)で、図4の左側の11月14日までと対比すると、中西部や太平洋岸の冷え込みが厳しく、逆に南部の気候が穏やかだったことが分かる。上の表と対照することで、中西部と太平洋岸の在庫の減少と、南部の在庫増加が気温要因であることが分かる。

下の表はHDDとCDDという指標を使ってその週の気温の状態を表したものでHDDが平年よりプラスの場合は気温が高かったことを示し、マイナスの場合は気温が低かったことを示す。表からは山岳部と太平洋岸で冷え込みが厳しかったことが分かる。

地域          HDD平年比   前年比   CDD  平年比   前年比   
ニューイングランド167-19-65000
中部大西洋岸158-19-63000
北東部181-22-38000
北西部207-22-27000
南部大西洋岸107-14-518-20
南東部103-22-530-10
南西部71-19-20623
山岳部2071032000
太平洋岸11514370-10
全国148-12-24200

*Heating Degree Days(HDD)とCooling Degree Days(CDD)は65℉を中心とした尺度で、例えば、ある日の最高気温が95℉、最低気温が51℉ならば、平均気温は73℉となるので、その日のHDD(=65℉-73℉)は0、CDD(=73℉-65℉)は8となる(マイナスの値はとらず0となる)。また、表中の値は1週間の積算となっている。

次の図5Bはアメリカの今日12月5日の天気予報と最高気温で北部で雪(白)やみぞれ(水色)の地域が点在している。また、2週間前の11月21日(図5A)の冷え込みと比較すると暖かいことが明らかである。

参考値(10℉=-12.2℃、20℉=-6.7℃、30℉=-1.1℃、40℉=4.4℃、50℉=10℃、60℉=15.6℃、70℉=21.1℃、80℉=26.7℃、90℉=32.2℃、100℉=37.8℃)

下側の図6Aは6から10日後までの今後の平均気温の予報のGIF画像で、先週の予報では平年より全国的に気温が上昇する予報だったが、中西部北側から平年より気温が低下する予報となっている。図6Bは8から14日後までの平均気温の予報のGIF画像で、先週と比べて最新の予報では平年より気温の低い地域が広がる見込みとなっている。

図6A 6-10日後(12/5-12/15)気温予報(出展元 NOAA)
図6B 8-14日後(12/7-12/19)気温予報(出展元 NOAA)

最後に今後の見通しについて述べておきたい。来週の気温予報は先週では平年より暖かかくなる予報であったが、最新の6-10日後予報では中西部北側から次の寒気が到来して気温が低下する見込み。更に8-14日後予報では北側から平年以下の寒さが西部から東海岸側まで広がる予報となっている。気温予報は低下傾向にあるといえるが、強い冷え込みが来るとは言えないので、筆者は来週の天然ガスは今週の水曜日・木曜日と同様に大きな値上がりはないと予想する。また、今週発表の在庫統計は先月下旬の気温の上昇から天然ガス在庫の増加ペースが止まっているが、来週の天然ガス在庫は、11月26日頃からの寒気による冷え込みの状況が反映されるため、在庫の減少が今週より加速することが予想される。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。