今週の原油在庫と見通し(つらつら分析2019年12月19日)

図1 原油時間足チャート (出展元 サクソバンク証券

今週火曜日の日本時間明け方に発表されたAPI在庫統計では原油在庫470万バレル増、ガソリン在庫560万バレル増、留出油在庫380万バレル増、クッシング原油在庫30万バレル減で予想の原油180万バレル減を大きく上回った。 昨日の原油相場はAPIの結果を受けて始まり、アジア時間から欧州時間にかけてはやや軟調な展開となった。立会時間に入ってEIAの原油統計が発表されると予想では130万バレル減少予測に対して108万バレルの減少となったが、約0.8ドル上昇して61.0ドルを突破した。その後は売りが入って上げ幅を削たものの上昇で引けた。筆者の予想とは真逆の展開になってしまった。

今週もEIAの週間報告の中身を見ていきたい。以下の表と図は昨日のEIAの週間原油在庫統計の結果と在庫の推移をグラフにしたものとなる。

EIA週間原油統計    前週    今週
原油(万バレル)+82-108
ガソリン(万バレル)+540+252
留出油(万バレル)+411+150
クッシング在庫(万バレル)-339-26

今週の原油在庫(図2)は原油生産は増加しておらず、製油所の稼働率が上昇した分減少した。ガソリン在庫(図3)や留出油の在庫(図4)は製油所稼働率から今週どちらも精製量が増えたため増加している。今週もEIAの週間レポートを分析しておきたい。

下の表は原油の生産と輸出入の今週と前週、直近4週間の平均と前年同時期を比較したものである。

今週 前週  4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1280128012851160
原油輸入(万バレル/日)657688641742
原油輸出(万バレル/日)363340341232

アメリカ国内の原油生産は日量1280万バレル(前週0万バレル、前年比+115万バレル)と横ばいだった。原油輸入は日量657万バレル(前週比-31万バレル、前年比-95万バレル)と減少した。原油輸出は日量363万バレル(前週+23万バレル、前年比+131万バレル)と今週も300万バレル台となった。

4週平均で見た原油投入量と、製油所稼働率、ガソリン生産と留出油生産を見たものが下の表となる。

今週(4週平均)     前週(4週平均)    前年度同時期(4週平均)  
原油投入量(万バレル/日)165716541747
製油所稼働率90.690.395.4
ガソリン生産(万バレル/日)  9909951015
留出油生産(万バレル/日)   515517549

今週(過去4週平均)のアメリカ製油所への原油投入量は日量1657万バレルで前週の日量1654万バレルから増加し、稼働率も高いが年同時期に比べて少ない原油投入量となっている。

下の表は今週1週間の製油所への原油投入量、稼働率、ガソリンと留出油の生産量についてまとめたものとなる。

今週(週平均)      前週(週平均)     
原油投入量(万バレル/日)    16561659
製油所稼働率    90.6%90.6%
ガソリン生産(万バレル/日)     984975
留出油生産(万バレル/日)       507522

今週の製油所稼働率は90.6%と前週から横ばいだった。 原油処理量は日量で1656万バレル(前週比日量3万バレル減少)と横ばい、ガソリンの生産は日量984万バレルへ増加、留出油の生産は日量507万バレルと若干の減少だった。

次に供給側のデータを見ていこう。ガソリンとジェット燃料、留出油などの石油製品供給量をまとめると以下の表となる。

今週 前週 4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)941888913924
ジェット燃料供給(万バレル/日)205158186158
留出油供給(万バレル/日)412373395488

石油製品の1日当たりの供給はガソリンが53万バレル増加、ジェット燃料が47万バレルの増加、留出油が39万バレルの増加となった。

下の表は石油製品の輸出についてまとめたものとなる。

今週 前週 4週平均前年同時期
ガソリン輸出(万バレル/日)59918294
ジェット燃料輸出(万バレル/日)22142021
留出油輸出(万バレル/日)91107105125

石油製品の輸出は、ガソリンが日量59万バレル(前週比-32万バレル、前年比-35万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量22万バレル(前週比+8万バレル、前年比+1万バレル)。留出油は日量91万バレル(前週比-16万バレル、前年比-34万バレル)となった。

以上から原油在庫に対する生産・供給・輸出入の影響をまとめたものが下の表となる。

       原油  ガソリン  留出油  
原油生産増減(万バレル/日)0製油所生産量(万バレル/日) 984507
製油所投入量増減(万バレル/日)-3供給量(万バレル/日)941412
輸出入量増減(万バレル/日)-8輸出入量増減 (万バレル/日)-32-16
小計(万バレル/日)-11+77+121
週換算(万バレル/週)-77+539+847

製油所への投入量が維持されていることが原油在庫が減少する要因となった。ガソリン在庫と留出油在庫は生産量が増加しており、今回の増加につながった。

次にCTFCの発表する最近5週間の建玉について紹介する。

    総建玉    大口投機家
買玉    
大口投機家
売玉    
差引    大口当業者
買玉    
大口当業者
売玉    
差引    
11/122,151,499539,082114,485424,597771,4121,196,163-424,751
11/192,123,596541,420111,445429,975739,9841,181,128-441,144
11/262,187,168553,73782,801470,936750,6671,225,443-474,776
12/32,163,757531,120103,085428,035769,4531,207,163-437,710
12/102,229,813577,21681,677495,539790,7201,275,613-501,989
図5 2019NY原油建玉数(出展元 CFTC)
図6 2019NY建玉数前週比(出展元 CFTC)
図7 2019NY原油建玉買越数(出展元 CFTC)

図5は先週までの2019年中の原油建玉数の推移、図6は建玉数前週比、図7は買越し数となる。大口投機家(ファンド)が買玉を約4万6000枚ほど増やし、売玉を約2万1000枚減らしたことで買越しが約6万7000枚増加している。ファンドは買いとみているようだ。

今後の見通しだが、今月のOPECプラスの会合で協調減産幅増加や米中の通商協議成立で、原油余りの懸念が後退したことが支援材料となって、原油価格は60.00ドル近傍で高止まりしている。すでにクリスマス前となっているため、年内に大きく相場が動くことはないと思われる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。