天然ガスの見通し(つらつら分析2020年1月6日)

図1 天然ガス時間足チャート (出展元 サクソバンク証券
先週の相場の振り返り

先週の12月30日月曜日の時点では平年以下の寒さが広がるとの予報のため、2.500ドル付近まで上昇するのではないかと予想したが、火曜日以降の天気予報が例年より暖かくなる予報となったため、先週の天然ガス相場は下落が続いた。1月3日金曜日には一時2.100ドル台を割り込んで2.074ドルまで下落した。24時30分にEIA(アメリカエネルギー省情報局)が天然ガス在庫を発表したが、各社の在庫予想(57から60Bcf減)に対して58Bcf減だった。発表直後には買いが入って上昇し、日本時間25時頃に2.154ドル付近まで上昇した(図1矢印)が、引けにかけては売りの勢いが強くなり2.104ドルまで下落して引けている(図1)。

来週以降の気温予報による需要予想と今週の相場予想

最初に、来週以降の暖房用需要を考えるため天気予報を見ておこう。下側の図2Aは6から10日後の平均気温予報、2Bは8から14日後の平均気温予報のGIF画像となる。予報によれば1月上旬にアメリカの西側は平年より寒くなり、東側は平年より暖かくなる。2週間後の気温予報も同様の予報で、人口の相対的に多いアメリカ東側で気温が平年より上がるため、暖房用需要は伸び悩み天然ガス相場も現在の2.100ドル付近で横ばいとなることが予想される。

図2A 6-10日後(2020/1/5-2020/1/15)気温予報(出展元 NOAA)
図2B 8-14日後(2020/1/7-2020/1/19)気温予報(出展元 NOAA)
天然ガス在庫報告

次に今週のEIAの天然ガス在庫報告の中身を見ていこう。

図3 天然ガス在庫推移(出展元 EIA)
*Lower48はアメリカ50州の内アラスカ・ハワイを除く48州のことを指す。

図3はアメリカ48州の天然ガス在庫量の2017年後半からの推移を見たもので、現在の在庫(3219Bcf)は過去5年間平均の中央値(黒灰線)付近にある。12月27日までの過去3週間の地域別の在庫の増減の内訳をまとめた表が以下の通りとなていて、今週は南部の海岸部を除いたすべての地域で在庫が減少したが、全体での在庫減少量は前週の161Bcfに対して3分の1近く少ない58Bcfだった。

地域別在庫増減表    12/27在庫(Bcf)前週との差(Bcf)12/20在庫(Bcf)前週との差(Bcf)12/13在庫(Bcf)
東部771-25796-42838
中西部905-18923-50973
山岳地帯173-4177-9186
太平洋岸251-9260-13273
南部1093-11094-481142
 海岸部3134309-10319
 内陸部780-6786-37823
全体3192-583250-1613411
需要と気温との相関について
図4 平均気温と平年からのずれ(出展元 EIA)
*Lower48はアメリカ50州の内アラスカ・ハワイを除く48州のことを指す。
図5A 発電用需要(出展元 EIA)
図5B 住宅・商業用需要(出展元 EIA)

次に一日当たりの天然ガス需要と気温との相関を見てみよう。図4は地域別の平均気温と平年からの気温のずれを示している。12月19日以降は全国平均では暖かい日が続いた。東部や中西部、南部では23日から29日にかけて平年より特に暖かく、太平洋岸では23日から28日にかけて平年よりやや冷え込んだ。
下の2枚の図はそれぞれ発電用(図5A)と住宅・商業用(図5B)天然ガス需要の日ごとの変化を見たものであり、以下のような傾向がみられる。

まとめると統計に集計される12月27日まで発電用需要は高かったが、全国的に暖かく穏やかな気温となったため住宅・商業用需要は伸びず、先週と比べて週間の在庫減少量は3分の1となった。

輸出需要
図6 天然ガス輸出需要(出展元 EIA)

図6は輸出用需要の変化を見たもので、2018年/2019年には約5Bcf/日だったが、2019年/2020年の輸出は約10Bcf/日と順調となっている。特に1月3日には12Bcf/日に迫っており輸出が大きく伸びている。

まとめ(今週の相場予想と来週の在庫予想)

まず、来週以降の天気予報を元に今週の相場を予想する。天気予報は西側の太平洋岸が平年より寒く、東側の大西洋岸、メキシコ湾岸で平年より暖かくなる見込み。人口が多く天然ガスの消費の多いアメリカ東側で平年以上の気温が続く予報となるため、今週以降の天然ガスの暖房用需要は伸び悩むと思われる。よって、今週の天然ガス相場は2.100ドル付近での値動きとなると筆者は予想する。
次に今週の天然ガス在庫は週の中頃から気温が平年以上の気温となる地域が広がったため、暖房用需要が伸び悩み在庫取り崩し量は小さくなった。来週の在庫統計には昨年の12月28日以降の需要が反映されるが、住宅・商業用の暖房需要は横ばいで過去5年間のレンジの下限近くにある他、発電用の需要も横ばいとなっている。来週も在庫の取り崩し自体は続くが、今週と同程度の量と考えられる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。