穀物速報:10月のUSDA需給報告と今後の見通し(つらつら分析2020年10月12日)

 

ダイジェスト
総評

日本時間10月9日25時にUSDAより10月の穀物需給報告が発表された。今回の報告では中国向け輸出が好調なことで大豆・コーンの在庫や輸出需要が注目材料だったと思われる。今回、大豆は収穫面積の減少から生産量がやや減少した他、期末在庫が1.70億ブッシェルの引き下げられた2.90億ブッシェルとなった。この他、大豆の輸出需要予測が中国向けの輸出が好調なことから0.75億ブッシェル引き上げられたこともあり、2018年以来の高値となった。コーンは収穫面積と単収が引き下げられたが豊作といえる。需要面ではエタノール向け需要予測などが引き下げられたが、期末在庫の減少により値上がりし、約1年振りの高値を付けた。

需給-大豆-

まず大豆からみていこう。表1が2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通しとなる。

           2019/2020年シーズン
予想(10月時点)            
2020/2021年シーズン
予想(9月時点)            
2020/2021年シーズン
予想(10月時点)            
作付面積(万エーカー)      761083808310
収穫面積(万エーカー)749083008230
単収(ブッシェル/エーカー)47.451.951.9
期初在庫(億ブッシェル)9.095.755.23
生産量(億ブッシェル)35.5243.1342.68
輸入(億ブッシェル)0.150.150.15
供給合計(億ブッシェル)44.7649.0348.06
消費合計(億ブッシェル)39.5344.4245.16
 内圧砕(油)(億ブッシェル)21.6521.8021.80
 内輸出(億ブッシェル)16.7621.2522.00
期末在庫(億ブッシェル)5.234.602.90
平均価格(セント/ブッシェル)857925980
表1 大豆の需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

2019/2020年シーズン(旧穀)の取引は終わり、2020/2021年シーズン(新穀)に中心が移っている。今月の報告では期初在庫が0.52億ブッシェル下方修正された5.23億ブッシェルとなった。供給側では収穫面積と単収が前月よりやや低下したことで、生産量は9月の43.13億ブッシェルから0.45億ブッシェル引き下げられた42.68億ブッシェルとなった。一方、需要側では油脂用需要は21.80億ブッシェルで前月より据え置き、輸出用は0.75億ブッシェル引き上げられた22.00億ブッシェルとなった。結果、輸出の増加による旧穀の在庫減少と新穀の収穫量減少、将来の輸出需要の増加で期末在庫は9月の4.60億ブッシェルから1.70億ブッシェル引き下げられた2.90億ブッシェルとなった。

需給-コーン-

表2がコーンの2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通しとなる。

           2019/2020年シーズン
予想(10月時点)              
2020/2021年シーズン
見通し(9月時点)             
2020/2021年シーズン
見通し(10月時点)             
作付面積(万エーカー)      897092009100
収穫面積(万エーカー)813083509250
単収(ブッシェル/エーカー)167.5178.5178.4
期初在庫(億ブッシェル)22.2122.5319.95
生産量(億ブッシェル)136.20149.00147.20
輸入(億ブッシェル)0.040.020.02
供給合計(億ブッシェル)158.83171.78167.42
消費合計(億ブッシェル)138.87146.75145.75
 内輸出(億ブッシェル)17.7823.2523.25
 内工業・種子・食品用(億ブッシェル)62.8265.2564.75
  内エタノール用(億ブッシェル)48.5251.0050.50
 内飼料用(億ブッシェル)58.2758.2557.75
期末在庫(億ブッシェル)19.9525.0323.25
平均価格(セント/ブッシェル)356350360
表2 コーンの需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

9月の2020/2021年シーズン(新穀)の予想は9月の報告から収穫面積が100万エーカー、単収が0.1ブッシェル引き下げられたことで、収穫予想が149.00億ブッシェルから1.78億ブッシェル減少した147.22億ブッシェルとなった。また、期初在庫が9月の22.53億ブッシェルから2.58億ブッシェル引き下げられた19.95億ブッシェルとなった。需要側では、飼料用需要が58.25億ブッシェルから57.75億ブッシェルへ、食品・種子用が65.25億ブッシェルから64.75億ブッシェルへそれぞれ0.50億ブッシェル引き下げられた。エタノール用の需要は0.50億ブッシェル引き下げられた50.50億ブッシェル、輸出は9月の22.25億ブッシェルから据え置かれた。期末在庫は旧穀の在庫減少と新穀の生産量の減少のため、9月予想の25.03億ブッシェルから3.36億ブッシェル減少した21.67億ブッシェルとなった。

世界需給

世界需給についてのダイジェスト

大豆

大豆の2020年/2021年シーズンの世界の推定生産量は9月の3億6974万トンから約100万トン引き下げられた3億6847トンとなった。主要国生産国ではアメリカが約120万トンの引き下げ、アルゼンチンやブラジルは据え置きだった。需要側では世界全体の消費量が9月の3億6907万トンから3億7059万トンへ約150万トン引き上げられた。主要輸入国では中国の需要が約100万トン、東南アジアで約30万トンの増加する予測となっている。

コーン

コーンの2020年/2021年シーズンの世界生産量予想は9月の11億6238万トンから約350万トン引き下げられた11億5882万トン、主要生産国ではアメリカが約450万トン減、ウクライナが約200万トン減、アルゼンチンやブラジルは据え置きだった。一方の世界需要も9月の11億6474万トンから11億6260万トンへ約200万トンの減少となる見込みで、主要輸入国では欧州が約150万トンの需要減予測、東南アジアで約30万トンの需要増予測となっている。

今後の見通し

アメリカでは2020年/2021年シーズンの大豆とコーンの収穫作業が進んでいる。今回の10月の需給報告では9月の報告に比べて、大豆とコーン共に期末在庫が引き下げられて、大豆相場、コーン相場共に高値となった。
生産面では大豆では収穫面積、コーンでは収穫面積と単収が引き下げられたことで、それぞれ新穀の生産量が減少した。旧穀では需要増により大豆、コーン共に在庫が減少している。需要面では多くの項目は据え置きだったが、大豆では好調な輸出を反映して輸出需要予測が引き上げられ、コーンでは飼料用需要予測、エタノール用需要予測が先月に続き引き下げられた。全体では新穀の生産量減少と旧穀の在庫減が需要の変動よりも大きかったため、大豆、コーン共に期末在庫は減少している。

世界需給については、9月の報告と比べて、生産量が大豆で約100万トン、コーンで約350万トン減少する見込み。主にアメリカの生産量の変動と深刻な干ばつによるウクライナのコーンの減産が反映された。一方で、南半球のブラジルやアルゼンチンの生産量、輸出量予測は据え置きだった。
今後の大豆相場、コーン相場を左右するのは、来シーズンのアメリカの作付面積動向を除けば、これから作付けに入る南半球の産地の動向となると考えられる。最新の報道では、アルゼンチン、ブラジル共に高温少雨が続き、深刻な干ばつとなっている。既にブラジルでは主要産地の北部で雨がほとんどなく、2週間以上作付けが遅れている。そのほかの地域でも生育に必要な水分が不足しており、今シーズンの南半球の大豆、コーンは不作となる可能性が出ている。一方で、中国向けの輸出は好調に推移しており、ライバルの不振はアメリカ産大豆とコーンの需要増加をもたらすと考えられることから、南米の状況が好転するまでは大豆市場とコーン市場は堅調に推移すると考えられる。毎週の輸出成約情報や南半球の天気予報を注視していきたい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。