穀物速報:5月の需給報告と今後の見通し、サバクトビバッタ速報(つらつら分析2020年5月13日)

 

総評

5月13日(日本時間12日25時)にUSDAから5月の穀物需給報告が発表された。今回の報告では新型コロナウイルスの感染拡大による食用、飼料用、燃料用(コーン)の需要減から輸出量見通しが引き下げられ、期末の在庫見通しが引き上げられた。大豆・コーン共に期末在庫率の引き上げは織り込み済みだったが、コーンの引き上げが幅が予想レンジの下限に近かったことから、コーン相場は大きく上昇した。この他2020/2021年の生産量見通しが発表されたので合わせてみていきたい。

アメリカ-大豆-

まず大豆からみていこう。表1が大豆の2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通しとなる。

           2019/2020年シーズン
予想(4月時点)            
2019/2020年シーズン
予想(5月時点)            
2020/2021年シーズン
見通し(5月時点)           
作付け面積(万エーカー)      761076108350
収穫面積(万エーカー)750075008280
単収(ブッシェル/エーカー)47.447.449.8
期初在庫(億ブッシェル)9.099.095.80
生産量(億ブッシェル)35.5835.5741.25
輸入(億ブッシェル)0.150.150.15
供給合計(億ブッシェル)44.8244.8147.20
消費合計(億ブッシェル)40.0239.0143.15
 内圧砕(油)(億ブッシェル)21.2521.2521.30
 内輸出(億ブッシェル)17.7516.7520.50
期末在庫(億ブッシェル)4.805.804.05
在庫率(%)12.0%14.9%9.4%
平均価格(セント/ブッシェル)865870820
表1 大豆の需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年の予想の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

今月の報告ではすでに収穫の終わっている2019/2020年の供給側はほぼ据え置きとなったが、需要側では輸出量が1億ブッシェル引き下げられたことで、期末在庫が1億ブッシェル上乗せされ、在庫率が2.9%上昇した。
今期にあたる2020/2021年の見通しでは、2019/2020年シーズンとの比較で作付け面積が740万エーカー増加し、単収が2.4ブッシェル引き上がったことで、生産量は5億6000万ブッシェル増加する見通し。一方で消費は輸出が3億7500万ブッシェル増加したことなどで増加し、消費全体は4億1400万ブッシェル増加する見通しで、期末在庫は1億7500万ブッシェルの減少を見込んでいる。

アメリカ-コーン-

次に表2がコーンの2019/2020年シーズン(新穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(旧穀)の需給見通しとなる。

           2019/2020年シーズン
予想(4月時点)              
2019/2020年シーズン
予想(5月時点)              
2020/2021年シーズン
見通し(5月時点)             
作付け面積(万エーカー)      897089709700
収穫面積(万エーカー)815081408960
単収(ブッシェル/エーカー)168.0167.8178.5
期初在庫(億ブッシェル)22.2122.2120.98
生産量(億ブッシェル)136.92136.63159.95
輸入(億ブッシェル)0.040.040.02
供給合計(億ブッシェル)159.95159.28181.18
消費合計(億ブッシェル)138.65138.30148.00
 内輸出(億ブッシェル)17.2517.7521.50
 内工業・種子・食品用(億ブッシェル)64.6563.5066.00
  内エタノール用(億ブッシェル)50.5049.5052.00
 内飼料用(億ブッシェル)56.7557.0060.50
期末在庫(億ブッシェル)20.9220.9833.18
在庫率(%)15.1%15.2%22.4%
平均価格(セント/ブッシェル)360360320
表2 コーンの需要と供給見通し(出展元 USDA)
*2019/2020年予想の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値

コーンも2019/2020年シーズンの供給側、需要側の多くの項目は据え置かれたが、エタノール用需要が1億ブッシェル、工業用が1億1000万ブッシェル引き下げられたが、飼料用が2500万ブッシェル、輸出が5000万ブッシェルそれぞれ引き上げられたこと、供給量の減少から在庫増加量は600万ブッシェルにとどまる見通し。
今期にあたる2020/2021年の見通しでは、2019/2020年シーズンとの比較で作付け面積が730万エーカー、単収が10.7ブッシェル増加することで、生産量が23億3000万ブッシェル増加する見通しとなった。対して需要側は飼料用が3億5000万ブッシェル、エタノール用が2億5000万ブッシェル、輸出が3億7500万ブッシェルの増加を見込んでいるが、消費増は10億ブッシェルに止まり、期末在庫が12億ブッシェル増加する見通し。

世界需給-大豆-

次に世界各国の需給について見ていこう。大豆の主要産地と消費量、主要需要地についてまとめたものが下表となる。大豆の世界生産量は3億3611万トンとなり、約200万トン前月から引き下げられた。主要国ではアルゼンチンが100万トン引下げられた5100万トン(前月5200万トン)、ブラジルが50万トン引き下げられて1億2400万トン(前月1億2450万トン)となった。

需要側では世界全体の消費量が前月の3億4841万トンから3億4770万トンへ引き下げられた。期末在庫予想はおよそ20万トン減少した。輸出ではアメリカの輸出が170万トン減り、ブラジルの輸出が550万トン増加している。

          期初在庫(100万重量トン)生産量(100万重量トン)輸入量(100万重量トン)国内消費飼料(100万重量トン) 国内消費全体(100万重量トン)輸出量(100万重量トン)期末在庫(100万重量トン)
世界1月110.28337.70147.95303.58350.11149.1596.67
2月111.22339.40150.80304.33351.06151.5098.86
3月111.88341.76150.75303.45350.07151.8897.13
4月110.81338.06151.47302.84348.41151.50100.45
5月112.52336.11153.31302.04347.70153.98100.27
アメリカ1月24.7496.840.4157.2960.7748.3112.92
2月24.7496.840.4157.2960.7749.6711.55
3月24.7496.840.4157.2960.7749.6711.55
4月24.7496.840.4157.8360.6248.3113.07
5月24.7496.790.4157.8360.5745.5915.79
アメリカ以外1月85.54240.86147.54246.29289.35100.8483.76
2月86.48242.56150.39247.04290.30101.8487.31
3月87.14244.92150.34246.16289.31102.2190.88
4月86.07241.24151.06245.01287.79103.1987.39
5月87.78239.32152.90244.21287.13108.3984.49
アルゼンチン1月28.8953.003.9044.6051.708.2025.89
2月28.8953.003.9044.6051.708.2025.89
3月28.8954.003.9043.6050.708.2027.89
4月28.8952.003.9041.6048.708.2027.89
5月28.8951.003.8041.6048.698.0027.00
ブラジル1月30.26123.000.1543.7546.2476.0031.17
2月30.42125.000.1543.7546.4077.0032.17
3月30.48126.000.1543.7546.4077.0033.23
4月30.48124.500.1544.2546.9078.5029.73
5月32.48124.000.1544.2546.9084.0025.73
パラグアイ1月0.0910.200.013.903.986.200.11
2月0.509.900.013.903.985.900.53
3月0.509.900.013.903.985.900.53
4月0.509.900.013.903.985.900.53
5月0.539.900.013.754.055.900.50
主要輸入国合計1月21.9121.83118.84113.59139.690.4222.47
2月22.0621.83121.84114.59140.740.4224.57
3月22.5621.83121.84114.59140.740.4225.07
4月22.1921.83122.57114.55140.550.4025.64
5月22.0921.78125.01114.74140.510.4027.97
中国1月19.4618.1085.0085.00102.700.1319.73
2月19.4618.1088.0086.00103.700.1321.73
3月19.4618.1088.0086.00103.700.1321.73
4月19.4618.1088.0086.00103.700.1322.73
5月19.4618.1092.0086.50104.200.1325.23
表3 2019/2020年シーズンの大豆の世界需給見通し(出展元 USDA)
世界需給-コーン-

次にコーンに対して主要産地と消費量、主要需要地についてまとめたものが下表となる。コーンの世界生産量は主要生産国ではアメリカの生産量が約70万トン減少したが、その他の国で約240万トン増加して11億1475万トン(前月11億1302万トン)となった。一方で、世界需要の予測は世界各地でエタノール燃料向け需要や家畜用需要が減少したことが主因で、前月より約1000万トン引き下げられた11億2095万トン(前月11億3079万トン)となった。これにより在庫が約1150万トンの増加となった。

          期初在庫(100万重量トン)生産量(100万重量トン)輸入量(100万重量トン)国内消費飼料(100万重量トン) 国内消費全体(100万重量トン)輸出量(100万重量トン)期末在庫(100万重量トン)
世界1月320.391110.84167.42703.921133.41165.64297.81
2月320.471111.59167.99704.891135.22165.77296.84
3月320.811112.01168.62705.801135.47165.83297.34
4月320.941113.02169.03709.281130.79165.93303.17
5月320.921114.75168.82704.511120.95169.34314.73
アメリカ1月56.41347.781.27140.34312.3145.0948.07
2月56.41347.781.27140.34313.5843.8248.07
3月56.41347.781.27140.34313.5843.8248.07
4月56.41347.781.14144.15308.3743.8253.15
5月56.41347.051.14144.79306.3145.0953.30
アメリカ以外1月263.98763.05166.15563.58821.11120.55249.74
2月264.06763.80166.72564.55821.64121.96248.77
3月264.40764.22167.35565.46821.89122.01249.27
4月264.53765.24167.89565.12822.42122.11250.02
5月264.51767.71167.68559.72814.74124.26261.42
アルゼンチン1月3.6150.000.0110.3015.0033.505.12
2月3.6150.000.0110.3015.0033.505.12
3月2.6150.000.0110.3015.0033.504.12
4月2.3750.000.0110.3015.0033.503.87
5月2.3750.000.0110.0014.0034.004.37
ブラジル1月4.58101.001.0056.0066.0036.004.58
2月4.58101.001.2056.5066.5036.004.28
3月5.19101.001.2057.0067.0036.004.39
4月5.19101.001.2057.0067.0036.004.39
5月5.19101.001.2057.0067.0036.004.39
ロシア1月0.3814.500.047.808.755.700.47
2月0.3814.500.047.808.755.700.47
3月0.3814.280.048.309.304.700.69
4月0.3814.280.048.709.704.200.79
5月0.3814.280.048.709.704.200.79
南アフリカ1月1.7714.000.106.6012.301.502.07
2月1.7714.500.106.6012.302.002.07
3月1.8316.000.006.8012.602.502.73
4月1.8316.000.006.8012.602.502.73
5月1.8316.000.006.8012.602.502.73
ウクライナ1月0.9435.500.023.905.1030.500.86
2月0.9435.800.023.805.0031.000.76
3月1.2935.800.023.304.4532.000.66
4月1.2935.890.023.304.5032.000.70
5月1.2935.890.023.304.4532.000.75
主要輸入国合計1月21.29127.4797.40168.00223.053.8419.27
2月21.52127.1297.40168.00223.054.2418.75
3月21.69127.1297.20167.90222.854.2918.87
4月21.89127.9197.10167.00223.104.9018.90
5月21.89127.9197.70167.10222.905.8018.80
中国1月210.32260.777.00190.00279.000.02199.07
2月210.32260.777.00190.00279.000.02199.07
3月210.32260.777.00190.00279.000.02199.07
4月210.32260.777.00190.00279.000.02199.07
5月210.32260.777.00185.00270.000.02208.07
表4 2019/2020年シーズンのコーンの世界需給見通し(出展元 USDA)
今後の見通し

まとめると、今月の需給報告では2019/2020年シーズンに対しては、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少と期末在庫の増加が見込まれた。コーンのエタノール向け需要の低迷と海外需要の低迷による輸出の減少が主因となっている。在庫の増加は織り込まれており相場への影響は小かったが、コーンの期末在庫がほぼ据え置きとされたことはサプライズとなり、コーンの支援材料となった。

2020/2021年シーズンは大豆・コーンともに700万エーカーほどの作付面積の増加と、好天が予想されていることによる単収の引き上げで、大豆が5億6000万ブッシェル、コーンが23億3000万ブッシェルの記録的な豊作となる見通しだが、消費の増加、輸出の増加幅は限られている。大豆は生産増を十分に吸収できる見通しで期末在庫は減少する。ただし、輸出における価格競争のため価格も下がる見通し。コーンはエタノール用消費が伸び悩み期末在庫が増加するため価格が下落する見通しとなっている。ただし、今後の天気によって左右されるため、今後も天気情報に注意したい。


サバクトビバッタの近況

サバクトビバッタの近況を今週もお伝えする。

図1は東アフリカとアラビア半島、南アジアでの移動予測となる。

東アフリカ:
ソマリアとエチオピアでは孵化が進み成虫が増加している。ケニアではまだ孵化前となっている。

アラビア半島:
オマーンとUAEの国境沿いやとイエメンで繁殖中

南アジア:
イランの南部のシスタン・バルチスタン州では産卵が進みバルチスタンで繁殖した成虫はインドへ向けてインドとパキスタンの国境付近へ移動中

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200504DLe.jpg
図1 サバクトビバッタの移動予測東側(出展元 FAO)

図2は西アフリカに向けた移動予測で、現在スーダン南部で少数のバッタの群れが確認されている。今後アラビアや東アフリカから本格的な移動が始まり、早ければ6月中旬から後半にチャドに出現する可能性が警告されている。

http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/200507globalE.jpg
図2 サバクトビバッタの移動予測西側(出展元 FAO)

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。