目次
今日からコラムも再開いたしました。
突然の休養となり、読者の皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
今後とも何卒よろしくお願いいたします。
ダイジェスト
- 大豆の単収・生産量の減少で期末在庫が減少
- 大豆の予想需要は据え置き
- 中国向けの輸出は順調だが輸出は据え置き
- コーンの単収・生産量が減少
- 作柄悪化で単収と生産量、期末在庫が引き下げ
- 悪化したものの依然として単収は史上最高値を予想
- エタノール用需要は引き下げ、輸出は引き上げ
総評
日本時間9月11日25時にUSDAより9月の穀物需給報告が発表された。今回の報告では8月の暴風による作柄悪化によるコーンと大豆の生産量と期末在庫の下方修正、中国向け輸出の増加による大豆の在庫が減少かどうかが注目材料だったと思われる。大豆については期末在庫が1.50億ブッシェルの引き下げとなった。ただし、中国向けの輸出が好調であるにも関わらず輸出が据え置かれた。大豆については今後の輸出の拡大で在庫が逼迫すると見方から大きく上昇し、2018年以来の高値となった。コーンについては単収が引き下げられたが、引き続き史上最高の単収を維持しており、まちまちな結果となったため、発表直後は高下したが売りが優勢になった後、大豆に連れ高となる結果となった。
需給-大豆-
まず大豆からみていこう。表1が間もなく終了する大豆の2019/2020年シーズン(旧穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(新穀)の需給見通しとなる。
2019/2020年シーズン 予想(9月時点) | 2020/2021年シーズン 予想(8月時点) | 2020/2021年シーズン 予想(9月時点) | |
作付面積(万エーカー) | 7610 | 8380 | 8380 |
収穫面積(万エーカー) | 7500 | 8300 | 8300 |
単収(ブッシェル/エーカー) | 47.4 | 53.3 | 51.9 |
期初在庫(億ブッシェル) | 9.09 | 6.15 | 5.75 |
生産量(億ブッシェル) | 35.52 | 44.25 | 43.13 |
輸入(億ブッシェル) | 0.16 | 0.15 | 0.15 |
供給合計(億ブッシェル) | 44.77 | 50.55 | 49.03 |
消費合計(億ブッシェル) | 39.03 | 44.45 | 44.42 |
内圧砕(油)(億ブッシェル) | 21.70 | 21.80 | 21.80 |
内輸出(億ブッシェル) | 16.80 | 21.25 | 21.25 |
期末在庫(億ブッシェル) | 5.75 | 6.10 | 4.60 |
平均価格(セント/ブッシェル) | 855 | 835 | 925 |
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値
2019/2020年シーズン(旧穀)の取引は終わり、2020/2021年シーズン(新穀)に中心が移っている。今月の報告ではまず期初在庫が0.40億ブッシェル下方修正された5.75億ブッシェルとなった。供給側では収穫面積が据え置きとなったが、単収がやや低下したことに伴い、生産量は8月の44.25億ブッシェルから1.12億ブッシェル引き下げられた43.13億ブッシェルとなった。一方、需要側では油脂用需要が21.80億ブッシェルで、輸出用が21.25億ブッシェルと据え置きとなった。結果、作柄悪化による収穫量減少が最大の要因となり、期末在庫は8月の6.10億ブッシェルから1.50億ブッシェル引き下げられて4.60億ブッシェルとなった。
需給-コーン-
表2がコーンの2019/2020年シーズン(新穀)の需給予想と2020/2021年シーズン(旧穀)の需給見通しとなる。
2019/2020年シーズン 予想(9月時点) | 2020/2021年シーズン 見通し(8月時点) | 2020/2021年シーズン 見通し(9月時点) | |
作付面積(万エーカー) | 8970 | 9200 | 9200 |
収穫面積(万エーカー) | 8130 | 8400 | 8350 |
単収(ブッシェル/エーカー) | 167.4 | 181.8 | 178.5 |
期初在庫(億ブッシェル) | 22.21 | 22.28 | 22.53 |
生産量(億ブッシェル) | 136.17 | 152.78 | 149.00 |
輸入(億ブッシェル) | 0.04 | 0.02 | 0.02 |
供給合計(億ブッシェル) | 158.83 | 175.31 | 171.78 |
消費合計(億ブッシェル) | 136.30 | 147.75 | 146.75 |
内輸出(億ブッシェル) | 17.65 | 22.25 | 23.25 |
内工業・種子・食品用(億ブッシェル) | 62.65 | 66.25 | 65.25 |
内エタノール用(億ブッシェル) | 48.55 | 52.00 | 51.00 |
内飼料用(億ブッシェル) | 56.00 | 59.25 | 58.25 |
期末在庫(億ブッシェル) | 22.53 | 27.56 | 25.03 |
平均価格(セント/ブッシェル) | 360 | 310 | 350 |
*2019/2020年の内、作付面積、収穫面積、単収、期初在庫は実測値
9月の2020/2021年シーズン(新穀)の予想は8月の予想に比べると供給側で、8月の報告から収穫面積が500万エーカー引き下げられ、単収が3.3ブッシェル引き下げられたことで、収穫予想が152.78億ブッシェルから3.78億ブッシェル減少した149.00億ブッシェルとなった。この他期初在庫が8月の予想の22.28億ブッシェルから22.53億ブッシェルへ引き上げられた。需要側では、飼料用需要が59.25億ブッシェルから58.25億ブッシェルへ、食品・種子用が66.25億ブッシェルから65.25億ブッシェルへそれぞれ1.00億ブッシェル引き下げられた。エタノール用の需要は1.00億ブッシェル引き下げられたが、輸出は8月の22.25億ブッシェルから1.00億ブッシェル引き上げられた23.25億ブッシェルと強気の見通しとなった。期末在庫は生産量のの減少から8月予想の27.56億ブッシェルから2.53億ブッシェル減少した25.03億ブッシェルとなった。
世界需給
世界需給についてのダイジェスト
大豆
9月予想での大豆の2020年/2021年シーズンの世界の推定生産量は3億6974万トンで、前シーズンを約3240万トン上回る予想となっている。主要国生産国ではアメリカが作付面積の増加と豊作を反映して約2070万トン、アルゼンチンが約380万トン、ブラジルが約700万トン増加する。需要側では世界全体の消費量が前シーズンの3億5199万トンから3億6907万トンへ約1700万トン引き上げられた。これらの内、約900万トンは各生産国での国内消費増となっている一方で、最大輸入国の中国の消費量が約820万トンと大幅に増加する予想となっている。
コーン
コーンの2020年/2021年シーズンの世界生産量予想は11億6238万トンと前シーズンの世界の推定生産量11億1284万トンから約5000万トンの増加となる見込み。内訳はアメリカが約3250万トン増、ブラジルが約800万トン増、ロシアが約70万トン増などとなる。一方の世界需要は11億6474万トンで前シーズンの推定11億2423万トンから約4050万トンの増加となる見込み。
今後の見通し
2020年/2021年シーズンの予想は先月の嵐による被害や乾燥被害が反映されたことで、コーンでは単収と生産量、期末在庫が引き下げられた。ただし、引き下げられた値でも史上最高の単収となる。一方、大豆は作柄悪化による生産量に引き下げで期末在庫が大幅に引き下られた。予想のコーン相場への影響は小さかったが、大豆相場は中国向けの輸出が好調な中、輸出量が据え置きとなったことで在庫の逼迫懸念の見方が広がり上昇した。
世界需給については、需要がコーンで約5000万トン、大豆で約4000万トン増加する見込み。これに対する海外の主要産地では、ブラジル産の大豆が約700万トン、コーンが約800万トン増加、アルゼンチン産の大豆が約380万トン増加する見込み。一方、アメリカの生産量はコーンで3250万トン、大豆で2000万トン昨年より増加する。アメリカの輸出にとって今年も強力なライバルとなるが、中国の大洪水の影響でアメリカ産以外を購入しても国内需要になお足りないという報道もあり、大豆、コーン共に中国向けの輸出が好調に推移するのではないかと考えている。毎週の成約情報を注視していきたい。
今後は、作柄悪化のみが焦点となるが、天気情報と毎週発表されるクロッププログレスレポートの内容に注意したい。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。