イラン情勢と金相場(つらつらコラム2019年7月4日)

図1 2019年6月~金チャート(出展元 Investing.com)

7月4日の金先物相場は早期の利下げ期待から株価が上がったことで下げで引けたた。6月18日19日のFOMC後の利下げ期待や、イラン情勢の悪化、米中間の貿易摩擦などで2週間で70ドル以上価格を上げていたが、米中間の協議再開と関税導入の先送りから、一旦、1450ドルを伺うような上げの動きが収まった形となった。
ただし、この平穏も一時のことかもしれない。アメリカとイランの間の対立は2015年に結ばれたイラン核合意(イランと米英仏独中露、EU)から昨年5月にアメリカが離脱し、イランへの経済制裁を強化したことから再度表面化し、タンカーへの攻撃などでアメリカや周辺諸国とイランの間の対立が激化・地政学的リスクの高まっているが、ここへきて核合意自体の継続が危ぶまれる事態となっている。もともとこの合意はイランが核兵器開発に必要な高濃縮ウランやプルトニウムの製造を行わない見返りに対イラン制裁を緩和するとの内容だったが、アメリカの離脱と再制裁により、各国がイランとの貿易を手控える中、イラン経済の悪化が進んでいることが背景にある。アメリカを除く各国はイランとの間で6月28日にウィーンで新しい「INSTEX」と呼ばれる枠組みに基づいた経済支援についての会合を開いたが、内容はイランの希望に達しなかった。核合意に基づいた低濃縮ウランの保有量300キロを7月1日に突破し、ロウハニ・イラン大統領が7月7日以降の必要な時期に高濃度ウラン濃縮を再開することを昨日表明したことで、このまま7日までの間に何もなければ合意崩壊は確実な情勢だと思われる。ウラン濃縮再開が実際に再開されれば、対立するアメリカ・サウジアラビアなどが軍事行動に踏み切るかまでは不透明だが対立のさらなる激化は間違いない。
来週の金相場は、世界経済の減速で資金シフトが起きている中、このまま対立を背景に金がさらに上昇するか、それとも急転して和解により下落圧力がかかるのか、いずれにせよ波乱含みの展開が予想されるので目が離せない。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。