サウジ攻撃と原油の見通し(つらつらコラム2019年9月16日)

 

図1 原油5分足チャート (出展元 サクソバンク証券

土曜日の夕方に、サウジアラビアの石油施設二か所をイエメンの武装勢力フーシ派がドローン10機を使って攻撃したとの報が入った。画像リンク(ニュース出展:アルジャジーラ)。翌日サウジアラビアの原油輸出のおよそ半分に当たる日量570万バレル(世界需要のおよそ5%)が停止すると発表された。これを受けて、月曜日の原油相場は寄付きで急騰し、一時63.00ドルを超える水準まで上昇した(図1)。

2019年8月に続く石油施設を無人機で狙った攻撃となり、今回攻撃を受けたのはサウジアラビア東部にあるアブカイクの原油処理施設とクライスにある油井。アブカイクとクライスにはそれぞれ、日量100万バレルクラスの油田があり計算が合わないが、アブカイクにはサウジアラビアが原油を輸出する際にほぼすべてが通過する処理施設がある。一般に原油が輸出される際には複数の油田からの原油を混ぜ合わせて品質を均一にし、アラビアンヘビーやアラビアンライトとする処理が必要で、この処理の一部が不可能になったため輸出が止まると考えられる。また、アブカイクはサウジアラビアを横断して東西に延びるパイプラインの起点でもある重要都市。
その後、サウジアラビア国営石油会社サウジアラムコは15日までに施設火災の鎮火と在庫を活用して供給を安定化することを発表。また、アメリカが15日に戦略石油備蓄(SPR)を必要ならば放出することを発表し、アメリカ・エネルギー省はIEAと連携しつつ原油相場の安定を図ることになった。この他、OPECプラスの協調減産(日量120万バレル)の取りやめ、ロシアやOPEC加盟国の増産などが予想される。変わったところでは、アメリカが制裁を取りやめればイランは増産の用意があると同国の石油相が発言したとの報道もあった。各国の増産や放出が報道されれば、下落が予想されるので報道に注意したい。

今日の寄付きは週末の攻撃を受けた原油供給の減少予測から急騰したが、ショックは次第に沈静化しつつある。図1でもピークより日本時間13時の時点で59.50ドルまで3ドル以上下落した。もともと世界にはOECD加盟国だけで約30億バレルの原油備蓄(出展:IEAレポート2019)がある。アラムコの施設の復旧が長期化するか攻撃が連続しない限り、基本的には需給にとっての大きな問題は出ず価格は下がる傾向にあると考えられる。ただ、地政学的リスクは高まることは避けられず、施設が復旧した後も8月の攻撃後よりは若干高めの水準(58ドル)位となるのではないだろうか。今後の増産の報道や一両日中にアラムコが発表する被害状況についての情報に注目したい。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。