サウジ攻撃顛末と原油の見通し(つらつらコラム2019年9月18日)

 

図1 原油5分足チャート (出展元 サクソバンク証券

土曜日の夕方に、サウジアラビアの石油施設二か所をイエメンの武装勢力フーシ派がドローン10機を使って攻撃し、月曜日に一時63.00ドルを超える水準まで上昇した(図1)が、火曜日の未明にサウジアラビアのアブドゥル・アジズ石油相が会見を行い、既に被害の7割のは復旧済みで、残りの3割も月内に修復されると発表したことで、需要逼迫懸念が後退して原油は大きく下落した。ただし、月曜日の安値のラインまでは下落したが、金曜日と月曜日の窓については埋めなかった。今日は顛末と今後の見通しについて書いておきたい。

攻撃そのものについては月曜日のコラムを参照してほしいが、多少の補足を行うと、クライス油田にはサウジアラビアにおいてガワールに次ぐ大きさの油田で日量150万バレルの生産能力と200億バレルの埋蔵量があるとされる。CNBCの解説によると、今回の攻撃はドローン20機以上と巡航ミサイルを使用を使用した攻撃で、少なくともアブカイクでは17回の攻撃があり、うち14回が命中しているとのことで、穴の開いたタンクが衛星写真にはっきり写っている。クライスの方でも重大な火災が発生した跡を写真から読み取ることができる。今回の攻撃は原油生産へ影響は比較的軽微に終わったが、解決していない問題として、無人機攻撃を行った組織が真にフーシ派だった場合に今後も無人機攻撃が繰り返される可能性があり、そのたびに原油相場が高下することが考えられる。また、イランが武器の提供などを行っていた場合、市場への影響は避けられず、暫くはレートが高い状態が続くと考えれる。
ここで、値動きのあくまで一つの目安として動きの幅を推定してみよう。先週にボルトン・アメリカ国家安全保障問題担当補佐官が解任され、イランとの関係改善が楽観視されたが、この時に約2ドル-3ドル動いている。イランへの経済制裁が取りやめられた場合、約200万バレルが市場に戻ってくることを考えれば、100万バレルが1-1.5ドルに相当する。一方で、今回の攻撃で一時的にでも失われた生産量は570万バレルで、前述の関係を適用すると、5.7-8.5ドルとなる。実際の上げ幅は4.0-7.3ドルだったので、起点や終点の置き方で多少変動するけれども、オーダーは一致しており今後需給のバランスが大きく崩れない限りはスケールとしてしばらく使えるのではないだろうか。

最後に、今後の原油相場の見通しを考えよう。先週末の金曜日の終値と月曜日の安値の差を下げられなかったプレミアム部分と考える、その差にあたる約3ドルが今後の中東のリスクプレミアムとして先週の相場に上乗せされたと考えることができるだろう。今後しばらくは58.00ドルを底値と考えた値動きが続くのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。