ダウの乱高下(つらつらコラム2019年8月12日)

図1 ダウ日足チャート(出展元 Investing.com)

先週のダウは乱高下し非常に悩ましい相場の動きとなった(上図)。先々週の水曜日に利下げが発表されたが、大幅利下げでなかったことから下落していたところ、木曜日にアメリカが対中国の追加関税を発動することを発表したため下落して27000ドルを割り込んでいた。先週は月曜日早々に中国が人民元レートを安値としたこと、アメリカ産の農産物の輸入を停止すると発表したことをきっかけに貿易摩擦の懸念から1日で約900ドル下落する展開となった。先週のアメリカ企業決算は好決算発表が続いていたし、金曜日発表の雇用統計も堅実さを示していたが、吹き飛んでしまった形となる(図青矢印)。このまま下落が続くと思われたが、火曜日に中国銀行が前日のレートを改訂し高値に設定したことで、ダウは一気に反転し、トランプ・アメリカ大統領が交渉継続を望んでいると報道されたこともあり約500ドルの戻しとなった。翌日、水曜日は寄り付きでトランプ・アメリカ大統領がFRBへ利下げ圧力を掛けたことを材料に100ドル以上上昇したが、貿易摩擦の激化懸念から、ニューヨークの立会時間には600ドル以上下落、その後、シカゴ連銀総裁が追加利下げの必要性を示唆したことで始値まで買い戻され、結局小幅下落となるなど、混沌とした状況が続いた。その後は若干落ち着きを取り戻し、木曜日は中国銀行がレートを元高レートへ設定したことで約350ドル上昇、金曜日はトランプ・アメリカ大統領が中国が為替操作を続けるなら9月の会合延期もありうるとの発言で一時200ドル下落したが、買い戻しが入りほぼ横ばいで引ける結果となった。週で見れば、前週比169ドル下落と900ドル下落、600ドル上昇など大きな値動きをした割にはほぼ変わらずとなった。一方で、市場は活発化し年初以来の最高取引高410億株を記録したことはある種、皮肉な結果となった。

結局のところ、先週のダウ相場は中国のドル元レート設定に振り回される形となり、図らずも中国が為替操作国であるというトランプ政権の主張を裏付ける形の値動きとなったのではないか。操作国の認定には対アメリカ貿易黒字が200億ドル以上、経常黒字がGDPの2%以上、為替介入による外貨購入額がGDPの2%以上という基準があり、中国の経済的成長を反映しているとみることは可能だろう。参考までに監視リスト国を書きだしてみると、日本、韓国、マレーシア、ドイツ、アイルランド、イタリアなども並んでいる(以上変動相場制)が、この中で中国、シンガポール、ベトナムが変動相場制になっていない。振り返ってみれば、25年前は時のクリントン政権が、当時固定相場制を敷いていた中国に、管理型の変動相場制への移行を強いることに成功しているわけだが 、今回の圧力は、完全な変動相場制へ移行させることに成功するだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。