ヒーティングオイルと天然ガス(つらつらコラム2019年11月25日)

 

今日はヒーティングオイルと天然ガス相場の乖離について考察してみた。ヒーティングオイルは暖房用の灯油のことである。下の図1はヒーティングオイル相場と天然ガス相場の時間足レートを重ねてみたもので、両者は翌週以降の天気予報を元にほとんど同じ方向に動いている。しかし、11月21日にはヒーティングオイル(赤青チャート)が上昇したにもかかわらず、天然ガス(淡青チャート)は軟調で11月22日になって上昇するという値動きが見られた。ヒーティングオイルと天然ガスの値動きに乖離があり、1日の差があることが良くわかる。なぜ差が出るかを今日は調べてみた。

図1 ヒーティングオイル(赤青)、天然ガス(淡青)時間足 (出展元 サクソバンク証券)

まず、下の表を見てほしい、下の表はアメリカにおいて一般家庭用暖房の燃料についてアメリカ国勢調査局が2017年に調査し、2018年に発表した国勢調査結果から引用したものである。

            推計戸数      割合      
全体120,062,818
天然ガス57,687,28948.0%
プロパンガス5,629,1204.8%
電気46,773,13839.0%
ヒーティングオイル5,649,0484.6%
石炭、コークス114,2950.1%
2,120,9371.7%
太陽エネルギー187,6220.2%
その他575,1220.5%
暖房なし1,326,2471.1%

天然ガス(48%)と電気(39%)による暖房が大部分を占めており、ヒーティングオイルの割合は4.7%と決して高くない割合となっている。次に地域的な分布に差がないか見てみよう。下の図3はEIAによるヒーティングオイル(distillate fuel)とプロパンガス(propane)の使用家庭の州ごとの分布を見たものである。

図2 使用燃料分布(出展元 EIA)

ヒーティングオイルの使用家庭が北東部に集中していることが良くわかる。一方で天然ガスはより一般的な暖房用燃料でアメリカ全土で使用されている。ここまでをまとめると、次のことが言える。

加えてヒーティングオイル相場と天然ガス相場ともに翌週以降の気温予報によって価格が動く傾向があることを踏まえて、日本時間の11月20日から23日に発表された6-10日後と8-14日後の気温予報(NOAA発表、発表日付は1日遅れ)と価格の値動きについて見てみよう。

11月20日発表6-10日後予報(上段左、図3A)と8-14日後予報(下段左、図4A)と11月21日発表6-10日後予報(上段中央、図3B)と8-14日後予報(下段中央、図4B)を比較すると、20日の予報に比べて21日の予報は、北東部の気温が上がらない予報となっている。このことがヒーティングオイル相場の上昇に結び付いたと考えることができる。一方で全国で考えると西側の寒気は山岳部にとどまっていて人口密集地を外していることもあって、天然ガスの価格の上昇にまではつながらなかった。
次に11月22日発表の6-10日後予報(上段右、図3C)、8-14日後予報(下段右、図4C)を見てみよう。21日の予報に比べると寒気がさらに強まって、西海岸をカルフォルニア沿岸まで覆う予報だったことから天然ガスが値上がりした。東部も気温が前日の予報より下がる予報となったが、高値追いまではせずヒーティングオイルは高値安定となったと考えられる。

まとめると、ヒーティングオイルと天然ガスともに翌週以降の気温の低下予報によって価格が上昇する傾向があるが、このうちヒーティングオイルは北東部の人口密集地に集中して使用されている。今回は11月21日に翌週以降のアメリカ北東部の気温が上がらない予報となりヒーティングオイル相場が上昇したが、市場は21日の予報は全国的な天然ガス消費量の増加につながらないと判断したことで天然ガス相場は横ばいとなる乖離が生じたことが分かった。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。