今後の天然ガスの見通し(つらつらコラム2019年7月9日)

図1 2018年1月以降の天然ガス価格(週足)(出展元 Investing.com)

天然ガスの価格が急落という話題を過去のコラムに書いたが、依然として底を打ったかどうかが分からない相場の動きが続いている。6月21日に1mmbtu当たり2.160ドル水準まで下落したのち、幾分持ち直したが、昨日の終値は2.403ドルとなっている。去年の同時期が2.8ドルの水準であったことを考えるとまだ20%近くの安値となっている。
今日は中長期の見通しについて書いてみたい。アメリカは既に世界最大の天然ガス生産国であり、年8318億立方メートルの天然ガスを生産している。ただし、輸出量においては年284億立方メートルで世界4位となっている。つまり、アメリカの天然ガスは国内消費がほとんどで、輸出に回るガスの量は限られている。要因は天然ガス輸出のためにガスをLNGに加工する液化設備が未整備であることが大きい。これはアメリカが2016年まで輸入国であったこと(LNG受入設備は整備されている)と原油価格が一時期低迷していたこと(液化施設建設に5年程度が必要)が要因となっている。現在、受入設備の輸出設備への転換、新規設備の建設などが進められており、2019年から20年かけての竣工が予定されている。今後、アメリカからの輸出が増産ペース(2019年は8%程度)以上に伸びれば、ヘンリーハブ基準となっている天然ガス相場の上昇が予想されるが、需要側はどうだろうか。IEA(国際エネルギー機関)の報告によると2018年の世界需要は前年比4.6%増加しており、エネルギー消費増加の内45%が天然ガスとなった。これはアメリカの天然ガスシフトとともに中国が石炭から天然ガスへの転換を進めていることが要因となっている。中国の石油企業協会の2018年の報告書によると天然ガスの輸入量は2017年比31.9%と増加し、世界最大の天然ガス輸入国となり、更にIEAによると2023年までに60%の消費量増加が見込まれている。しかしながら、世界における天然ガスの供給量の伸びはそれら以上に大きく、大規模プロジェクトが稼働する2020年には1000万トンの供給余力が予想(IEA)されており、一旦需給は緩和する見通しとなっている。故に、現在起きているような、イラン核開発再開問題の拡大によるホルムズ海峡の閉鎖のような想定外の供給支障がなければ、安定した価格が維持されると考えられる。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。