今週の原油在庫と見通し(つらつらコラム2019年10月21日)

 

図1 原油時間足チャート (出展元 サクソバンク証券

先週の原油相場について振り返ると、先週の月曜日はコロンブスデーの祝日で、週の初めにあった政府機関や民間機関が発表する在庫関係の報告は1日ずつ遅れた。水曜日は指標の発表がないまま、EUと英国の離脱交渉に左右された。日本時間17日29時30分にAPIが週の在庫報告をしたが内容は、前週比で原油在庫1050万バレル増、ガソリン在庫93万バレル減、留出油290万バレル減が発表されて下落傾向となった。17日23時30分にはEIAの週間原油統計が発表となり、内容は前週比で原油在庫928万バレル増、ガソリン在庫256万バレル減、留出油382万バレル減となり、APIとEIAの在庫統計の方向性が一致した。しかし、原油在庫は増加したものの精製物の在庫が減少したことを材料に約1ドル以上上昇した(図1)。
それでは、今日もEIAの週間レポートの中身を簡単に見て分析しておきたい。また精製物の在庫について触れておこう。

今週  前週  4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1260126012521090
原油輸入(万バレル/日)629624629761
原油輸出(万バレル/日)324340312178

アメリカ国内の原油生産は日量1260万バレル(前週+09万バレル、前年比+170万バレル)で前週から横ばい。原油輸入も日量629万バレル(前週比+5万バレル、前年比-132万バレル)と横ばいだった。一方の原油輸出は若干減少して日量324万バレル(前週-16万バレル、前年比+146万バレル)となっている。今週の原油のアメリカ国内向け供給量(生産量+輸入量-輸出量)、日量で前週比11万バレル増加だった。

今週 (4週平均)   前週(4週平均)    前々週(4週平均)  
ガソリン生産(万バレル/日)  932922908
留出油生産(万バレル/日)   406393414

次にガソリンや留出油の生産だが、夏の需要期が終了し製油所がメンテナンスに入っている。稼働率は10月11日の週で86.2%となっており、先週には83.1%と落ちている。今後の減少が予想される。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)935946932918
ジェット燃料供給(万バレル/日)161177166163
留出油供給(万バレル/日)436403406379

次に石油製品の供給量は、日量でガソリンが33万バレル増加し、一方でジェット燃料と留出油はそれぞれ、1万バレル増加、7万バレル増加となった。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン輸出(万バレル/日)787982116
ジェット燃料輸出(万バレル/日)24232037
留出油輸出(万バレル/日)106145134130

一方の石油製品の輸出は、ガソリンが日量79万バレル(前週比-1万バレル、前年比-38万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量24万バレル(前週比+1万バレル、前年比-13万バレル)。留出油は日量106万バレル(前週比+39万バレル、前年比-24万バレル)となっていて大きな変化はない。

EIA週間原油統計予想結果
原油(万バレル)+287+928
ガソリン(万バレル)-120-256
留出油(万バレル)-237-43

次に原油と精製物の在庫の推移について触れておきたい。

Stock price graphs
図2 原油在庫(出典元 EIA)
Stock price graphs
図3 ガソリン在庫(出典元 EIA)
Stock price graphs
図4 留出油在庫(出典元 EIA)

原油在庫(図2)やガソリン在庫(図3)は過去5年平均より多めで推移している。一方で留出油の在庫(図4)は5年平均の下限以下となっており、在庫と不足していると言ってよい水準にある。

以上をまとめると、原油生産は順調に増えているが、冬前に製油所がメンテナンスに入った関係で製油所の稼働率が徐々に低下している。報告によると製油所に対する原油投入量は日量22.1万バレル減少しているこれは週では160万バレルの在庫増に繋がっている。精製物の在庫が減少していることは生産低下もあるが、消費が落ち込んでいいないことも示しているのではいだろうか。

最後に今後の見通しに簡単に触れておきたい。シリア内部のクルド人地域へのトルコの攻撃は金曜日に5日間の停戦に入った、翌日に衝突があったと報道されているが、その後は沈静化している。明日には停戦期間終了するため、大きな衝突があれば1ドル程度の上昇があり得るのではないだろうか。ただし、中国経済の減速などが伝えられる中、上値はそれほど大きくはないと思われる。シリア問題が沈静化すれば、OPECプラスの減産についての続報が得られるまでは原油相場は下落基調となるのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。