今週の原油在庫と見通し(つらつらコラム2019年9月12日)

 

図1 原油日足チャート (出展元 サクソバンク証券
図2 EIA週間原油統計 (出展元 EIA)

今週の原油在庫の統計は月曜日がレイバーデイの休日だったため一日遅れての発表となっている。早朝に発表されたAPIの統計(前週比で原油在庫720万バレル減)の影響は少なかった。11日の時間外取引はおおむね58.00ドルの水準で大きな動きなく推移した。23時30分にEIAの週間原油統計が発表された頃に急落した(図1 )。 発表内容は原油在庫の691万バレルの減少で予想の270万バレル減少を上回ったが、ガソリン在庫予想84バレル減少を下回る68万バレルの減少で、留出油在庫は予想の7万バレル増加を上回る270万バレル増加と予想を下回るちぐはぐな内容で、強気材料としては弱かった。一方で、トランプ政権が対イラン強硬派で知られるボルトン国家安全保障問題担当補佐官を更迭したことで、イランに対する対話再開とイラン産原油輸出制裁緩和で需給が緩むとの見通しから強い売りが入ったと考えられる。図2は今年9月までの原油在庫推移と例年との比較となる。原油在庫は特に大きな変動もなく前年水準に近づいた。今日もEIAの週間レポートの中身を簡単に見て分析しておきたい。

今週  前週  4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1240124012131090
原油輸入(万バレル/日)343690364576
原油輸出(万バレル/日)329306304182

アメリカ国内の原油生産は日量1240万バレル(前週±0万バレル、前年比+150万バレル)で前週と同量、原油輸入は日量343万バレル(前週比-347万バレル、前年比-233万バレル)と前週の半分だった。一方の原油輸出はやや増加しており日量329万バレル(前週+23万バレル、前年比+147万バレル)となっている。よって前週と比べて原油の国内向け供給量は在庫減少幅(214万バレル)より大きく、消費が多い特に製油所の投入量が依然として多い(週報によると製油所稼働率は95.3%と前週の95.2%より若干高くなっている。)ことがわかる。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)980947970964
ジェット燃料供給(万バレル/日)151187178157
留出油供給(万バレル/日)380413393328

次に石油製品の供給は、ガソリンの供給が増加(+33万バレル)、ジェット燃料と留出油はそれぞれ36万バレル、33万バレル減少している。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン輸出(万バレル/日)63817068
ジェット燃料輸出(万バレル/日)28142222
留出油輸出(万バレル/日)119150142141

一方の石油製品の輸出は、ガソリンが日量63万バレル(前週比-18万バレル、前年比-5万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量28万バレル(前週比+14万バレル、前年比-6万バレル)。留出油は日量119万バレル(前週比-31万バレル、前年比-22万バレル)となっている。

EIA週間原油統計予想結果
原油(万バレル)-270-691
ガソリン(万バレル)-84-68
留出油(万バレル)-7+270

以上をまとめると、原油生産は横ばい、原油の需要先にあたるガソリンの供給量は増加、留出油の供給量は減少、輸出量はガソリン・留出油ともに減少している。ガソリン、留出油共に在庫の増加が予想を上回った。ガソリンに関しては在庫の増加は輸出の減少とほぼ同量で、供給が増加していることから消費の増加が考えられる。一方の留出油については供給も減少しているが、供給と輸出の減少をを合わせた以上に在庫が増加したことから、消費が減少しているのだと考えられる。

次に建玉を見てみよう。以下の表はCFTC(アメリカ合衆国先物取引委員会)発表のNY原油の最近5週間の建玉数明細となる。

総建玉大口投機家
買玉
大口投機家
売玉
差引大口当業者
買玉
大口当業者
売玉
差引
8/62,070,210540,924165,283375,641760,7941,134,883-374,089
8/132,059,135547,040164,896382,144715,1571,086,691-371,534
8/202,002,847528,969114,334414,635692,1711,097,984-405,813
8/272,003,007513,465121,815391,650713,5111,095,956-382,445
9/32,082,415508,940124,783384,157748,8321,130,951-382,119

図3は2019年の原油建玉数の推移となる。ファンドの買玉の建玉数は依然として高い水準で推移しているが、若干売玉が増えている。

最後に天候ニュースだが、キューバ沖大西洋上でハリケーンの卵が発生した。今後、西北西のフロリダ海峡へ進み、48時間以内に熱帯低気圧へ発達する可能性が50%となっている。発達の上で進路がメキシコ湾の油田地帯へ向く可能性があるので、このハリケーンの卵情報には注意を払いたい。

図4 ハリケーン予報(出展元 NOAA)

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。