図1 原油日足チャート (出展元 サクソバンク証券)

まず今週の原油在庫の統計はAPIの統計(前週比で原油在庫59万バレル増、ガソリン在庫160万バレル増、留出油200万バレル増)の影響は少なかった。18日も17日のサウジアラビアの攻撃被害が予想より少ないことから大きく売られた流れを引き継いだ(図1)。18日23時30分にEIAの週間原油統計が発表されると下落した。内容は前週比で原油在庫110万バレル増、ガソリン在庫80万バレル増、留出油40万バレル増となった。その後も軟調に推移して引けた。図2は今年9月までの原油在庫推移と例年との比較となる。原油在庫は特に大きな変動もなくおおむね前年と同水準となっている。今日もEIAの週間レポートの中身を簡単に見て分析しておきたい。
今週 | 前週 | 4週平均 | 前年同時期 | |
原油生産(万バレル/日) | 1240 | 1240 | 1242 | 1100 |
原油輸入(万バレル/日) | 705 | 672 | 665 | 802 |
原油輸出(万バレル/日) | 317 | 329 | 313 | 236 |
アメリカ国内の原油生産は日量1240万バレル(前週同量、前年比+140万バレル)で、原油輸入は日量705万バレル(前週比+33万バレル、前年比-97万バレル)だった。一方の原油輸出は横ばいで日量317万バレル(前週-12万バレル、前年比+83万バレル)となっている。よって前週と比べて原油の国内向け供給量は日量で35万バレル増加した。
今週 | 前週 | 4週平均 | 前年同時期 | |
ガソリン生産(万バレル/日) | 893 | 980 | 952 | 953 |
ジェット燃料生産(万バレル/日) | 190 | 151 | 178 | 185 |
留出油生産(万バレル/日) | 385 | 380 | 396 | 415 |
次に石油製品の生産は、消費ピークを過ぎてガソリンの生産は減少(-87万バレル)、一方でジェット燃料と留出油はそれぞれ39万バレル、5万バレル増加している。
今週 | 前週 | 4週平均 | 前年同時期 | |
ガソリン輸出(万バレル/日) | 69 | 63 | 71 | 69 |
ジェット燃料輸出(万バレル/日) | 29 | 28 | 22 | 17 |
留出油輸出(万バレル/日) | 133 | 119 | 140 | 132 |
一方の石油製品の輸出は、ガソリンが日量69万バレル(前週比+6万バレル、前年比+0万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量29万バレル(前週比+1万バレル、前年比+12万バレル)。留出油は日量133万バレル(前週比+14万バレル、前年比+1万バレル)となっていて大きいな変化はない。
EIA週間原油統計 | 予想 | 結果 |
原油(万バレル) | +110 | -250 |
ガソリン(万バレル) | +80 | -50 |
留出油(万バレル) | +40 | +50 |
以上をまとめると、360万バレル原油の在庫が増加しているが、輸入増加と輸出の減少からくる245万バレルと消費ピークを過ぎたガソリン生産の減少分が多くの部分をしめているようだ。
次に建玉の方からも見てみよう。以下の表はCFTC(アメリカ合衆国先物取引委員会)発表のNY原油のここ5週間の建玉数の明細となる。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
8/13 | 2,059,135 | 547,040 | 164,896 | 382,144 | 715,157 | 1,086,691 | -371,534 |
8/20 | 2,002,847 | 528,969 | 114,334 | 414,635 | 692,171 | 1,097,984 | -405,813 |
8/27 | 2,003,007 | 513,465 | 121,815 | 391,650 | 713,511 | 1,095,956 | -382,445 |
9/3 | 2,082,415 | 508,940 | 124,783 | 384,157 | 748,832 | 1,130,951 | -382,119 |
9/10 | 2,080,994 | 527,579 | 99,374 | 428,205 | 716,210 | 1,140,398 | -424,188 |



図3は2019年の原油建玉数の推移、図4は建玉数前週比、図5は買い越し数となる。ファンドの買玉の建玉数は依然として高い水準で推移していて、総数は変わらないが直近で売玉が20%近く減少し買玉がその分増加している。
最後に天候ニュースだが、特に危険なハリケーンや熱帯低気圧はない。熱帯低気圧IMELDAは雨は警戒されているが、中心気圧が高く風については大きな影響はない見込み。新しく発生した熱帯低気圧JERRYはハリケーンへの発達は予想されているが、前2つのハリケーンと同様東海岸を沿うように進む見込み。

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。