今週の原油在庫と見通し(つらつら分析2019年11月7日)

 

図1 原油時間足チャート (出展元 サクソバンク証券

昨日の原油相場は火曜日朝方に発表されたAPI在庫統計で原油在庫が426万バレル増加、ガソリン・留出油の在庫がそれぞれ420万バレル・165万バレル減少したことを受けて売り優勢で始まった。昨日24時30分に発表されたEIAの在庫統計でも原油の在庫が予想を上回って増加したことを受けて57.00ドル台を割り込んだ。その後、中国とアメリカの間の第1弾の合意の署名が12月に延期される可能性が報道されたこともあり、昨日の高値より1.5ドル下落して引けた(図1)。筆者は精製物在庫は減少と予想していたが、原油在庫の増加は予想以上だった。結局、入ったポイントが良かったため、24時前後の値動きで上げと下げそれぞれで利益を確保できた。

EIA週間原油統計予想結果
原油(万バレル)+150+792
ガソリン(万バレル)-180-282
留出油(万バレル)-90-62

それでは、今日もEIAの週間レポートの中身を簡単に見て分析しておきたい。また原油の生産と輸出入から触れていこう。

今週  前週  4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1260126012601160
原油輸入(万バレル/日)607669623753
原油輸出(万バレル/日)237332315240

アメリカ国内の原油生産は日量1260万バレル(前週+0万バレル、前年比+100万バレル)と四週間以上横ばいとなっている。原油輸入は日量607万バレル(前週比-62万バレル、前年比-16万バレル)と減少した。一方の原油輸出も減少して日量237万バレル(前週-95万バレル、前年比-3万バレル)と300万バレルを下まわった。今週の原油のアメリカ国内向け供給量(生産量+輸入量-輸出量)は前週比で日量33 万バレル、週で約230万バレルの増加となる。

今週(4週平均)    前週(4週平均)  前年度同時期(4週平均)  
原油投入量(万バレル/日)157615741635
製油所稼働率85.585.489.3
ガソリン生産(万バレル/日)  100710081013
留出油生産(万バレル/日)   482481490

次にガソリンや留出油の生産だが、製油所稼働率が頭打ちになっており今週の稼働率は86.0%と先週の87.7%を下回り、原油処理量は日量で23.7万バレル(週当たり約160万バレル)減少した。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン供給(万バレル/日)914978946909
ジェット燃料供給(万バレル/日)181183183174
留出油供給(万バレル/日)429426425431

次に石油製品の供給量は、日量でガソリンが64万バレル減少、ジェット燃料が2万バレルの減少、留出油が3万バレルの増加となった。ガソリンの供給が6%ほど減少している。留出油に関してはほぼ横ばいだった。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン輸出(万バレル/日)109657669
ジェット燃料輸出(万バレル/日)14171822
留出油輸出(万バレル/日)97101106130

一方の石油製品の輸出は、ガソリンが日量109万バレル(前週比+44万バレル、前年比+40万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量14万バレル(前週比-3万バレル、前年比-8万バレル)。留出油は日量97万バレル(前週比-4万バレル、前年比-33万バレル)となっていて、ガソリンの輸出が拡大し週で約300万バレル輸出が増加した。

次に原油と精製物の在庫の推移について触れておきたい。

原油在庫(図2)は最近の1か月半は増加傾向で、ガソリン在庫(図3)は過去5年平均より多めだが減少する傾向、留出油の在庫(図4)は5年平均の下限を割り込み今週も取り崩しが続いている。先週金曜日にベーカー・ヒューズ社が発表している稼働中の原油採掘リグ数は先週691基(先週比5基減少)とさらに減ったにもかかわらず、生産量が維持されている。直近のEIA月報によればシェールオイルの生産量がいまだ増加している。

以上をまとめると、原油在庫の増加については、製油所の稼働率がやや低下したことで、原油の製油所投入量が週約160万バレル減少した他、輸出入の差し引きで週約230万バレルがアメリカ国内流通量の増加分となった。前週の在庫増加は570万バレルで今週の在庫増加は792万バレルだった。増加した222万バレルについては、この原油消費量と原油輸出量の減少で説明できる。一方で、ガソリンの在庫の減少は例年に比べて製油所の稼働率がやや低いことと輸出が週約300万バレル増加したことが大きな要因となったと考えられる。留出油については先週からほぼ横ばいだった。

次にCTFCの発表する最近5週間の建玉についてみておきたい。

    総建玉    大口投機家
買玉    
大口投機家
売玉    
差引    大口当業者
買玉    
大口当業者
売玉    
差引    
10/82,105,717520,283165,198355,085793,1521,156,661-363,509
10/152,136,717536,406179,522356,884785,4491,149,906-364,457
10/222,081,290548,951182,779366,172761,2071,128,177-366,970
10/292,045,914552,242168,895383,347746,0981,130,275-384,177
図5 2019NY原油建玉数(出展元 CFTC)
図6 2019NY建玉数前週比(出展元 CFTC)
図7 2019NY原油建玉買い越し数(出展元 CFTC)

図5は先週までの2019年中の原油建玉数の推移、図6は建玉数前週比、図7は買い越し数となる。大口投機家が買玉を3291枚増やし、売玉を13,884枚減らしたことで買い越しが383,347枚となっている。

最後に今後の見通しに簡単に触れておきたい。米中間の貿易協議の部分合意は、文章化までは順調に終了したと伝えられるが、署名場所などを巡り最後の駆け引きが行われていて、場合によっては12月にずれ込む可能性が取りざたされている。実際にずれ込む場合には短期的な値下がり要因となるだろう。また、OPECプラスの協調減産の期間延長や減産量増加の続報に注目しているが、アメリカの生産量がここ4週間は頭打ちとはいえ、8月は日量で1240万バレルと60万バレル以上増加している。世界経済の減速で原油需要が頭打ちと仮定すれば、OPECが減産強化をするにしてもこれまでの120万バレルと合わせて合計で200万バレルを超える規模の減産でなければ、値上がり材料にとしては弱いのではないかと考えるがいかがだろう。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。