原油の見通し(つらつらコラム2019年8月29日)

 

昨日の原油相場は早朝に発表されたAPIの統計(前週比で原油在庫1110万バレル減、ガソリン在庫30万バレル減、留出油250万バレル増)の影響は少なく、午前中は小幅な値動きだった。その後は、ダウの上昇やOPECの生産調整のニュースを材料に上げていたが、23時30分にEIAの週間原油統計が発表された直後に一時急騰した(図1 )。内容は前週比で原油在庫1002万バレル減、ガソリン在庫209万バレル減、留出油206万バレル減となった。図2が今年8月までの原油在庫推移と例年との比較となる。原油在庫はおおむね前年と同水準となっている。今日もEIAの週間レポートの中身を簡単に見て分析しておきたい。

今週  前週  4週平均前年同時期
原油生産(万バレル/日)1250123012351092
原油輸入(万バレル/日)592721702748
原油輸出(万バレル/日)301280259177

アメリカ国内の原油生産は日量1250万バレル(前週+20万バレル、前年比+158万バレル)で、原油輸入は日量592万バレル(前週比-129万バレル、前年比-256万バレル)だった。一方の原油輸出は増加しており日量301万バレル(前週+21万バレル、前年比+134万バレル)となっている。よって原油の国内向け供給量は減少することになるが、在庫の増加よりはるかに少ない量となっている。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン生産(万バレル/日)990962984989
ジェット燃料生産(万バレル/日)185290201206
留出油生産(万バレル/日)404375391443

次に石油製品の生産は、夏の需要期は終わりを迎えつつあるが、ガソリンの生産は日量990万バレル(前週比+28万バレル、前年比+1万バレル)と例年通りの量となっている。次に灯油に相当するジェット燃料の生産は日量185万バレル(前週比-105万バレル、前年比-21万バレル)、軽油相当の留出油は日量404万バレル(前週比+29万バレル、前年比-39万バレル)となっている。

今週  前週  4週平均前年同時期
ガソリン輸出(万バレル/日)70677358
ジェット燃料輸出(万バレル/日)19281622
留出油輸出(万バレル/日)156141112113

石油製品の輸出はガソリンが日量70万バレル(前週比+3万バレル、前年比+12万バレル)、ジェット燃料の輸出は日量19万バレル(前週比-10万バレル、前年比-3万バレル)。留出油は日量156万バレル(前週比+15万バレル、前年比+43万バレル)となっている。

EIA週間原油統計予想結果
原油(万バレル)-210-1002
ガソリン(万バレル)-40-209
留出油(万バレル)-90-206

以上をまとめると、原油生産がわずかに増加している他、原油の需要先にあたるガソリン、留出油ともに生産量・輸出量が増加している。夏場のドライブシーズンは終わりを迎えつつあるが、ガソリン需要は旺盛で、ガソリンの在庫減少の傾向は季節通りの動きになっている。先週はガソリン在庫が需要期にも関わらず、増加していたが一時的な増加にとどまった。

次に建玉の方からも見てみよう。以下の表はCFTC(アメリカ合衆国先物取引委員会)発表のNY原油のここ5週間の建玉数の明細となる。

総建玉大口投機家
買玉
大口投機家
売玉
差引大口当業者
買玉
大口当業者
売玉
差引
7/232,056,492537,940140,089397,851710,7261,108,214-397,488
7/302,069,072540,238152,947387,291732,8211,119,888-387,067
8/62,070,210540,924165,283375,641760,7941,134,883-374,089
8/132,059,135547,040164,896382,144715,1571,086,691-371,534
8/202,002,847528,969114,334414,635692,1711,097,984-405,813
図3 2019NY原油建玉数(出展元 CFTC)

図3は2019年の原油建玉数の推移となる。年初からファンドの買玉が売玉を上回る状況が続いているが、直近で売玉が急減しており、建玉面からみるとファンドが売りポジションを閉じていることがわかる。

最後に天候ニュースだが、大西洋上で発生したハリケーンDorianが来週9月2日にはフロリダ半島へ到達、来週の中頃にはメキシコ湾の油田・ガス田地域(地図上のマークと海上の点が関連施設)への来襲が懸念されている。来週後半の原油相場はハリケーンに伴う生産停止などに伴う混乱(上昇)が予想される。来週の天気予報には注意したい。

図4 ハリケーンDorianの進路予想図と油田及び海上プラットフォーム(出展元 EIA)

※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。