大豆とアルゼンチン大統領選(つらつらコラム2019年10月28日)

10月27日にアルゼンチンで大統領選挙の第1回投票が行われ、左派フェルナンデス元首相が、現職で中道派のマクリ大統領に20ポイント以上の差をつけて当選との報が出ている。なぜ、アルゼンチンに注目するのか不思議に思うと思うが、理由を説明していきたい。

アルゼンチンは近年、経済低迷とインフレに悩んでおり、債務が1000億ドルを超えており、夏に入ってからは2014年以来となる21世紀で3回目のデフォルトの可能性が指摘されている。8月11日の大統領予備選挙で優勢だった左派フェルナンデス元首相は財政拡大に積極的であるとされており、大盤振る舞いにより更なる財政危機を招くとの懸念があるとされているのがその理由。また野党候補との差を巻き返すためマクリ政権がポピュリズム的な財政拡大政策に転じたこともあり、IMFからの追加融資交渉が不調に終わるとの観測も流れている。通貨であるアルゼンチンペソは8月11日の予備選挙以降約3割下落し、大統領選挙の結果が流れるとさらに下落が加速しているという。

アルゼンチンは農業大国であり、大豆やコーンを輸出している。データは以下の通り。

2017/18     2018/19    2019/20予測    
世界大豆生産量(百万トン)341.62358.77341.39
大豆生産高(百万トン)37.8055.3053.00
世界大豆輸出高(百万トン)153.07148.69149.39
大豆輸出高(百万トン)2.138.158.00
世界大豆かす生産高(百万トン)232.68235.22239.96
大豆かす生産高(百万トン)28.4031.6534.00
世界大豆かす輸出高(百万トン)64.8067.3768.18
大豆かす輸出高(百万トン)26.2728.6030.50
世界コーン生産高(百万トン)1,078.081,123.221,104.88
コーン生産高(百万トン)32.0051.0050.00
世界コーン輸出高(百万トン)147.78177.88169.90
コーン輸出高(百万トン)22.0036.0033.50

2017/18シーズンは旱魃のため収穫量が落ち込んでいるが、アルゼンチンは大豆においては世界生産のおおよそ7分の1を占め、コーンの輸出においては5分の1を占めている農業大国である。このほか、大豆油の副産物の大豆かすでは世界輸出の半分を占めている。アルゼンチンは2014年にもデフォルトを引き起こしているが、この際には大豆農家がインフレに対応するために大豆の売り惜しみに走った。すぐにデフォルトが確定するわけではないだろう(8月末時点でCDSプレミアムでは1年以内に5割の確率)が、同じ現象が今後起こると考えると、例年北半球の収穫期から南半球の作付け期までは、落ち着いた相場となることが多いように見えるが、来年の作付け期の混乱も含めて中長期的に大豆やコーンの値上がり材料となる可能性があると考えるがいかがだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。