天然ガスの見通し(つらつら分析2019年11月15日)

図1 天然ガス時間足 (出展元 サクソバンク証券

今週の天然ガス相場は、強力な寒波が一段落して翌週以降の気温が広い範囲で上昇して平穏な気候が広がるとの見通しから下落基調となった。昨日の天然ガスは24時30分にEIA(アメリカ・エネルギー情報局)が発表した天然ガス在庫が3Bcfの増加となり予想の1Bcfを上回ったことで発表直後に下落した。その後は天気予報で翌週以降の天気予報で気温が低下して再び暖房用需要が増加すると見方から、明け方にかけて上昇した(図1)。筆者の今週の成績は昨日は在庫の増加ペースの大幅減少を予想したところまで良かったが、予想よりは減少しなかったため、発表直後の下げで目論見が崩れてしまった。ただし、その後の上げのおかげで損失が削られたのは幸いだった。

図2 天然ガス在庫推移(出典元 EIA)

今週のEIAの天然ガス週間報告の中身を見ていこう。

今週    前週    前年同時期    
Marketed Production(Bcf/日)107.6107.498.2
天然ガス生産(Bcf/日)95.094.987.8
天然ガス輸入(Bcf/日)5.44.53.9
天然ガス供給(Bcf/日)100.699.591.8

天然ガスの生産は横ばいだったが、カナダからの輸入は0.9Bcf増加した分、供給が増加した。次に需要の内訳は以下の表のとおり。

今週    前週   前年同時期    
消費合計(Bcf/日)81.674.082.6
発電用(Bcf/日)27.926.226.7
工業用(Bcf/日)21.921.324.7
住宅用(Bcf/日)31.926.631.2
パイプライン輸出(Bcf/日)5.25.24.8
パイプラインでの消費やロス(Bcf/日)6.96.76.6
LNG輸出(Bcf/日)7.17.34.0
天然ガス需要(Bcf/日)100.893.398.1

需要は7.5Bcfと5%以上の増加となった。先週も住宅用が7.6Bcfと急増したが今週も5.3Bcf増加した。他は発電用が1.7Bcf増、工業用が0.6Bcf増、LNG輸出が0.2Bcf減少した。パイプラインでの輸出はほぼ横ばいだった。また前年同時期も寒波によって消費が増加していたため需要が多くなっている。

次に地域別の在庫の増減をまとめた表が以下の通り。

地域      11/8在庫 (Bcf)前週との差 (Bcf)11/1在庫 (Bcf)前週との差 (Bcf)10/25在庫 (Bcf)
東部932093219913
中西部1106-31109141095
山岳地帯2070207-4211
太平洋岸290-2292-6298
南部119781189111178
 海岸部3131030310293
 内陸部884-28861885
全体373233729343695

在庫総量は増えてはいるが11月1日から8日の間の増加量は3Bcfに激減している。内訳をみると南部での増加量が横ばいだった以外はほとんどの地域で在庫が0かマイナスとなった。来週以降は中西部では気温の低下が一段落しており在庫減少は一服しそう。一方東海岸ではより一層の気温低下による在庫減少となるのではないだろう(図4)。

地域          HDD平年比   前年比   CDD  平年比   前年比   
ニューイングランド143443000
中部大西洋岸1351553000
北東部1874247000
北西部2044840000
南部大西洋岸10018432372
南東部11835530-2-2
南西部68203010-2-8
山岳部145414522
太平洋岸41-24180-2-4
全国129183861-1

Heating Degree DaysとCooling Degree Daysは65℉を中心として計算した尺度で、例えば、ある日の最高気温が95℉、最低気温が51℉ならば、平均気温は73℉となるので、その日のHDD(=65℉-73℉)は0、CDD(=73℉-65℉)は8となる(マイナスの値はとらず0となる)。上の表は10月31日から11月7日までの1週間分の積算値でHDDが大きいので太平洋岸以外では平年よりも寒かったことが分かる。

図5はアメリカの今日の天気予報で、強力な寒波は大西洋へ抜けており、次の寒冷前線が南下している。前線のかかった北部の一部では気温が低下しているが、南部や東部では前線が抜けたことから気温が上昇している。図6は11月7日と11月13日の最高気温と最低気温の実測値で、ここ1週間で東部の気温が低下している。

参考値(10℉=-12.2℃、20℉=-6.7℃、30℉=-1.1℃、40℉=4.4℃、50℉=10℃、60℉=15.6℃、70℉=21.1℃、80℉=26.7℃、90℉=32.2℃、100℉=37.8℃)

図8は6から10日後までの平均気温と8から14日後までの平均気温の予報で、寒気が抜けた後一旦平年並みまで暖かくなるが、再来週には再び寒さが訪れる予報となっている。

図8A 6-10日後(11/13-24)気温予報(出展元 NOAA)
図8B 8-14日後(11/15-28)気温予報(出展元 NOAA)

最後に今後の見通しについて述べておこう。寒気が去って今週初めをピークに気温は上昇に転じていて、11月下旬にかけては穏やかな天候となる見込み。11月下旬以降は再び気温が北側から低下し始める予報となっていて今日以降の支援材料となりそう。天然ガス在庫の増加ペースは急速に低下し、今週の発表では一桁台まで低下した。今週前半までは実際の寒さが続いていることから来週には在庫増加がマイナスになることが予想できる。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。