天然ガスの見通し(つらつら分析2019年11月8日)

図1 天然ガス時間足 (出展元 サクソバンク証券

今週の天然ガス相場は、強力な寒波が到来して翌週以降の気温が広い範囲で低下するとの見通しから上昇基調となっていた。日に日に予報の寒気が強まったため2.900ドル台目前まで上昇した。ただし、相場が上げ続けてきてたため水曜・木曜日は利益確定の売りが出る場面も見られた。昨日の天然ガスは24時30分にEIA(アメリカ・エネルギー情報局)が発表した天然ガス在庫は34Bcfの増加となり予想の45Bcfを上回ったことで一時的に2.870ドル台まで上昇した。その後は天気予報は翌週はこれまで通り気温が低下するものの、翌々週に寒気が弱まり穏やかな気候が広がるとの見通しで暖房用需要が減衰すると見方から、明け方にかけて下落した(図1)。筆者の今週の成績は火曜日まではよかったが、水曜日に3回SLにかかるなどうまくいかなかった。昨日は在庫の減少を予想したところまで良かったが、その後の下げのため、予想より利益が削られてしまった。

図2 天然ガス在庫推移(出典元 EIA)

今週のEIAの天然ガス週間報告の中身を見ていこう。

今週    前週    前年同時期    
Marketed Production(Bcf/日)107.4107.599.2
天然ガス生産(Bcf/日)94.994.888.0
天然ガス輸入(Bcf/日)4.54.33.6
天然ガス供給(Bcf/日)99.599.291.7

天然ガスの生産と供給、輸入は横ばいだった。需要は6.1Bcfの増加となり、内訳は以下の表のとおり。

今週   前週    前年同時期    
消費合計(Bcf/日)74.168.369.5
発電用(Bcf/日)26.227.423.1
工業用(Bcf/日)21.322.023.7
住宅用(Bcf/日)26.619.022.6
パイプライン輸出(Bcf/日)5.25.34.6
パイプラインでの消費やロス(Bcf/日)6.76.66.3
LNG輸出(Bcf/日)70.37.14.0
天然ガス需要(Bcf/日)93.487.384.4

先週比で住宅用が7.6Bcfと急増した他は発電用が1.2Bcf減、工業用が0.7Bcf減、LNG輸出が0.7Bcf減少した。パイプラインでの輸出はほぼ横ばいだった。

次に地域別の在庫の増減をまとめた表が以下の通り。

地域      11/1在庫 (Bcf)前週との差 (Bcf)10/25在庫 (Bcf)前週との差 (Bcf)10/18在庫 (Bcf)
東部9321991315898
中西部1109141095261069
山岳地帯207-42113208
太平洋岸292-62981297
南部1189111178441134
 海岸部3031029325268
 内陸部886188519866
全体3729343695893606

全体として、在庫総量は増えているが10月18日から25日の間の増加量89Bcfに比べて11月1日までは34Bcfと減少している。また図4が示すように寒気が到来していておらず平年より暖かかった東部以外では在庫の増加スピードが緩くなっている。統計に東部の気温低下が加味される来週以降、在庫の増加ペースはさらに落ちるのではないかと考えられる。

図4 週の平均気温と平年からのずれ(出展元 NOAA)

図5はアメリカの今日の天気予報で、寒波が北部から南下しており、寒冷前線がセントローレンス湾から五大湖の南側を経てテキサスまで伸びている。前線の背後では広い地域で最高気温が氷点下(図4B青)になっている。図6Bは10月31日と11月7日の最高気温と最低気温の実測値。ここ1週間で東部の気温が低下している(図6Aは10月31日時点の最高気温と最低気温)。

参考値(10℉=-12.2℃、20℉=-6.7℃、30℉=-1.1℃、40℉=4.4℃、50℉=10℃、60℉=15.6℃、70℉=21.1℃、80℉=26.7℃、90℉=32.2℃、100℉=37.8℃)

図8は6から10日後までの平均気温と8から14日後までの平均気温の予報で、来週にかけて東部や南部にも寒気が広がる見込み(図7は比較用の10月31日時点の予報)。ただし、再来週には寒さが緩み穏やかな気候になる予報となっている。

最後に今後の見通しについて述べておこう。今週から来週にかけては強い寒気が北部から東部や南部に流入することで気温低下が予想されている。既に暖房用ガスの大量消費地である東部の気温も低下しているが今後も強まる見込み(図7)。ただし、14日予報では寒気が弱まってくるため(図8)、予報が変わらなければ今後の相場はしばらく落ち着きを見せる可能性がある。一方で今後2週間のEIAの在庫の増加ペースは、11月初め以来の東部でのガス消費の反映で、減少することが予想される。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。