対中関税発動延期(つらつらコラム2019年8月14日)

昨日の立会時間が始まると、アメリカ・トランプ政権が9月1日に発動を予定していた対中国関税第4弾の内の一部発動を12月15日まで延期すると発表があり、大きく相場が動いた。為替がドル高に振れると同時にダウが500ドル以上上げるなど、原油、大豆などが急伸し(上図赤矢印)、反対に金は急落することとなった(上図青矢印)。

既に発動されている第1弾から第3弾までは製造業が必要とする工業原料などで小売りや消費者には影響の少ない品目だったが、第4弾は3000億ドル規模でほぼすべての消費財が含まれていた。6月の時点で発動の俎上に上がっていたが、この第4弾に関しては小売業界に大きな影響が出るため600社に上るアメリカ企業が政府に書簡を送るなど波紋を広げていた。結局、G20を機会にして行われた米中首脳会談によって一時的に棚上げされることになり市場に安堵感が広がっていたが、7月末の上海での協議が不調に終わった後、8月2日になってトランプ政権が発動すると発表していた。経済誌などが分析しているが、第4弾に含まれる中国製品は、輸入携帯電話の80%、輸入玩具の85%、輸入ゲーム機の98%、このほかスマートウォッチやスマートスピーカー、ブルートゥースオーディオ機器などのデジタル機器や農産物、骨董品などの嗜好品、衣類、靴などの日用品、等々多岐にわたっている。9月1日発動のタイミングはまもなく開かれる中国の非公式共産党幹部会「北戴河会議」や10月に予定されている建国70周年式典の前に強硬策で中国側を揺さぶろうとの狙いだったと思われる。今回の延期でスマートフォンやノートパソコン、おもちゃや衣類と靴の一部など9月の新学期商戦や年末のクリスマス商戦で販売される製品を中心に約1600億ドル分の発動が延期される。中国の劉鶴副首相とムニューシン財務長官・ライトハイザー通商代表との電話会談後に発表されたことから、中国側を交渉の場所に再び引き出したという見方もできようが、世界経済が減速する中で、翌年の大統領選挙に影響を与えないために足元の経済の維持や経済界の支持の取り付けを図ったという見方もできる。一方で農産物や軽工業製品など約1100億ドル分は予定通り9月1日から関税が発動されることになる。それに対し、今後予定されている2週間後の電話協議や9月の閣僚級協議の中で中国側がどう出てくるのかが引き続き注目ポイントとなるだろう。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。