対中関税第4弾発動へ(つらつらコラム2019年8月2日)

7月30日から31日かけて上海で開かれていた米中間の貿易協議は中国側から農産物の購入が行われたり、建設的な意見交換が行われたと米中双方が発表する中、市場の大方の予想通りに物別れで終わった。次回の協議は9月にワシントンで行われる予定。市場の関心はFRBの利下げに移った。利下げが予想通り0.25%で行われることが決定し、追加利下げの観測が後退したことで8月1日の株価が下落して引ける中、続く8月2日の関税発動の発表はサプライズとなった。アメリカ・トランプ大統領はツイッターの投稿で、6月に一旦停止で合意していた対中関税の第4弾の発動を発表した。第4弾の関税は3805品目、3000億ドル分の製品に関税を最大25%上乗せする。この結果医薬品やレアアースなどを除く、幅広い消費財に及び、総額は5500億ドルに達する。これを受けて昨日の市場は、ダウ先物400ドル以上下落、原油2ドル以上下落、大豆10セント以上下落、金は20ドル以上急騰するなど乱高下した(上図)。

アメリカ政府はこの関税強化で知的財産権の侵害で中国政府の譲歩を迫る考えだが、中国側の反応は未知数であり、4月には合意間近とも報じられた米中貿易協議は泥沼の報復合戦に突入しつつある。背景にはアメリカ経済はほかの地域に比べて好調を維持していること、中国経済がなりふり構わない内需への投資によって年初の状況よりは多少上向いたことで、双方に結論を急ぐ必要が少ないことがあると考えられる。とはいえ、いつかは中国政府が知的財産権で譲歩に追い込まれる可能性は高いと思われるが、中国側の国内対策の面から最低でも全ての報復関税撤廃を要求してくることは確実だと考えられている。一方のアメリカ側は来年に予定される大統領選挙でのアピールのために政権として成果が必要という面は否定できないが、仮に来年末まで問題が長引いたり、選挙の結果で民主党政権へ変わったとしても、知的財産権問題では民主・共和両党に対中強硬派が存在しているため、アメリカ側は大きな譲歩はしないだろう。今後、報復関税への中国側の対応を含めて、9月までには何らかの進展がありうるが、しばらくは泥沼の争いが続きそうだ。


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