
12日に需給報告があるため、今日は小麦相場についてUSDAのクロップレポートを元に考えてみたい。図1が小麦の日足となっており、直近では上昇相場となっている。小麦は冬小麦と春小麦に大別されるが、世界的には冬小麦の方が一般的で、春小麦はロシアや、アメリカ北部、カナダなど寒い地域で生産が行われている。アメリカでの冬小麦の産地はプレーンズと呼ばれる西部のカンザス、オクラホマ、テキサス、コロラド、ワイオミング、ネブラスカ、サウスダコタの各州と西海岸北部のワシントン、オレゴン、アイダホの各州が主な産地で、春小麦はノースダコタ、サウスダコタ(混作)、モンタナ、ミネソタ各州と、西海岸の3州(混作)で栽培されている。
既に冬小麦については春先の長雨で生育懸念や農作業の遅れが出ていたものの、8月18日の時点で93%が収穫済みとなっており、9月の時点ではほぼ収穫が終わっている。春小麦についてもすでに収穫期に入っている。下表が進捗率となっている。
9/8 | 前週 | 前年 | 平年 | |
アイダホ | 85% | 69% | 87% | 88% |
ミネソタ | 78% | 65% | 99% | 90% |
モンタナ | 62% | 46% | 85% | 86% |
ノースダコタ | 68% | 52% | 93% | 83% |
サウスダコタ | 91% | 79% | 100% | 96% |
ワシントン | 74% | 61% | 90% | 95% |
全体的に春先の雨による農作業の遅れと、先月末からの長雨で収穫作業が遅延しているが、西部では乾燥した天候が続いたため成熟が促進された。
次にCTFCのシカゴ小麦(春小麦)の直近5週分の建玉数となる。すでに収穫を終えているが若干投機側の売玉がここへきて増加しており、買玉と売玉が均衡している。
総建玉 | 大口投機家 買玉 | 大口投機家 売玉 | 差引 | 大口当業者 買玉 | 大口当業者 売玉 | 差引 | |
8/6 | 399,820 | 120,888 | 994,28 | 21,460 | 136,546 | 143,899 | -73,53 |
8/13 | 616,859 | 118,406 | 102,091 | 163,15 | 122,620 | 125,135 | -2,515 |
8/20 | 563,298 | 112,957 | 105,200 | 7,757 | 131,299 | 123,777 | 7,522 |
8/27 | 600,317 | 118,051 | 101,297 | 16,754 | 112,543 | 113.573 | -1,030 |
9/3 | 593,962 | 114,569 | 114,633 | -64 | 111840 | 98,001 | 13,839 |
図2A 建玉数(出展元 CTFC) 図2B 前週比 図2C 買い越し数
このほか海外産地では、ヨーロッパの冬小麦は雨が少なく土壌が乾燥気味。黒海沿岸北部の冬小麦は気温は適しているが乾燥している。シベリアや中央アジアの春小麦は雨量が生育に必要な25-50%で旱魃被害の可能性。オーストラリアの冬小麦は旱魃によって収穫見込みが減少している。ただ、オーストラリア西部には降雨があり生育に恩恵があった。ブラジルでは生育は順調で、カナダでは収穫間際の温かい気候が生育を促進した。中国東部では7月に乾燥が続いたため作物にストレスが生じている。中国東北部の降雨は十分だった。
以上、まだまだ情報の足らないところがあるが、小麦の収穫期を迎えて相場の下落が予想されるといえるのではないか。
※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。