巨大油田と原油相場(つらつらコラム2019年11月20日)

 

昨日の原油相場を伝えるニュースに気になるニュースを見つけた。ノルウェーの原油生産が増加する見込みという記事だった。今回ノルウェーのヨハンスヴェルトラップフィールド沖に発見された巨大油田は推定可採埋蔵量27億バレルとされる。この油田は従来より数か月前倒される形で今年10月に稼働を開始している。ノルウェーの産油量は今年8月時点で日量約150万バレルだが、今回の油田の開発ですでに日量で30万バレル、来年の夏までに日量44万バレル、最終的には66万バレルの生産増加が見込まれる。巨大油田というとOPEC加盟国のイランで今月10日に530億バレルの埋蔵量の油田が発見された。核問題での制裁が行われているため直ちに世界への原油供給が増えるわけではないが、発表翌日の11月11日の原油相場が下落で始まったのは記憶に新しい。これらの他にも巨大油田の開発が各地で行われている。エクソン・モービル、ヘス、中国海洋石油が開発している南米ガイアナ沖では推定埋蔵量が約30億バレルの油田が発見・開発されており、ガイアナの産油量はエクソン・モービルの推計では2020年には日量100万バレル、2022年には日量300万バレル、2025年には日量500万バレルまで増加する見込み。ブラジル沖のプレソルト油田でも生産が増大し始めており、IEA(国際エネルギー機関)の推計で2024年には現在日量約300万バレルのブラジルの産油量が日量390万バレルまで増大する見通し。また、世界最大の産油国となったアメリカの産油量は昨年より130万バレル増大した日量1230万バレルに達している。今後、原油需要見通しへの懸念から2020年以降の開発と増産にブレーキがかかることが確実視されてはいるが、なお日量100万バレルが上乗せされることをEIA(アメリカエネルギー省情報局)では予想している。このように非OPEC諸国で顕著な増産が続いていることと、世界経済の減速や省エネ志向から世界需要が頭打ちとなっていることから、原油価格は下落方向にある。このため、OPECは今年1月から強化された協調減産を日量120万バレルで継続しているが、この量は今年のアメリカの産油量の増大分とほぼ同量になってしまいもはや十分な減産ではなくなっていると考えられる。一方で今年は原油減産につながる出来事も多かったことにも注意が必要だろう。産油国ベネズエラとイランへのアメリカの経済制裁とイラクの政情不安、サウジアラビア産油施設への攻撃などがリスク要因となり下値を支えたことで、何とか現状の50-60ドルの水準を維持していると見ることができる。

図1 原油月足(出展元 サクソバンク証券株式会社

このような状況の中で、12月5日のOPECプラスの会合を迎える。OPECプラスの協調減産が拡大され遵守されれば、何とか原油価格を現状レベルで維持できるかもしれない。しかし、日量1123万バレルを生産するロシアなど増産を望む国々の反対で拡大の実現は難しいとの報道もあり、減産の現状維持が精一杯だと考えられる。すなわち、今後中長期的に原油価格は下落し、協調減産実施前の2017年初めや協調減産強化前の2018年年末の原油価格である40ドル台が見えてくるのではないだろうか(図1)。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。