日米貿易交渉妥結(つらつらコラム2019年8月28日)

週末に日米間の貿易交渉が大枠となる農産品と工業品、デジタル経済の分野でスピード合意し、9月に署名・発効する見込みとなった。今回の貿易交渉の対象となる製品はおよそ9000品目に及ぶが、アメリカ側の求める農産物の関税引き下げと、日本側の求めるアメリカの自動車関税(現行2.5%)撤廃などが焦点となっていた。今回の合意で日本側は米国産に牛肉にかけている関税を現在の38.5%から2033年4月までに9%に引き下げる。牛肉の関税の引き下げ幅はTPPと同水準となる。このほか多種の農産品に及ぶ。日本が求めてきた工業品の関税の引き下げも自動車本体の関税以外(品目未定)は引き下げが行われる予定。

今回の交渉は安倍首相が数百億円分(300万トン程度)のアメリカの余剰コーンを購入する可能性に言及するサプライズがあった。国産コーン(年産約450万トン)は害虫(ツマジロクサヨトウ)により被害を受けており不作が予想されているため、これを補う形で輸入が行われるが、2019年の中国の輸入予定量が500万トンあり、米中貿易戦争や家畜伝染病による需要減などで宙に浮いている中国向けが日本に振り向けられる形となる(日本は年間約1100万トンを輸入しており、ほぼすべてがアメリカ産)。これを受けて26日月曜日のコーン相場ほか、穀物相場は寄付きの9時から上昇して始まった(上図)。交渉自体は、日米間の親密さのアピールや、来年行われるアメリカの大統領選に向けた外交と農家向けへの実績作りなどの面もあるが、円高が進む中で為替問題(日本は為替操作監視国)が議題(釘刺し)に出なかったことなども含めて、日本側には十分な成果といえるのではないだろうか。


※このコラムで紹介している相場の動きの見方や見通しなどは執筆者の主観に基づくものであり、利益の増加や損失の減少を保証するものではありません。